今は亡きサントリーミュージアム跡へ
床についたのが早めだったせいか、夜中に中途覚醒してしまって目覚めが悪い。どうも年のせいかいわゆる睡眠力が落ちているようで、中途覚醒が増えてきた。深い眠りが持続せず、眠りが浅いせいで途中で目が覚めてしまうのである。一旦そうなると、後はうつらうつらと寝ているような起きているような状態が続くので、朝になっても疲れが抜けきっていないような状態になってしまう。
今日の予定は2時からの関フィルのコンサートだけ。ホテルのチェックアウト時刻が10時なので、ギリギリまで粘ったとしてもかなり時間が余る。どうしたものかと考えながら、今朝もバイキング朝食。昨日と若干はメニューが変わっているようだ。
テレビを見たりシャワーを浴びたりしながら10時まで時間をつぶすとチェックアウト。さてこれからの予定だが、天保山まで出向くことにする。大阪文化館(旧サントリーミュージアム)で藤城清治の展覧会が開催されているというポスターを見かけたので、それに参加することにした。
サントリーミュージアムが閉鎖になってからここに来たのは初めてだ。以前はもっと閑散としていた気がするが、かなり多くの外国人観光客がやって来ていてあたりはガヤガヤしている。ただ美術館の方はそう人が多いというほどでもない。
「光と影の芸術人 藤城清治世界展」大阪文化館で12/7まで
切り絵作品で有名な藤城清治氏の初期の作品(最初期の油絵も含む)から最近の作品まで一堂に展示。さらに影絵劇場の仕組みなども見せる展示が特徴的である。
その切り絵作品の精緻さと煌びやかさは相変わらずであるが、近年ではさらに精神性の深まりも増しているようである。特に戦争体験者である彼の平和への思いが滲み出ている作品が多く、それらは自然に胸を打つ。
時間つぶし程度のつもりだったのだが、予想外に面白い内容であった。藤城清治氏も90才を超え、昨年は脊柱管狭窄症での手術まで受けたそうだが、まだまだ創作意欲は衰えていないようである。これからもさらなる活躍を期待したいところ。
さてそろそろ昼食時である。どこで昼食を摂るかと天保山マーケットプレースをプラプラと散策したが、とにかく人が異常に多いし、どうもピンとくる店がないしということで、結局は一回りしただけで出てしまう。そのまま駅の方までプラプラと歩いて途中の和食店に入店したのだが、結果は・・・。昼食時なのに客がいないのが気にはなっていたが、それも仕方ないかというところであった。とりあえず昼食を終えるとホールへ移動。
関西フィルハーモニー管弦楽団第270回定期演奏会
[指揮]オーギュスタン・デュメイ(関西フィル音楽監督)
[ピアノ]ジャン=フィリップ・コラール
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 op.62
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73「皇帝」
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67 「運命」
いわゆるデュメイ節が遺憾なく発揮された演奏である。関フィルはデュメイが指揮すると弦の音色が全く変わって、かなり密度の高い滑らかな演奏となる。相変わらず管には弱点があるものの、弦の魅力がそれを補って余りあるというところである。
「皇帝」についてはピアニストのコラールはテクニックを前に出してくるタイプではなく、かなり歌ってくるタイプである。ただテンポの微妙な揺れのような物を持っているので、デュメイの方が必死で合わせているような感があったが、演奏自体は安定した無難と言えるもの。
「運命」はなかなかの熱演である。密度の高い弦でグイグイと押してくる構成が快感。これで金管がもっと安定したらさらに1グレード高い演奏になるのだが、現在のところはまずまずという印象か。
コンサートと展覧会に明け暮れた二泊三日であったが、内容的にはまずまずの充実度あったと思う。ただそれにしても昨今の京阪地区での宿泊料の異常高騰はキツい。財政的に余裕がほとんどないことを考慮すると、今後の京阪地区遠征のあり方を考え直す必要もありそうだ。