徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団によるシベリウスを堪能

一旦ホテルに戻ってくつろいでからコンサートへ

 今日の目的としていた美術館を回り終えたところで、まだ時間が少々あるので一旦ホテルに戻ることにする。結構ハードに歩き回ったので、コンサートに出向く前に一休みしたい。ここのドーミーは初めてだが、新潟などと同じワンルームマンション形式になっている。最近のドーミーはこの形式が多いが、ホテルをやめた後でも再利用をしやすいことを考えているのだろう。実際にウィークリーマンションなどに転用したところもあるようである。なお私の部屋は手前に三畳分の畳スペースがある奇妙な和洋室。

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かなり変則的な部屋である

 ホテルに戻ったのは夜のコンサート前に入浴しておくため。やはりコンサートに出向く前には身を清めて・・・というわけでもないが、汗をかいたままだと気持ちが悪い。

 ここの大浴場はナトリウム-マグネシウム塩化物泉の天然温泉付き。やはりこれがあってのドーミーイン。六本木ウォークなどで今日も既に1万歩を越えている。足に疲労は溜まっているし汗もかいた。それらを風呂でゆったりと流す。

 1時間ほど部屋でマッタリすると夜のコンサートに繰り出すことにする。今日は7時からすみだトリフォニーホールでリントゥ指揮のフィラデルフィア放送響のシベリウスプログラムがある。

 

 

夕食は錦糸町で

 錦糸町に着くとコンサート前に夕食を済ませておくことにする。入店したのは「つばめグリル」。注文したのは「つばめ風ハンブルグステーキ(1200円+税)」。

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錦糸町のつばめグリル

 ホイルで包んだ熱々のハンバーグが出てくる。オーソドックスではあるがなかなかに美味。まあ東京でこれなら上々だろう。それにしても私は今回は東京では見事なほどにチェーン店ばかり使ってるな・・・。

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ホイルに来るんだハンバーグが出てくる

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熱々である

 夕食を終えるとトリフォニーホールに向かう。トリフォニーホールに来るのは初めてだが、このコンサートのチケットを受け取りに一度出向いているので場所の確認はバッチリである。ホールに到着した時はちょうど開場直後のようで、ゾロゾロとホールに入場中であるので私もその行列に続く。

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ゾロゾロとホールへ入場中

 ホールは3階建ての結構大きなもの。2階席がそのままバルコニー席につながって、グッと前の方まで続いているのが大きな特徴。かなり立派なホールである。さすがに東京はサントリーホール以外にもミューザなど良いホールが多い(中にはNHKホールのようなどうしようもないところもあるが)。こういう点は環境的に恵まれていると言わずにはいられない。

 私の席は一階中央付近のかなり良い席。確か予約開始直後に真っ先に電話をかけた記憶がある。努力は報われたようだ。ただ気になるのは場内の入り。ハッキリ言ってガラガラと言って良い状態。大体4割程度の入りというところか。今回はリントゥによるシベリウスチクルスの最終回のはずだが、やはり日本人にはシベリウスは少々地味か。それに今回は交響曲第5番と7番と言ったシベリウスの交響曲の中でも知名度が高いとは言い難い曲なのも響いているのかもしれない。多分今日来ている

客は私のような筋金入りのシベリウス好きが中心だろう。

 

 

ハンヌ・リントゥ指揮 《シベリウス生誕150年記念/交響曲全曲演奏会》

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ハンヌ・リントゥ[指揮] 
フィンランド放送交響楽団[管弦楽] 

曲目
シベリウス/交響詩「タピオラ」、交響曲第7番、交響曲第5番 

 もう最初の音からグッと来た。まさにご当地サウンド、シベリウスはこうでないとという音色である。ステージに北欧の霧が立ちこめるような感覚。その奥から弦と柔らかい管が響いてくる。

 オケ自体の技量は決して一流というわけではなく、リントゥがペースを煽ると弦のアンサンブルがギリギリの状態になるなどいう場面もあったが、それでもやはり現地オケでないと出せない音色というものが明らかにそこにあった。下手に演奏すると曲全体がグダグダになりかねないのがシベリウスの恐いところだが、最後まで緊張感を保ち続け、決して分かりやすいとは言いがたい交響曲第7番も最後まで興味を持って聴かせ続けさせる美しくて奥深い音楽となっていた。久々に堪能できるシベリウスであった。

 

 名演を受けて場内の盛り上がりもかなりのもので、空席もかなり多かったにもかかわらず場内は割れんばかりの拍手に包まれた。アンコールの二曲が終わってもその熱気は冷めることがなく、オケ団員が引き上げても場内の拍手が終わらないので、着替えの途中のリントゥがステージに戻ってくる羽目に。

 オケにご当地ものばかり求めてしまうのもどうかとは思うが、しかしやはりこういう演奏を聴くとご当地ものの魅力は否定できない。例えば同じ曲をベルリンフィルなどが演奏したら明らかに演奏は数段上手いだろうが、この北欧の感覚というのはどうしても出ないだろうと思われる。こういう確固たるホームグランドがあるという点では、やはりヨーロッパのオケは有利である。日本のオケも技量はかなり上がったのだが、西洋音楽という土俵で戦う以上、常にアウェイである不利は否めない。

 満足してホテルに戻ってくると、ドーミーイン名物の夜鳴きそばで小腹を満たし(こういう時にこのサービスは本当にありがたい)、再び入浴してから早めに就寝したのである。今日もかなり疲れた。

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