徒然草枕

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今週のベルリンフィルデジタルコンサートホールはジョン・ウィリアムズの映画音楽集

心身共に疲れ切った週末はベルリンフィルのポピュラーコンサート

 先週末の大阪日帰りのダメージは意外になほどに身体に残っており、この週末はダルい体を回復するために家でゴロゴロという非常に怠惰な生活を送ってしまった。落ちたのは体力なのか精神力なのか、どうもあの往路での異常な渋滞で精神力が根っこから削られてしまったような気がする。その挙げ句の空腹を抱えての帰路の運転で完全に精根尽きてしまった。

 しかも天候不順が身体の不調に拍車をかける。先週までは完全に真夏だったのに、昨晩から急に真冬である。数年前から「気候がデジタル化している」というのが私の主張であるが、春とか秋といったファジーな季節が消滅して、夏と冬だけになってきた気がする。数年後には日本は四季でなくて二季が常識になってしまうのでという気までする。

 さて今週もベルリンフィルデジタルコンサートホールの時間差ライブ配信があるのだが、今回は毛色が変わってジョン・ウィリアムズによる自作演奏会である。いわゆるポピュラー系演奏会ということになるか。

 

 

ベルリンフィルデジタルコンサートホール

指揮:ジョン・ウィリアムズ

ジョン・ウィリアムズ
《オリンピック・ファンファーレとテーマ》
《未知との遭遇》から抜粋
組曲《遥かなる大地へ》
《ハリー・ポッターと賢者の石》よりヘドウィグのテーマ
《ハリー・ポッターと賢者の石》より〈ニンバス2000〉
《ハリー・ポッターと賢者の石》より〈ハリーの不思議な世界〉
《ジュラシック・パーク》のテーマ
《スーパーマン・マーチ》
《インディ・ジョーンズ/最後の聖戦》よりオートバイとオーケストラのスケルツォ
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』よりマリオンのテーマ
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』よりレイダース・マーチ
チェロと管弦楽のための《エレジー》 ブリュノ・ドルプレール(チェロ)
《ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー》より〈ハンの冒険〉
《スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲》よりヨーダのテーマ
《スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望》より王座の間とエンド・タイトル

 初っ端から聞き慣れたオリンピック・ファンファーレが実に格好良い。オリンピックはろくでもないイベントであるが、この音楽は実によい。

 次は未知との遭遇。これは奇っ怪な音楽だが、例の5音のフレーズがあちこちで登場して「これは未知との遭遇の音楽である」と主張している。

 「遙かなる大地へ」を経て「ハリー・ポッター」は私は見たことがないので全く知らない。まあ音楽としてはいかにも映画音楽という印象。

 休憩を挟んでのスーパーマンはこれまた非常に有名な実に勇ましくて格好良い曲。そして「インディ・ジョーンズ」や「レイダース」辺りはさすがに私も聞いたことはある。

 ソリストにドルプレールを起用してエレジーは実に美しい曲である。これなどは普通にクラシック曲である。ジョン・ウィリアムズの創作の幅の広さを感じさせる。

 最後は大ヒット作である「スター・ウォーズ」関連の曲で締め。このスケールの大きな音楽はいかにもハリウッド的であると感じる。


 映画音楽となると平易でありながらインパクトが重要なので、金管を効かした「格好の良い曲」になるという傾向がある。これをベルリンフィルのヴィルトーゾ達が手がかけると一段レベルの高い音楽に化ける。それだけに場内もいつもと違った盛り上がりになっていた。一曲ごとに場内総立ちになっての熱狂である。そして満場の喝采に答えてアンコールは「ETのテーマ」。ここまでの金管が中心で派手派手に聞かせる曲と違って弦が前面に出てくるこの曲はまた印象が違う。ここで場内がヒートアップしたところでさらに「スターウォーズ帝国の逆襲」である。場内は興奮の坩堝の中でコンサートを終える。

 ジョン・ウィリアムズの音楽もさることながら、さすがにベルリンフィルは格好良いなというのを久しぶりに感じさせられた。やはり上手い、それも半端でない。場内の熱狂は楽団員が引き上げてもいつまでも終わらず、ほとんどの客がそのまま残っており、場内は収拾の付かない状態に。結局は拍手はそのまま20分以上経っても収まらず、最後は会場の係員が無理やりに楽譜を撤収して照明をさらに一段落として強引に終了を告げる展開になった模様。ここまでの熱狂はなかなかない。