徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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読響大阪公演で反田恭平のラフマニノフの3番

読響の大阪公演に出向く

 今日は読響の大阪公演に繰り出すことと相成った。読響の2023年シーズン第1回となる。指揮者のアレクサンダー・ソディは私には全く知らない名だが、ソリストは何かと話題の反田恭平である。

 仕事をサクッと早めに終えると直ちに大阪に向かって車を飛ばす。今日は阪神高速がかなり順調でスローダウンはあっても完全停止はなかった。ほぼほぼ予定通りの時刻に大阪に到着。車を駐車場に置くとフェスティバルホールの方向へ。

フェスティバルホールに到着

 とりあえず開演前にフェスティバルゲート地下で食事をと思うが、既に混雑している店も。「キッチンジロー」なんて店の前に大行列で驚く。カレーや寿司の気分でもないし、結局は「而今」に入店することにする。注文したのは「特製あさり塩ラーメンの麺増量」

久しぶりに「而今」に立ち寄る

 塩味のあっさりしたラーメンにアサリ出汁のコクが加わって良い。たまに食べたくなるタイプのラーメンである。ここの店は麺がやや少なめなので、増量でちょうど良いバランスになっている。

特製あさり塩ラーメン

面は細め

 

 

 夕食を終えるとホールへ。毎度のことながら読響は大阪で人気が高い。ましてや今回はソリストが噂の反田ということで大入り満員。開場時にはまだリハが終わってなかったのか、座席入場が出来なかったのでロビーに人がごった返している状態となっていた。とりあえず会員特典のCDの引き替えをしておく。

反田出演

 ロビーの一角にズラリと背広組が並んでいるやけに重々しい雰囲気は毎度の読響公演でよく見かける風景。その連中が時々特定の人物に声をかけていたのを見ると、やはりいわゆる招待客も少なくないのだろう。いかにも社用族の空気があって、そういう連中は回りから若干浮いている。

 ちなみに今回の公演は7/18の深夜に読売テレビで放送されるらしく、ホール内にもテレビカメラが入っていたし、ロビーでも取材をされている客もいた。

読売テレビでの放送がある模様

 

 

読売日本交響楽団 第35回大阪定期演奏会

撮影用のテレビカメラが入っている

指揮/アレクサンダー・ソディ
ピアノ/反田恭平

曲目/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 〈生誕150年記念〉
   チャイコフスキー:交響曲第4番

 一曲目はラフマニノフの良く演奏される2番でなく、難曲で知られる3番の方。プログラムにあえてこっちを選ぶ辺りが何となく反田らしいって気もしなくもない。

 で、演奏の方であるがまさしく反田恭平独演会。さすがにあえて難曲を選んでいるだけに、これでもかとばかりのテクニックを見せつけてくる。演奏している指が見えないと言うような状況である。ただ難しいパッセージを弾きこなしていけばいくほど、反田の演奏のペースが上がっていく傾向があり、後のオケに構わずに反田が1人で突っ走っていた傾向が特に第一楽章で顕著。さすがに読響はその程度で乱れたり崩れたりするようなオケではないが、時折ソディが「えっ、そのテンポで行くの!?」とばかりの視線を反田に送っていたように思われた場面が何度か。

 終始反田のテクニカルなピアノ演奏が光りまくる内容であった。もっとも反田のピアノが前面に出すぎるから、協奏曲と言うよりはピアノ曲にオマケという印象も。また技術的な面で終始圧倒されるが、その音楽性については今回は曲も曲であったことから判断しがたいところがある。

 満場の歓声に応えて反田のアンコールはグリーグ(らしい、私の知らない曲)。その後に爆発的な拍手が起こったので、それに付き合いかねるとみたか、さっさとコンマスが立ち上がって切り上げる(この辺りがいかにもドライに感じるが、東京などでは拍手にいつまでも付き合っていたら終われないんだろう)。

 後半はチャイコの4番。冒頭の金管大斉奏から乱れが全くないのはさすがに読響。やはり技倆では圧倒的なものを感じ、この辺りはまだ大阪フィルなどがあと一歩及ばないところ。

 内容も終始、読響の弦楽を中心としたしっとりとした音色が印象に残る。ソディは特に奇を衒った仕掛けはしないようであるが、オケを歌わせることには留意していたような印象がある。過剰な装飾などはないオーソドックスであるがツボを押さえた指揮という印象。指揮中に逐次細かい指示を飛ばすというような雰囲気はなかったようであるところを見ると、事前にリハで細かいところまで詰めるというタイプか。指揮動作がやや独得のところがあるので、素人目にはテンポを取りにくそうに見えたのだが、その辺りはプロの感覚はまた違うのだろうか。

 オーソドックスであるが故に強烈な個性はないが、演奏自体には特に難点はなく見事な演奏であったという印象である。こういう端正な美しさは紳士の国イギリスの指揮者たる所以だろうななどと思ったみたりもする。


 大入り満員のコンサートは大盛況のうちに終了。満員過ぎるおかげでホールから出るだけでも一苦労だった。これはもし火災などの何かの事故が起こったら大変だななんてことが頭を過ぎったりも。ホール内の換気とかは国が基準を定めたりしているようだが、ホールからの避難に関しては何か定めはあるんだろうか?