徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

オッコ・カム指揮フィンランド・ラハティのシベリウスチクルスのために東京へ

オペラシティでシベリウスチクルスだ!!

 この週末は東京へフィンランドラハティのシベリウスチクルスを聴きに行くことにした。シベリウスイヤーの一環として東京オペラシティで企画されたコンサートで、実のところ私はこれのチケット入手のためにオペラシティの有料会員にまでなっている。

 コンサートは木曜から金、日の三日間なので、木曜の午後から休暇を取っての遠征である。しかしよりによって来週に重要な社内発表を控えての慌ただしい時になってしまった。しかしそんなことに構っていられない。まあそれにどうせこの発表で成功を収めたからと言って、今更私が出世できるわけでもないし。とりあえず大急ぎで発表の準備を整えると仕事場を後にする。

 新幹線に飛び乗ると東京へ。昼食は車内で弁当を購入。東京に到着したのは4時過ぎである。

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昼食は車内で駅弁

 コンサートはオペラシティで7時から。まずはそれまでに荷物をホテルに置きに行くことにする。いつもならホテルはNEO東京というところなんだが、今回は別のホテルを確保している。それはホテル浅草。浅草にあるカプセルホテルと隣接したビジネスホテルである。あえて今回別のホテルを選んだのは、NEO東京以外の選択肢も用意しておくため。と言うのも昨今のホテル価格の異常高騰は東京地区にも当然及んでいる上に、あの東京利権ピックが開催されるとさらに高騰に拍車がかかるのは容易に予想される。しかも昨今は南千住地域が外国人から安いホテルがある地域として目を付けられているとか。そうなると早晩大阪の新今宮周辺のようにアジア人に占拠されて予約が取れなくなるという事態が想像できる。そのような時が来た場合に備えての保険でもある。やはり何事も二手三手先を読んでの準備は不可欠・・・ってこの周到さが仕事で生かされていたら私も今頃は・・・。

 東京から神田で銀座線に乗り換えて田原町から5分程度でホテルに到着する。ホテルはいかにもくたびれた建物。部屋はきれいとは言い難くてタバコの臭いがするのが気になるところ。さらに驚いたのが風呂が異常に狭い上にトイレとの間に仕切がないから、シャワーを使用するとトイレが水浸しになること。うーん、これはどう考えてもNEO東京の方が環境が良い。勝っているのは立地だけか。

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浅草からはスカイツリーが近くに見える

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ホテル玄関

 

 

夕食はホール近くで済ませる

 とりあえずシャワーで簡単に汗を流してから外出する。浅草から都営浅草線に乗ると東日本橋で都営新宿線の馬喰横山に移動したら初台までは直である。オペラシティに到着したのは6時前。コンサート前に夕食を摂っておくことにする。店は例によっての「東京では下手な現地の店よりもチェーンの方が無難」の法則に従って、地下の「新宿さぼてん」に入店。「牡蛎フライとロースカツの定食(1590円)」を頂く。何やら最近は牡蛎フライばっかり食っている気がする。やっぱり疲れてるんだろうか。

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夕食はチェーン店の「新宿さぼてん」

 東京で食べる牡蛎フライはやや生臭さを感じさせるのはいたしかないところか。東京という場所は日本中の食べ物を入手できるが、いずれも現地よりは数段レベルが低いというのも真実。

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東京で食べる牡蠣フライはまあこの程度か

 夕食を終えるとホールへ。このホールは初めて来るが、長方形のいわゆるシューズボックス型というもの。ただ天井は中央がピラミッド状に高くなった独特の形態。音響特性としては、響きはそれなりにあるのだが音の分離が悪いといういわゆる「銭湯型」。なお私は会員の最優先予約で座席を確保したので、一階ホール中央といういわゆるVIP席。

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ホール前には既に人だかり

 開演時間までは会員サービスで付いてきたドリンク引換券を使ってカフェでアイスココアで一服。そうこうしている内にホールには続々と観客が入ってきて、ほぼ満席に近い入りになる。

 

 

生誕150年記念シベリウス交響曲サイクル

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指揮:オッコ・カム
フィンランド・ラハティ交響楽団

シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 op.39
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op.43

【アンコール曲】
シベリウス:
・ミランダ(組曲「テンペスト」op.109より 第2番 第6曲)
・行列 JS54
・間奏曲(「ペレアスとメリザンド」op.46より)

 もう音色からフィンランドである。最初の音が出た時から目の前にフィンランドの大地が広がったという印象。純粋に技術面を見ればヨーロッパの一流オケよりは一段落ちるのは明らかだが、ことシベリウスを鳴らしている限りはそれが弱点として現れないという完全にシベリウス専用オケのようなところがある。

 オッコ・カムの指揮はわざとらしい演出は廃したオーソドックスと言えるものである。細かくテンポを振ったりすることもあるが、そこに不自然さや大袈裟な仕掛けはなく、醸し出される音楽はあくまで自然そのものである。それでいながらここまでガツンと迫ってくるシベリウスは久しぶりに聴いたと思わせられる。

 場内はかなりの盛り上がりになっていた。アンコールは3曲に及び、オケが引っ込んだ後にもオッコ・カムが再び登場する羽目になっていた。

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てんこ盛りのアンコール

 地味なオケの地味なプログラムだけに、集まった観客は私のような筋金入りのシベリウスファンが多いのだろう。多くの観客が息をのみながら音楽に神経を集中していた印象で、よくあるガサガサゴソゴソゴホンゴホンというのはあまり聞こえてこなかった。

 ラハティ響は12編成というやや小振りのオケであるが、その割りには弦が良く鳴っているという印象を受けた。ただ管の方は若干粗いところがあるので、たまにバランスを崩しかねぐらいバリバリ出てくる場面もあったが。

 コンサートを終えるとホテルに戻り、大浴場で汗を流すと翌日に備えてそのまま就寝する。

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