徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

「ミュシャ展」でスラブ叙事詩に圧倒される

 この週末は東京遠征を実行することと相成った。今回の遠征は様々な紆余曲折があって、結果としては大型遠征となっている。

 そもそも最初のきっかけはトリフォニーホールで開催されるインバル指揮のコンサートについて、新日フィルの公演と組み合わせた安価なセット券の案内が来たこと。インバルの公演については大阪公演のチケットを既に入手済みだったが、五嶋龍が抱き合わせになっているこのチケットには少々不満があった。そこで五嶋抜きの安価な公演に食指が動いたという次第。

 以前からクラシックマニアの間で問題視されているのは、外来オケ公演への五嶋龍や辻井伸行の抱き合わせ。別に彼らが演奏者として駄目という気は毛頭ないが、毎回毎回ソリストが彼らだと飽きが来る。しかも彼らが抱き合わせになると、まずはチケット価格が5000円~10000万円ぐらい釣り上げられる上に、当日の客層が覿面に悪くなる(明らかにミーハー客が増える)ということが起こる。しかも五嶋はともかく、辻井に関してはソロでの公演は良いが、その身体的ハンデから協奏曲のソリストとしては明らかに難がある(指揮者とアイコンタクトを取れないことは時には演奏において致命的である)だけに少し考え直して欲しいところ。

 以上、諸々で今回の遠征は金曜午後に出発して火曜早朝に戻ってくるというもので企画された。しかしその後に、火曜日に京都で「わが祖国」全曲公演があるとの情報が飛び込んできたことから、これに行くとなると火曜は会社に遅出した挙げ句に早退する必要があるので、いくら何でもこれはちょっとというわけで、思い切って火曜も休暇を取ることにした次第。

 金曜の仕事を午前中で終えると神戸空港まで移動する。旅費の節約のためにスカイマークで飛ぶことにしている。例によっての「いま得」チケットである。飛行機は好きではないので、新幹線がもう少し安ければ助かるのだが。

 

 神戸空港まで行ってしまうと昼食の店がないので、三宮でミントの飲食店を物色。結局は「かつくら」に入店して「ヘレカツとおばんさいのランチメニュー(1980円)」を注文。

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ミントのかつくら

 カツよりもむしろおばんさいのうまさが光る。今の私にはこちらの方が合うか。また辛子の入った白味噌の味噌汁がさっぱりしていてうまい。最初に「味噌汁に辛子が入ってますが大丈夫ですか」と聞かれた時には「?」だったのだが、実際に飲んでみると目からウロコである。こういう発見はうれしい。

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ヘレカツとおばんさいのランチ

 昼食を終えるとポートライナーで神戸空港へ。この辺りは毎回お約束の行程。空港に到着するといつものように荷物検査を受けてから搭乗。ところでANAは機体の後部席から先に搭乗させるのに対し、スカイマークは窓側座席から搭乗させるシステムになっている。どちらもそれぞれ理屈があるのだが、果たしてどちらの方がスムーズなのかは判断が難しいところ。ちなみに搭乗時に混乱がよく起こるのはスカイマークの方だが、これは客層の違いもあるので搭乗システムだけが原因とは言いにくい。

 とりあえずいつものスカイマークの737に・・・と思ったらどうもどこか違う。私の乗った機は宇宙戦艦ヤマトとのコラボ企画とかで、機体にはヤマトのペイントが、座席カバーもヤマト、しかも機内にはBGMでヤマトが流れているという状況。それどころか機内アナウンスまで森雪なのにはたまげた。なおこうして聞くと、二代目森雪の声は初代よりもかなり色っぽい声。新シリーズのヤマトは女性キャラを大幅増量しただけでなく、こういう点も今風にしてたのか。

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ヤマトコラボの機内

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こんなところにまでヤマト

 気流の乱れでかなりフラフラとした気持ちの悪い飛行になったが、無事にほぼ予定通りに羽田空港に到着する。空港に降り立つと早速最初の目的地に直行する。今日の目的は実は今回の遠征の最大目的とも言えるもの。そもそも今回の遠征が企画されたきっかけは最初に説明したようにインバルのコンサートなのだが、遠征の実行が決定されたのはこの時期に重要な展覧会が開催されることが判明したため。それは国立新美術館で開催中の「ミュシャ展」。まあただのミュシャ展なら大抵いつもどこかで開催されているのだが、本展がそれらと根本的に異なるのはミュシャ晩年の大作「スラブ叙事詩」が全作来日するということである。スラブ叙事詩とは晩年にチェコの愛国運動に身を投じたミュシャが、故郷の歴史を題材にして描いた一連の作品である。全20作でいずれも縦横数メートルはあるという大作であり、これを見るにはプラハの美術館を訪れるしかなかったのである。私も死ぬまでに一度はこの作品を見たいと思いつつも、まずヨーロッパになんか行くことはないだろうから諦めていた次第。それがこの度なんと来日するというのだから、これは万難を排しても来ないわけにはいかないということである。

 羽田空港から乃木坂まで地下鉄を乗り継いで1時間弱。今日は金曜日の夜間開館があるので見学時間は十分である。ただいつにもなく美術館に向かう客が多いのが気になるところ。もし行列だったら嫌だなと思ったが、幸いにしてスムーズに入場できた。あの観客の中には同時に開催されていた「草間彌生展」に行った者も多いようだ。ちなみに私はあの水玉模様をどうしても生理的に受け付けないのでパス。

 

「ミュシャ展」国立新美術館で6/5まで

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 20世紀最強の萌え絵師、アール・ヌーヴォーの寵児だったミュシャが、チェコのムハとして晩年に作成したのが大作のスラブ叙事詩である。

 神話もまじえた幻想的な内容はいかにもミュシャらしい。ただ圧倒されるのは、大画面の中に同時に多数の要素を放り込みながら、それが全体としてバランスの取れた見事な画面構成になっているところ。また大作でありながら、よくよく見ると実に細かいところまで表現されていたりする。

 なお館内の一部は撮影可能スペースとなっていたのだが、作品の撮影をしつつ気づいたのは、作品全体の構成で全く隙がないのは当然として、一部を切り出してもそれはそれで作品として成立してしまうということ。

 とにかくグレードが高いという月並みの言葉しか出てこなかった。圧巻であった。

 思わず圧倒される作品に、結局は館内に1時間半ほど滞在していた。これは大抵の展覧会では滞在時間は30分程度という私にしては異例の長さ。それだけの内容があったということである。正直なところ、この作品だけでも往復の飛行機代の価値は十二分にある。

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 展覧会を終えると夕食を摂ってからホテルに移動することにする。ホテルは毎度のように南千住のホテルNEO東京。今では移動のスカイマークと共に私の東京遠征実行を費用面から支える二大要素である。

 夕食は途中の北千住で摂ることにする。店を物色して商店街をウロウロしたが、キャリーを引きずっての移動がしんどすぎて疲れてきたことから、結局は適当に回転寿司に入店して夕食にする。

 ホテルにチェックインすると入浴してからしばし休息。ただこの日は体調の不良に悩まされる。なぜかやたらに腹が張って苦しい。結局はこの謎の不調は翌朝まで続くことに。