徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

筑後吉井の町並みを散策してから、杖立温泉で宿泊する

由布院を後にする前に樹齢1000年大杉を見学

 結構爆睡したのだが、昨晩の就寝が早すぎたせいか6時前に目が覚めてしまった。仕方ないのでしばしぼんやりしてから朝風呂に目覚ましに行く。外はいささか寒いが、今日はこれでも普段よりは随分暖かいのだとか。いつもなら3度とからしい。

 朝食は8時から。ごく普通の和食である。朝食を済ませると再び入浴に出向いてから9時頃にチェックアウトする。安い宿であったので至れり尽くせりのサービスという宿ではなく、むしろ自由放任の宿であったが、私の場合はかえってそれが気楽で良かった。すぐ裏手がJRの線路なので、そこを列車が通る時には結構音がするというのが難点と言えば難点。ただ久大本線はそう本数も多くないし、由布院駅の近くで速度も落ちているし、深夜の運行もないので実際にはあまり気にならない。飯もうまかったし湯も良かったのでCPを考えるとまずまずだろう。なお外国人観光客が多いのか宿内のあちこちにハングルの表記が見られたので、信仰上の理由で発狂するような輩もいそう。まあそんな輩は大抵は部屋の中からせいぜい近所のコンビニまでが活動限界なので、こんなところにはやって来ることはないか。

朝食の和食をしっかりと頂く

 宿を出ると由布院を後にする前に大杵社に立ち寄ることにする。ここには樹齢1000年とも言われる大杉があるとか。大杵社の前まで車で上がれるが、そこは車で進むことをためらうぐらいの狭くて急傾斜な道。手前に「この先に駐車場あり」の看板がなければとても怖くて上がっていけない。大杉はかなりの巨木であり、由布院の朝霧とも相まって荘厳な空気を漂わせている。こういうのを見ると、人類の一番原始的で素朴な信仰としての自然崇拝が納得できる。宗教の堕落はどこかの野心家がそれらの素朴な信仰を自身に対する個人崇拝に結びつけた辺りから起こっており、その堕落は今日に至るまで続いている。

大杵社

樹齢1000年の大杉

堂々たる巨木である

内部には空洞があるようだ

 

 

杖立温泉を目指す

 由布院を後にすると国道210号線から国道387号線に乗り継いで杖立温泉を目指す。本遠征は別府から由布院、杖立という温泉巡りスケジュールになっている。

由布岳とお別れである

 国道210号線はほとんど高速並にビュンビュン車が流れているし、国道387号線は山道ではあるものの概ね整備されているので走行は快適。ただところどころカーブのきついところがあるので要注意。走行中に後ろからバイクのツーリンググループが接近してきたので道を譲って先に行かせたら、10キロほど進んだところで事故ったらしき彼らを発見。調子に乗って飛ばしすぎると危険である。

 1時間ちょっとで杖立温泉に到着する。杖立温泉は山間部のかなり鄙びた温泉。公共駐車場に車をおいてしばし温泉街を散策する。

山間のひなびた風情の杖立温泉街

温泉街は川沿い

 杖立温泉は山間の川沿いの温泉地なのでかなり傾斜がきつく、路地や石段の奥に小さな旅館が並んでいる。地形としては東山温泉などに近いが、大型ホテルがほとんどなくて小規模な旅館が多いのが町並みの特徴。風情のある古い温泉街という印象である。多分過去には結構繁盛していたのだろうが、近年は湯布院や黒川温泉に押されて人気にかなり陰りが出ているとか。そのせいか町並みにいわゆる現代的なオシャレさはなく、それが逆に風情につながっている。もっとも今時の若い女性に受けそうな風情ではないのは確かだ。

対岸の温泉街

橋が架かっている

非常に傾斜が強く路地が多い

本日の宿泊旅館は路地の奥

 

 

筑後吉井まで足を延ばす途中で古民家に立ち寄り

 杖立温泉を一周したが、まだ午前だし宿のチェックイン時間までは何時間もある。ここでボンヤリと何時間もつぶすのは事実上不可能。これはどこかに立ち寄るべきだろう。ここから近くと言えば日田だが、日田は以前に訪問した時に大抵観光し終わっている。さてどうしたものかと考えた時、頭に浮かんだのは筑後吉井。ここも日田と同様に重伝建に指定されており、以前に日田を訪問した時に立ち寄っているが、時間の制約でほとんどとんぼ返りでざっと見てきただけである。カーナビで調べると大体1時間ちょっとぐらいで行けそうだ。ここまで足を伸ばすことにする。

 国道212号線を北上、日田の手前で東進に転じてうきはを目指す。その途中で「国指定重要文化財行徳家」という表示が見えたので立ち寄ることにする。

行徳家

 行徳家とは久留米藩の御殿医の末裔のお屋敷だそうな。子孫が現在も医者らしいが、今は別の場所で開業しているので、この住宅を市に寄贈したらしい。市の方ではそれを旧状に復元して無料で公開しているようだ。なかなかに立派な屋敷で、確かに旧名家という趣。行徳家は現在も末裔が医者だからこの屋敷を維持できたが、これがただのサラリーマンなんかになっていたら、屋敷が維持できずにとうの昔につぶされてしまっていたのがオチ(税金で取られたマンションになったという例が多い)。茅葺きの屋根が趣があるが、庭園の紅葉も綺麗である。

実に立派な庭園

紅葉が美しい

室内の細工も手が込んでいる

 

 

筑後吉井の街並みを見学

 行徳家の見学を終えると筑後吉井に移動。まずは民俗史料館に立ち寄ってこの地域に対する基礎学習。この辺りはかつては干ばつや水害に苦しめられたらしいが、この地域の五庄屋が私財を投じて堰を築いて水路を建造し、この辺りを豊かな土地に作り替えたらしい。このエピソードは地元では今でも偉業として語り伝えられており、小学校で習うとのこと。まさに郷土愛というものである。民俗史料館にはこれらの故事に関連した展示がされている。

民俗資料館に立ち寄る

 民俗史料館から隣の観光駐車場に車を移してから町並みの散策に入る。筑後吉井の町並みは水路沿いに伸びているが、この水路が件の五庄屋によって建造された水路で、これのおかげでこの地は農業だけでなく水運による商業も発展して豊かになったという。現在残っている白壁土蔵造りの住宅は、かつての商業地の名残である。

筑後吉井の街並み

五庄屋が建造した水路に沿っている

いわゆる白壁土蔵造りの商家

こういう道の曲がり方もいかにも

 

 

 町並みの中にある居蔵の館、鏡田屋敷を見学。居蔵の館はかつての豪商の邸宅で、内部が吹き抜け構造になっているのが特徴的。

居蔵の館

吹き抜けが特徴的

二階の部屋が吹き抜けに面している

床の間のある部屋

天井の高い風呂

 

 

 鏡田屋敷は幕末の郡役所だったとのことで、大正期に建て増ししたとのこと。ここに居住していたのはかつて郵便局長を務めた人物で資産家だったようだ。立派な建物だが、増築部分が趣が変わっているのが印象的。とにかく今日では入手困難なような良い材料を利用している。

鏡田屋敷

二階から庭を覗く

元役所らしくしっかりした造り

 

 

 水路沿いの見学を終えると白壁通りを抜けて国道210号線沿いの表通りに。ここはかつての宿場町の名残があるというが、明らかに後に手が入っているようである。前回の訪問時にはこの辺りをザクッと見学しただけで終えていたので、メインステージは今回初めて見学できたことになる。

水路沿いから離れた白壁通り

落ち着いた町並み

こて絵

商売をやっているところも多い

表通りに出てくる

国道210号線沿いの風景

国道沿いの光景

 

 

昼食はラーメン

 もう昼を過ぎているのでどこかで昼食を摂りたいのだが、意外なほどに飲食店がない。ようやく見つけたのは「ペルー軒」というラーメン屋。ここで昼食を摂ることにする。

ラーメン屋「ペルー軒」

 中は普通の町のラーメン屋であり、なぜペルー軒なのは謎。注文したのはチャーシュー麺とおにぎり。チャーシュー麺は一面にチャーシューの乗った結構豪快なもの。味はややあっさり目(私の好みから言えば若干あっさり過ぎる)。どこの町にも普通にあるラーメン屋というところである。

一面にチャーシューの豪快なチャーシュー麺

あっさり系ラーメン

 

 

杖立温泉で一泊する

 昼食を終えたところで筑後吉井を後にして長躯して杖立温泉に戻る。さすがに結構疲労があり、この行程はしんどい。実際に走ってみると筑後吉井は「ちょっと立ち寄る」という距離ではなかった。再び杖立温泉に戻ってきたのは夕方頃。今日の宿泊旅館はふくみ山荘。杖立温泉の路地の奥にある旅館である。手前の駐車場に車を置くと、キャリーをゴロゴロと引いて旅館へ。旅館は古い建物を一部リニューアルしたというもの。建物には年季を感じるが室内は綺麗になっている。

 まずは何はともあれ入浴。ここは浴場が二つあり、一方が露天風呂付き。これが時間帯で男女交代。午後7時になると露天風呂付きの方が女湯になってしまうと言うので、とりあえず露天風呂に入浴に行く。やや高台にある旅館なので露天風呂はそこそこ眺めが良い。ただお湯が熱すぎてあまりゆったりと浸かるという感じではないし、結構周りから丸見えに感じられるのが落ち着かない。

 夕食は一般的な会席。味は普通だが、ボリュームは結構ある。

夕食膳

タタキに

土瓶蒸し

天ぷら

茶碗蒸し

 夕食後は再び入浴してマッタリ。なお杖立名物の自家製プリンを頂いた。若干苦みがあってなかなか美味。ゆったりしたところで布団に横になっていたら自然に眠くなる。

 

 

この遠征の翌日の記事

www.ksagi.work

この遠征の前日の記事

www.ksagi.work