徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

麒麟がくる第39話「本願寺を叩け」

本願寺相手に大苦戦の信長

 信長軍、本願寺を相手に苦戦中。帝が気にしているの一言でぶち切れた厨二男は暴走して本願寺勢の銃の的に。光秀が必死で諫めている背後で、松永久秀の「もうこいつはダメだな」という冷たい視線が。もう松永は明日にでも信長を裏切りそうな雰囲気ですが、どうやら来週に裏切るようです(笑)。既に暴走する厨二男は光秀でさえも制御不能に。着実に本能寺への道が舗装されつつあります。

 それにしても合戦シーンがかなりショボくなっており、ここのところの一連の合戦もナレーションとアニメーションだけで終わらせることが多くなっています。序盤にオープンセットの岐阜城でのドローンによる空撮とか予算をかけすぎて予算切れになったのか、コロナの影響でエキストラを大規模に動員した撮影が出来なくなったのか(多分こっちが大きいんだと思うが)。まあそれなりに合戦らしい合戦をしていたのは桶狭間までですね。何しろナマ倉義景の最後までナレ死に毛が生えた程度でしたし、将軍様に至っては何やら見慣れた屋内セットの中で藤吉郎にふん縛られただけでしたから。

 ところで本願寺勢は実際にかなり強かったようです。特に本願寺には日本最強の傭兵集団である雑賀衆が荷担しておりました。雑賀衆の鉄砲隊は恐らく当時の日本で最強です。これが豊富な武器弾薬を抱えて、実質的に堅固な城塞である本願寺に立て籠もっているわけですから、攻め手もちょっとやそっとでは落とせません。しかも背後では一向宗門徒のゲリラ部隊もジハードしてましたし。さらに信長がぶち切れていたように、臣下の中にも本音では本願寺と争いたくない奴もいました。だから信長にとっても実は本願寺との戦いが一番ハードな戦いだったと思われます。

 そして光秀は心労・過労・戦の傷などが複合してぶっ倒れてしまう。何とか回復したものの、入れ替わりで熙子が倒れてそのまま帰らぬ人に・・・って今回はそれだけしか内容がなかったな。ちなみに光秀が病気でぶっ倒れたのは史実で、それを看病していた熙子が看病疲れか病気になって亡くなるのも史実です。ちなみに光秀は最愛の妻を失ったショックで一気に認知症が進んだなんて説までありますが、まさか本作はこの説ではないでしょう。

 

段々とトンデモ化していく信長

 信長はヒステリーだったと言われていますが、本作品の信長も見事にヒステリー発作を起こしてます。しかしさらにタチが悪いのは、単なるヒステリーだけでなく、そこに厨二臭がプンプンと漂っていること。「お前らの弾なんか当たるか!」「バーン」「やられた」ではまるっきりギャグです。まあ雑賀衆の鉄砲の腕前を考えたら、本当にあんなことをしたらあの時点で「NHK大河ドラマ織田信長 完」です。史実で信長が実際に足に流れ弾を受けて負傷したという記録があることを反映してでしょうが、実際はあそこまで厨二ではありません(笑)。

 なお信長は毛利からの物資補給を断ったら本願寺に勝てると勢い込んでましたが、そうやって動員した九鬼水軍は初戦でものの見事に毛利水軍の焙烙玉の前に粉砕されてしまうので、また再び信長がぶち切れることになるだろうと推測されます(恐らく合戦自体はナレーションだけで片付けるだろうな)。

 それにしても信長が段々とトンデモになっていきます。比叡山の描き方からも明らかなように、本作は「主人公と敵対するような奴は、討伐されても当然なトンデモな奴」という描き方で一貫するという方針が見えています。ですから焼き討ちを食らった比叡山は徹底して「あんなトンデモ集団は焼き討ちされて当然なんだ」という描き方を執拗にされていました。

 また将軍についても、いずれは光秀は離反するというのが確定していたので、最初はそれなりに「良い人」だったのが、段々と馬鹿殿っぷりがひどくなっていき、とうとう最後には「そりゃ光秀が見切りを付けるのも当たり前の馬鹿殿」状態になっていました。

 このパターンから行けば、いずれ信長も「そりゃ、本能寺で討たれて当たり前の手のつけられない厨二男」という流れになるんではという予感が強烈にしているところです。