徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

METの「ドン・ジョヴァンニ」を鑑賞してから、BBプラザ美術館の収蔵品を楽しむ

神戸まで出向く

 今日は神戸までMETライブビューイングを見るために出向くことにした。演目はモーツァルトのドン・ジョヴァンニという定番ものである。三宮まで車で突っ走ると、駐車場はakippaで確保済み。

神戸国際会館

 現地到着は11時頃で、上映は11時55分からなのでとりあえずは昼食を摂っておくことにする。入店したのはたまたま見かけた「がんこのトンカツとカレー」。回転寿司で有名ながんこが最近は和食全般のレストラン展開をしているが、その一環の店だろう。「ロースカツカレー」を注文する。

がんこのトンカツ店の模様

 ロースカツはいわゆるトンカツ定食用の厚切りのものであり、食べ応えあり。カレーについては比較的よくあるタイプの無難な味だが悪くない。ただトンカツ及びカレーの単品ごとには問題がないのだが、トンカツが厚切りタイプなのが祟って、カツカレーとしての一体感がない。その辺りが微妙なところである。なお場所柄仕方ないこととはいえ、これで1100円はやはりCPとしては良くはない。

カツカレーはややCPが気になる

 がんこは寿司屋も以前に行ったことがあるが、回転寿司としては決して安い方ではないし、かと言ってそれほど高級な内容ではないという中途半端感があったが、どうもここもそれと同じものを感じる。

 そろそろ時間が迫ってきたので映画館へ。モーツァルトのド定番作品だけに人気があるのか、今日の入場客は20人ぐらいと、まずまずの盛況だったようである。

 

 

METライブビューイング モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」

www.shochiku.co.jp

指揮:ナタリー・シュトゥッツマン
演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
出演:ペーター・マッテイ、アダム・プラヘトカ、フェデリカ・ロンバルディ、アナ・マリア・マルティネス、イン・ファン、ベン・ブリス

 説明するまでもないモーツァルトの超有名作。不埒な女たらし貴族のドン・ジョヴァンニが、自らの悪行が祟って地獄落ちするという作品。放蕩生活を続けていたモーツァルトの自虐作品とも言われている。

 指揮はMET初出演という歌手上がりの新鋭指揮者のナタリー・シュトゥッツマン。歌手の立場も知りつつの演奏ということになる。

 歌手陣はドン・ジョヴァンニのマッティを始めとして実力者揃い。冒頭からレポレッロのプラヘトカのかなり存在感のある歌唱が印象に残る。主演のマッティは見事な美声で最低な色男を演じきっている。

 女性陣で印象に残ったのはドンナ・アンナのロンバルディ。悲劇的な運命に打ちのめされるヒロインの心の乱れを上手く表現していた。優男の婚約者をブイブイ振り回す役どころでもある。

 演出などによって主人公のドン・ジョヴァンニの描き方も変わり、悪党だが愛嬌のあるような人物として描く場合もあるが、本作の場合はかなりの悪党に描いていた印象。結果としては何やら勧善懲悪ものに近いテイストになっていた感もある。特にドン・ジョヴァンニの描き方が単なる女ったらしというよりは、最早性犯罪者という描き方だったのが印象に残るが、この辺りは今日のご時世の反映だろうか。


 上映終了が15時半過ぎ。車を回収すると、帰宅前にもう一箇所立ち寄ることにする。目的地はここから車で10分ほど走った先にあるBBプラザ美術館。

BBプラザ美術館に到着

 

 

「新収蔵品を核に 東西作家のコンチェルト 特集展示-生誕100年 網谷義郎」BBプラザ美術館で7/17まで

 コレクションを展示とのことであるが、予想外にコレクションのレベルが高くて驚いた。西洋絵画についてはルノワールから始まって、シャガール、ローランサン、コロー、ヴラマンク、ユトリロ、パスキンなどなど、蒼々たる画家の作品が並んでいる。中でもルノワールやシャガールなどはなかなか私の好み。

ジュール・デュプレの「池にいる牛と農場の暮らし」

 一方の日本の画家についても日本の洋画家を中心に蒼々たるメンバーの作品がズラリ。高山辰雄に梅原龍三郎、安井曾太郎、佐伯祐三、小磯良平、石本正、岡鹿之助など。小倉遊亀やら加山又造まであるのには驚いた。

佐伯祐三の「オワーズ河周辺風景」はどことなくヴラマンクの影響が

より佐伯らしい「レ・ジュ・ド・ノエル」


 手前のコーナーでは網谷義郎の作品を展示中。この人物の作品はこの館の収蔵品の大きなものでもあるらしいが、具象から端を発して段々と奇っ怪な絵画へと発展していった画家のようであるが、私的にはあまり印象に残らず。

網谷の作品の中ではまだ分かりやすい「白衣の女」

 小さな美術館であるが、思いの外にレベルの高い所蔵品を所有していて驚いた。普段は貸館的な催しが多い印象のところなんだが。