徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

都響 第842回 定期演奏会&品川台場見学&「シャガール」「ロートレック」「古代アンデス展」

 翌朝は目覚ましをかけずに寝ていたのだが、夜中に一度目が覚め、次に目が覚めると8時だった。

 今日の予定は夜の7時から上野の東京文化会館での都響のコンサート。シベリウスのクレルヴォ交響曲というレア曲が演奏されるというので、ついで今日も東京に残留することにした次第。つまり今日は夜までフリーであるので、美術館巡りの第二段。残存美術館の掃討戦になる。

品川台場(続100名城)を見学

 とりあえず9時過ぎにホテルをチェックアウト。美術館巡りの予定の前に、別件で一カ所立ち寄ることにしている。目的地はお台場。実はここも続100名城の中で私がノーチェックだった場所である・・・って言うか、ここが城か? これに関しては「異議あり、裁判長!」である。

 お台場はペリー来航によって風雲急を告げた幕末、江戸防衛のために幕府によって整備された海上砲台である。台場は最終的には8つ作られたが、今日ではその大部分が埋め立て地に埋もれ、現存しているのは陸続きとなって公園となっている第3台場と、その沖に孤立して立ち入り禁止の第6台場のみである。

 お台場へはJRで新橋まで移動して、そこからゆりかもめでお台場海浜公園に行くことになる。その前に上野駅でコインロッカーにキャリーなどの大きな荷物を押し込んでおく。ちなみにここのロッカーも昨日までは馬鹿トランプのせいで使用禁止になっていたところ。あの迷惑男がさっさと韓国に渡ってくれたおかげで助かった。もし一日ずれていたら目も当てられないところだった。

 新橋駅のうどん屋で朝食にカツ丼とうどんのセットを頂く。この店は讃岐うどんを名乗っているだけに麺は悪くはないのだが、所詮は出汁の味付けが関東風。関西人に言わせると「塩っぱくて食えたもんじゃねぇ」という話になってしまう。

 とりあえずの朝食を終えるとゆりかもめに乗車。東京の湾岸地域をユラユラとお台場に向かう。第3台場も今では地続きになって突堤のようになってしまっているが、元々は江戸の防衛のために急遽整備した人工島の砲台である。ただ砲台を整備したところで所詮は異国船打ち払いなどこの時期には国力的に不可能で、幕府はズルズルと開国を強いられることになって無用の長物と化して今日に至っている。

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ゆりかもめから見た第6台場

 第3台場は海の向こうに見えているが、駅からは歩くと意外に距離がある。この辺りの海岸通りは運動不足の東京人にとっての格好の散歩orジョギングコースになっているとか。

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第3台場は海の向こう

 近づいてみると意外としっかりした石垣で周りを囲っていることが分かる。それを乗り越えると周囲が幅広い土塁となっていて、これがいわゆる砲台になるのだろう。そこから内部は下がっていて、そこには恐らく弾薬庫などがあったのであると思われる。結構な面積があり、戦国期のちょっとした城郭並みの広さがある。

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陸続きになっている

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内部は結構広い

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土塁上にある砲台跡

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第3台場風景

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内部の建物跡

 土塁上を一回りしてみると、桟橋があってそこから出入りしていたのが分かる。なお桟橋の先は虎口のような構造になっており防御がとられている。確かに小舟で乗り付けられて接近戦になったら呆気なく落ちるようでも困るから、一応城郭的な防御もあるのだろう。

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出入口らしき桟橋

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桟橋の手前には虎口構造も

 土塁の上からは隣に浮かぶ第6台場も見える。あちらも半分朽ちた桟橋があるようだ。構造としては多分こちらとほぼ同じと思われるが、鬱蒼としていて詳細は分からない。今では東京湾では数少ない野鳥の楽園となっているとの噂。となれば、野鳥の糞なんかもかなり凄いんだろう。後100年もすればリン鉱石が取れるようになるかも。

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第6台場が隣に見える

 お台場を一周したが、結局は城郭といえば城郭なのかもしれないが、やっぱりお城ではなかろうというのが私の正直な感想。これが城なら第二次大戦の陣地跡も城になってしまう。やはり私の感覚では城と言えるのはギリギリ五稜郭まで。まあ東京近辺では珍しい「雰囲気のある場所」なので、東京人ならここを入れたいという気持ちは分からなくはないが。ただ今回の続100名城には東京からは滝山城も入っている(こちらは押しも押されぬ文句なしの続100名城だと思う)ので、あえてお台場を入れる必要があったかは疑問。

 お台場を後にすると東京駅まで戻ってくる。これから美術館巡りパート2になる。まず最初の美術館はこの東京駅の中。

 

「シャガール 三次元の世界」東京ステーションギャラリーで12/3まで

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 画家として有名であるシャガールだが、晩年には多数の彫刻作品も残している。それらの作品を中心に展示。

 技術的には決して巧みとは言いがたい作品であるのだが、そこに流れているのは絵画と同じイメージである。だから作品自体はどこから見てもシャガールのものとしか言い様がない物ばかり。ただシャガールの絵画の最大の魅力の一つがあの煌びやかな色彩と考えると、色彩を帯びない彫刻作品はどうしても魅力が劣るように私の目には感じられてしまう。どちらかと言えば色彩がつけられる陶器の方が面白く感じられたのだが、こっちはこっちで単にキャンバスを陶器に代えただけの作品にも思われ、何となく中途半端な印象を受けたのも事実。

 

 駅から外に出ると雨がぱらついている。そこで地下に潜って次の美術館は地下伝いで歩く。

 

「パリ♡グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展」三菱一号館美術館で1/8まで

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 19世紀末の芸術渦巻くパリ。そこで発達したのが版画。ロートレックなどの芸術家の登場によってポスターなどが美術として評価され始めた。この時代のポスターなどの版画類を展示。

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 19世紀末のパリの猥雑であるが活気ある雰囲気を伝える展示物が多数。ただ類似した趣旨の展覧会は今まで各地で多数開催されているので、それらの一種という雰囲気で本展独自の特徴のようなものは今ひとつ感じられない。展示品はかなり貴重なものなのであろうが、その割には展覧会自体の印象は薄い。版画という量産品故の宿命もあろうが。

 

 

上野の黒船亭で遅めのランチ

 さてこれからどうするかだが、後の予定は上野での宿題。昨日に行き残したというのは上野の国立科学博物館。そこで開催中の「アンデス展」を見学しようとの考えである。ただ上野に行くのだから、ついでにまずは昼食を摂っておくことにする。

 どこの店に行くかに少々悩んだのだが、結局は「黒船亭」に行くことにする。もう昼食時は過ぎていたのだが、昼食時間帯の余波か数人の待ち客がいる模様。結局は入店までに30分弱待たされる羽目に。東京ではまともなものを食べようと思うと行列は必至らしい。

 ようやく入店したところで注文したのはここの看板メニューでもあるハヤシライス。実は以前にここに行った時に悩んだのだが、やはり私はハヤシライスに対してもっているネガティブなイメージを払拭できなかったためパスしてビーフシチューにした次第。しかし昨日図らずもハヤシライスに対する私の考えが変わったのと、以前にここでビーフシチューを食べた時のことを考えると、あのデミグラスソースでまずいはずはないと考えた次第。

 しばらく待った後にスープから登場。やや苦みのあるスープだがまずまず。メインのハヤシライスは私の予想通りというか、私の予想以上にうまかった。最初にこういうハヤシライスに遭遇していたら私のハヤシライスに対するネガティブなイメージなど形成されなかったのに。そういう意味では下手な料理というのは罪作りである。

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スープに

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サラダ

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メインのハヤシライス

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デザート

 夕食を堪能すると国立科学博物館へ向かう。

 

「古代アンデス文明展」国立科学博物館で2/18まで

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 南アメリカの地では歴史において多数の文明が勃興している。それらの文明について系統的に紹介。

 南アメリカと言えばインカやマヤぐらいしかイメージがなかったのだが、それ以外にも多数の文明が、互いに影響を与えたりしつつも独立して発展してきたという認識は、恥ずかしながら私にはあまりなかった。今回それらの文明の遺産などを一望したことで、この地域に対する認識というのがかなり変わったように感じられる。

 ただこの地域に関する展覧会を見ると、結局常に最後はスペインによる蛮行にたどり着かざるを得なくなるのであるが、本展でもつくづく中世ヨーロッパの侵略性と野蛮性というのがチラホラと見えてしまうのである。本展でも出土品のほとんどが石器の類いで、金製の製品がほとんどないのも彼らによる略奪の結果。歴史的に見ると、ヨーロッパ人の海外進出というのはつくづく地球規模の災厄だったとしか言いようがない。

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 何だかんだでここで1時間以上滞在していた。想定以上に見応えのある内容で堪能した。気がつけばもう閉館時刻も間近。閉館前に博物館を出ると文化会館に移動する。会館内はもう既に観客が結構来ている。こんなところで1時間以上ボンヤリ待つのも性に合わないので2階のレストランに行ってケーキを頂きながらしばし時間をつぶす。

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東京文化会館に入場

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喫茶でくつろぐ

 開場10分前にはゲートの前で長蛇の列。全席指定だから待つ必要もないのにわざわざ行列を作って文句も言わずに待っている日本人。毎度のことながら奇妙な風景ではある。

 ようやく入場時刻。私はこのホールには今まで2回来ているが、いずれも3階や4階の高層席ばかり(つまり安チケットということ)。1階席に座るのは今回が初めてである。

都響 第842回 定期演奏会Aシリーズ

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指揮/ハンヌ・リントゥ
メゾソプラノ/ニーナ・ケイテル
バリトン/トゥオマス・プルシオ
男声合唱/フィンランド ・ポリテク男声合唱団

━フィンランド独立100周年━
シベリウス:クレルヴォ交響曲 op.7

 リントゥの指揮は躍動的で非常に激しいもの。メリハリの強い演奏である。それに応えて都響の演奏もなかなかにしっかりしていた。また男声コーラスが非常に素晴らしく聴き応えがあった。ソリストはメゾソプラノのケイテルがやや線が細くてバックに埋もれがちに聞こえたことが少々気になったところ。

 クレルヴォ交響曲自身はかなり異端な曲で、交響曲とオペラを組み合わせたかのような印象の曲。器楽部分に関してはいかにもシベリウスらしい北欧の自然を思わせる音楽があるのだが、残念ながら曲自体はやや冗長に過ぎる感がある。そのためかリントゥは曲にメリハリをつけることで退屈になることを避けたように感じられる。

 アンコールが合唱付きのフィンランディアだったのだが、これが合唱団の熱演もあって、実に感動的な名演となっていた。どちらかと言えばこちらの方が強烈に印象に残るコンサートとなってしまった。

 場内は結構の盛り上がりで、最後は退場する合唱団を場内が拍手で送り出したのである。

 

 これで予定は終了。当初はこの後にサンライズ出雲で帰ることも考えていたのだが、やはりそれもしんどいので、今日は新横浜で宿泊して明日朝一番の新幹線で帰宅して仕事場に直行することにしている。

 上野の駅ナカで今半のすき焼き弁当を夜食に買い込むと、東京駅からのぞみの自由席で新横浜へ。東京から新横浜まで新幹線に乗る客なんているんだろうかと思っていたが、意外に大勢がゾロゾロと降りる。

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今半のすきやき弁当

 宿泊したのは新横浜駅前のコートホーテル新横浜。どうせ寝るだけなので宿泊料金を最優先にしつつ、カプセル以外で探したホテル。駅からは歩いて5分程度というところか。ホテルにチェックインすると、まずは風呂で汗を流してから夜食をかき込み、すぐに就寝と相成ったのである。

 


 翌朝は5時に起床すると身支度をして直ちにチェックアウト。朝一番のひかりで戻ることになったのである。やや睡眠が足りていないので、帰りの新幹線の中はひたすら爆睡で過ごすこととなったのである。