徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

平戸を見学してから重伝建の的山大島に渡る

朝食を摂ると平戸へ直行

 翌朝は6時半に起床する。昨日のダメージが足に少々残っており、ふくらはぎがダルい。広島からの中距離運転の挙げ句の登山、さらに博物館内を歩き回ったのも地味に効いている。実際に昨日一日で1万6千歩を越えている。

 とりあえず朝風呂に行くと、それから朝食。朝食はバイキングだが、通常のルートインとは少し品目が違う。グランティアはルートインよりも地味に豪華である。しっかり燃料補給。

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通常ルートインよりは地味に豪華なグランティア朝食

 さて今日の予定だが、今日はこれも宿題だった的山大島の重伝建である神浦を訪問する予定。そのためのフェリーは平戸から13時に出るので、それまでに平戸に到着しないといけない。

 グーグル先生にお伺いを立てたところ、所要時間は2時間ちょっと。私のカーナビに尋ねると3時間とのこと。例によってグーグル先生は健脚である。とりあえずホテルをチェックアウトしたのは8時過ぎ。九州自動車道と長崎自動車道、さらに西九州自動車道を乗り継いで佐世保方面を目指す。

 佐世保からは松浦鉄道に沿って走ることになる。途中で直谷城に立ち寄ることも考えていたが、いざ現地に到着すると駐車場が空いていなかったことや、時間が予定よりも遅れ気味になっていることから、直谷城は明日に回すことにして平戸に直行する。

 

 

平戸に到着すると漁港の昼食

 平戸に到着したのは11時半頃。フェリー港に車を置くとまずは昼食を摂ることにする。近くに旬鮮館なる漁港直売の店があったので、そこで昼食を摂る。「天然ひらめ刺身定食(1500円)」に小鉢の「小イカの煮物(200円)」をつける。

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漁港直営の旬鮮館

 さすがに刺身の鮮度がよい。それがひらめの歯ごたえに現れている。またイカの煮物がうまい。古かったら内臓が臭くなってしまうが、当然ながらそんな気配は微塵もない。

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ひらめ刺身定食は流石の鮮度

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イカの煮物も臭みとは無縁

 昼食を終えるとフェリーのチケット購入。的山大島までのフェリーは車を輸送する場合は完全予約制なので、私も事前に電話予約してある。車の積み込みは出航時刻の30分前からぐらいとのこと。まだ時間的余裕があるので、その間に町並み見学に出る。

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フェリー港

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フェリーが到着している

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遠くに平戸城が見える

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平戸城

 

 

平戸の町並み見学

 平戸の町並みは決して古いものではないが、観光を意識して外観を統一してあるようで見栄えがよい。

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平戸の町並み

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決してそう古いというわけではなさそう

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しかし観光を意識しての統一はとってある

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なかなか見栄えがする

 プラプラと町並みを散策するとそのはずれにあるオランダ商館に入館する。これはオランダ貿易が出島に限られる前にこの地にあったオランダ商館の倉庫を復元建築したものだという。内部にオランダとの交易に関する資料などを展示してある。

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町外れの海沿いにあるオランダ商館

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オランダ商館

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内部を見学

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大砲の模型に

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当時の帆船の模型

 

 

フェリーで的山大島に移動する

 サクッと見て回ったところでそろそろ12時半。フェリー港で待機することにする。的山大島との間は一隻の小型フェリーがピストン運航されている。フェリー自体は瀬戸内海の離島便などでもよく見かけるタイプ。フェリーとしては小型だが、離島便フェリーの中では中型に属するだろう。トラックなど結構多くの車が乗っており、これが完全予約制だった理由が頷ける。

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フェリー内部

 フェリーの旅は45分程度。外海に出ると湾内よりは揺れるが、今日はそんなに海は荒れていない。時間通りに的山港に到着する。

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平戸港を出港

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やがて的山大島が見えてくる

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的山大島

 的山大島はそう大きな島ではないが、その割りには中央部の山が高く、非常に険しい島という印象である。そのために棚田が非常に多い。また道路は内陸に回り込んでいるために起伏が多いので、電動アシスト自転車程度では歯が立たないだろう。またフェリーの時刻に合わせてコミュニティバスの運行もあるようだが、これは本数が限られるので行動が制約される。やはり車を持参したのは正解だったようだ。

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棚田の風景

 

 

重伝建の神浦を見学する

 神浦には車で10分程度で到着する。神浦はかつての漁港の町並みが重伝建となっている。車一台が通行するのがやっとの狭い路地に面して住宅が軒を並べている。ただ気になるのは空き家が多いこと。かつては6000人いた島の人口も、今では1000人ほどに減少しているとのことで、高齢化も進んでいるらしい。いずこでも同じ構造である。

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海沿いの町並み

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路地の両脇に住宅が並ぶ

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神浦の町並み

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町並みの西にある西福寺

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町並み

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結構空き家も多い

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港の風景

 町の背後の高台には神社がある。これは室津や牛窓などこの手の港町ではお約束の構造である。津波の危険がある時などはこの神社が避難場所になるのだろう。ここからは町並みを見下ろすことが出来る。

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町並み入口の天降神社の石段

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天降神社

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神社から町並みを見下ろす

 同じく高台にかつて医師の住宅だった家屋が一般公開されているが、これは普通のちょっと大きな住宅というところで何らかの特徴があるというものでない。町の中にも見学施設のようなものはなかったし、やはり商家町などと違って観光的には今ひとつ見所がないというのが正直な印象だ。離島で交通の便が悪いこともあるし、こんなところまでわざわざ観光に来るのは私のような物好きぐらいか。

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高台にある医師の住宅

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立派な家ではあるが

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まあ普通の家だ

 

 

島内をさらに見学して回る

 神浦の見学を終えたがまだフェリーの出航時間までかなりある。そこで島内を車でグルグル。近くのふるさと資料館ではこの地域の歴史を展示してある。やはり産業は農業と漁業が主体だったようだ。かつては捕鯨も行われていたようである。

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ふるさと資料館

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地域の歴史を伝える写真

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いわゆる民具の類いの展示

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神浦遠景

 高台に漁火館なる施設があるが、ここはどうやら宿泊施設の模様。しかし全く人の気配がない。

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島の中央部は棚田

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山頂の宿泊施設漁火館には人の気配がない

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見晴らしは良い

 的山港に戻ってきたものの、まだフェリー出航時間まで1時間ちょっとある。的山の市街にも時間をつぶせそうなところはないし、どこか見学するところはないかとウロウロしていたら農業公園という表示を見つけたのでその案内に従って進むことにする。しかし道はウネウネとした山道につながり、ドンドンと標高が上がっていく。結局、到着したのは島の中央の山頂。ここがなぜ農業公園なんだと疑問を感じたが、ここの展望台から見下ろすと、目の前に棚田が広がっている。これが「農業公園」という意味なんだろうか?

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港から案内に従って走る

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集落内を抜け

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道は登りに

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段々と山道になっていき

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農業公園駐車場に到着

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この棚田の風景が農業公園の意味だろうか?

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確かに驚くほど見事ではある

 的山大島を回って感じたことは、基本的に観光地としての整備はほとんどされていないということだ。観光客相手の商店などもほとんどない。実際こっちに来てから、早めに平戸に着いて昼食を済ましてきたのが正解だったと痛感した。元々観光客が少ないから観光客をターゲットにしても経営が成り立たないのだろう。観光開発がことごとく中途半端な気がするが、そもそもこの島まで観光客を吸引すべき目玉がない。この島の産業の中心に観光を据えるのはかなり難しそうだ。やはりこういう地域は農林水産業で自立できるのが正しいあり方なのだが、そのためには社会全体のあり方自体を変更する必要があるから困難である。なかなかこの島の将来に良いビジョンが描けない。

 

 

平戸で宿泊する

 フェリーで平戸港に戻ってくると、コンビニで夜食を買い込んでからホテルにチェックインする。今日の宿泊ホテルは平戸海上ホテル。やや古びた感のある巨大ホテルだが、内部は綺麗にしてある。例によって楽天トラベルで探した「高級ホテルの廉価プラン」である。

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フェリーが到着

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フェリーに乗船する

 部屋はツインでなかなか広く、前面オーシャンビューという豪華なもの。向こうに平戸城も見えている。とりあえず着替えると夕食前に露天風呂に入浴にいく。

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ホテルの部屋

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窓からはオーシャンビュー

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平戸城も遠くに見える

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夜のライトアップした平戸城

 泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉のアルカリ泉である。特別にヌルヌル感があるわけではないが、肌にネットリと来るタイプのお湯である。露天風呂は海が見える風呂だが、残念ながら浴槽に入ると防波堤しか見えない。

 

 

夕食の会席を堪能する

 風呂から上がると夕食の時間なので、宴会場に夕食を摂りに向かう。

 なおここのホテルでの話ではないのだが、どこのホテルでも夕食時にドリンクオーダーを聞いてくるが、基本的にアルコールが全く駄目な私はドリンクを取らないのが普通である。するとホテルによっては露骨に嫌な顔をすることがある。ホテルとしてはドリンクは利幅が大きいので、ビールなどをガバガバ飲んで欲しいのが本音だろう。しかしそれはそれで「それならお茶をお持ちしましょうか」と来るのがまともなサービスのホテルである。しかしホテルによってはその後完全に放っておかれて、茶も水も何も持ってこずに無視されたというところもある。

 こういう時に私が使う小道具にカメラがある。私は料理の写真を撮る場合は店側にプレッシャーをかけるのが嫌なので、店員のいない時にさりげなく撮ることが多いのだが、こういう場合には逆にあからさまに「写真を撮っていますよ」という撮り方をするのである。こうすることで「なめたマネをしていると、楽天トラベルで最低点の口コミを投稿するぞ。ブログでボロクソに書くぞ。」という「ややこしい客」の雰囲気を演出するわけである(実際には私はそういうことはせずに、単にその後そのホテルを完全無視するだけだが)。なお幸いにして今までホテルでここまでひどい対応をされたことはほとんどない。なお飲食店の場合は実質的にワンオーダーがルールになっているようなところもあるので(私はアルコールは駄目なんですがと言った時の反応で大体分かる)、その場合にはウーロン茶を頼んでおくことが多い。ちなみにそこで「それならお茶で良いですね」と向こうから言い出す店は私的には高評価となる(よほど料理がまずければ別だが)。

 さて完全に話がわき道にそれたが、ここの料理は予想通りに海産物を中心とした会席料理。これに焼き肉がついてくるという比較的オーソドックスな内容。たださすがに刺身の鮮度は良いし、料理自体の味も良い。なかなかに堪能できたのである。

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夕食膳

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海鮮サラダ

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ぶり大根

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陶板焼き

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茶碗蒸に

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炊き込みご飯

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そしてデザート

 夕食後は大浴場で入浴する。大浴場は「水族館風呂」ということになっているが、これはどういう意味かは風呂に入るとすぐに分かる。風呂の周りに窓があってその向こうを魚が泳いでいる。男湯と女湯の周りをドーナツ状の水槽が囲んでいるようである。伊東温泉のハトヤホテルに「魚が泳ぐ水中風呂」というのがあったが、こちらは「魚が泳ぐ生け簀風呂」である。よく見るとタイや鰯など美味しそうな魚が泳いでいる中にウミガメが一匹だけ泳いでいる。なお水流でもあるのか、大抵の魚が同じ方向に泳いでいる中、たまに逆方向に向かう魚がいる。あえて時流に逆らう私のようなひねくれ者が魚にもいるらしい。さらによく見ていると、最初は一匹だけが逆向きに泳いでいるのだが、その内にそれに刺激されて同じ方向に向かう魚が数匹出てくる。なんか人生の縮図だよな・・・。

 なかなかに快適なホテルだが、場所柄難点なのがネット環境が皆無なこと。LANなどがないのは温泉ホテルでは普通だが、ここは場所がはずれであるせいか携帯さえも満足につながらない。私のauではLTEはおろか3Gさえも不可で、音声通話がギリギリという状況。これだとメールを読むのが限界である。テレビはろくな番組がないし、これはなかなかツライ。結局この日は疲れていることもあって早めに就寝する。

 

 

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