久しぶりのパルナソスホールへ
昨日大阪から戻ってきたところだが、今日は反対側の姫路に出向くことにする。目的は姫路交響楽団のコンサート。いつもの定期演奏会はアクリエ姫路で開催されるのが常だが、今回は古典シリーズと銘打ってパルナソスホールで開催される。
パルナソスホールは姫路高校の敷地内にあるホールで、私も以前に一度だけ日本センチュリーのコンサートで訪れたことがある。アクリエ姫路がオープンするまでは姫路で唯一の「まともに音楽が出来るホール」であり、私はその頃から「パルナソスホールをもっと活用せよ」と訴えていた。最近になってアクリエがオープンしたことで今後は音楽イベントはそちらがメインになっていくと思うが、容量的に使い勝手も比較的良く、パイプオルガンを装備しているこのホールももっと有効活用していくべきだろう。
昼前に車で家を出るとホールに向かう。このホールの難点は交通の便が悪いのに十分な駐車場を備えていないこと。直前に行って遠くの駐車場に回されることになると難儀なことと、あわよくば行く前に三木美術館に立ち寄ろうという考え。
しかし三木美術館はまだ駐車場の修理(どうやらドアが歪んでしまって部品調達中とか)が出来ていない模様なので今回はパス。パルナソスホールに直行することにする。
ホールに到着したのは正午前だったのだが、もう既に近くの臨時駐車場は一杯なのか、上の高校の駐車場に回される。ホールではなるべく公共交通機関を使用するように呼びかけているようだが、その公共交通機関がこうも貧弱では、そもそも車社会の姫路では多くの客が車で来るのは当然でもある。ここのホールの利用を促進するには、この面の対策も必要だが、住宅地のど真ん中のこのホールは周辺に駐車場を確保しにくい難点があるのは事実。
向かいのイタリアン店で昼食
駐車場に車を置いた時点でまだ開場までには時間的に余裕がかなりある。この際だから近くで昼食を摂っておきたい。とは言うもののこの周辺は決して店は多くはない。ちょうど向かいにある「CUCINA CUORE-DO」に入店する。なお店名の意味は不明だが、DeepL翻訳などから察すると、イタリア語でハートの料理と言いたい辺りか?
洒落た雰囲気の店内は既にランチ客がそこそこいる。予約なしなので入店できるかが不安だったが、何とか入店可。「ハンバーグのランチ(1700円)」を注文する。
いかにも山の手住宅街の主婦のお洒落なランチ用途という雰囲気の店である。最初は前菜と小さなスープから出てくるが味は良い。こういうタイプの店は往々にして見かけ倒しのところも少なくないが、ここは料理もシッカリしている模様。
メインのハンバーグがシッカリと肉々しさがあり、それでいて軟らかくて美味い。ことさらに肉汁を強調してベタベタになっている残念ハンバーグが少なくない昨今で、肉汁具合も多すぎずでちょうど良い。デミグラスソースも個性が強すぎず弱すぎずの無難なバランス。
最後はアイスコーヒーを頂いて昼の一服。1700円という価格はやはり有閑マダムのお洒落ランチレベルなので、私のような貧困リーマンの日常使いには無理だが、たまにはこういう店で一服したいというところ。純粋にCPで見れば決して悪くない(わけの分からんチェーン居酒屋で、わけの分からんメニューを食ってもこのぐらいはすぐに行く)。私の入店時には空席が結構あったのだが、昼時になるとすぐに満席になったことから、スケジュールが確定している場合は予約を入れといた方が手堅そう。
昼食を終えるとちょうど13時を回ったので向かいのパルナソスホールに入場することにする。
このホールは一度しか来たことがないのだが、何かその時の記憶と壁の様子が異なる気がするのだが、それは私の記憶違いなのか、改装でもあったのか。私の記憶ではもっと薄暗いホールという印象が残っているのだが、今回見てみると壁が明るいタイル調なのでホール全体が明るい感じがする。なおかなり奥に深い印象を受けるホール形状は記憶の通り。
なお後で調べてみたところによると、大規模な改装は行っていないようだが、照明のLEDへの改修は最近に行ったらしい。そのために全体的にホールの照明が明るくなって印象が変わったのだろうか(LEDは色調も変わるし)。
姫路交響楽団 古典シリーズ Vol.11
指揮:黒田洋
ファゴット:隈本昌洋
モーツァルト 交響曲第25番 ト短調 作品183
ウェーバー ファゴット協奏曲 ヘ長調 作品75(ファゴット独奏 隈本 昌洋)
ベートーヴェン 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」作品55
一曲目はモーツァルトの小短調交響曲、一般名は「アマデウス」。8型小編成にした姫路交響楽団がまずまずのアンサンブルを聴かせてくれる。どうしても金管の音に「アマチュア」を感じさせるところがあるのは仕方ないところであるが、編成を絞り込んだ弦楽陣のアンサンブルは美しい。
二曲目はここの楽団員でもある隈本によるファゴット協奏曲という比較的レアな曲。ファゴットの音量に合わせてか、6型とさらに編成を絞り込んでいる。やけに仰々しい開始部がオペラ作曲家であるウェーバーらしいと感じるが、基本的には古典的な軽妙な曲。
隈本の演奏は最初はやや硬さが感じられたが、曲の進行に伴って段々とそれがほぐれていった様子。ただファゴットという楽器の性質上、どうしても音色は地味になりがちだし、オケが被ってくると抜けてこないところがある。それでもなかなかに爽やかにまとめたという印象である。
後半は12型2管でベートーヴェンの「英雄」。ただ先ほどまでに比べると大編成になったせいか、どうもアンサンブルの精度が微妙に落ちるところが見受けられる。例えば冒頭なども完璧にタイミングが合っていたとは言い難いところがあって、若干の乱れが見られた。
ただ全体的にホルンに相変わらずの難が見られたりした場面もあったが、管楽器陣も概ねがんばっており、弦楽陣もアンサンブル崩壊などという局面はなかった(微妙な齟齬は随所に見られたのであるが)。まあ結果としては無難な演奏というところか。
休日のお昼の一時の気分転換という雰囲気で、入場無料だったこともあってか800人程度の定員のホールがほとんど埋まっていた。演奏の出来も観客の期待を裏切るようなものではなく、なかなか好評であったようである。