佐渡の第九公演に出かける
この日曜は佐渡裕指揮のPACの第九コンサートに出向くことにした。当初予定ではMETのライブビューイングの「ラ・ボエーム」を見てからはしごのつもりだったんだが、朝予定通りに起床した時点で「あ、今日は無理」と瞬時に分かってしまった。どうも年を取ってくるとこういう風に、目は覚めたが体が動かないということが増えてくる。それに先月末に風邪をひいてから、それがいつまでも治りきらないというか、体調の悪さをずっと引きずっている。このように病気とも健康とも言えない状況で体調がぐずるのも老化の所以。
立ち寄る予定だったキノシネマ神戸国際のチケット発売状況を覗くと、既に30席ほどふさがっている。いつものライブビューイングではありえないほどの大盛況である。やはりプッチーニの甘いラブストーリーは大人気の模様。ただ私の場合、こういういかにも甘々のラブストーリーはどうにも柄ではないところもあるし、やっぱりこの体調だとパスするのが正解の模様。
結局はそのままグダグダと昼前まで時間をつぶすことにする。その後、ようやく起き出して出かけることにする。当初予定では三宮に立ち寄ることからJR利用のつもりだったが、西宮に直行することになったので車で行くことにする。実のところ、まだ電車で長距離移動する気にもなれなかったのも今回パスした大きな理由の一つ。
ようやく運転感覚に慣れてきたe-powerを駆って阪神高速を西宮まで移動する。美術館関係は先週に訪問済みなので今回はその予定はない。ただコンサート前に昼食はどこかで摂っておく必要がある。車もあるし西宮方面ということで、必然的に立ち寄ったのは「ダイニングキノシタ」になる。

注文したのは季節限定のカキフライにエビフライとハンバーグのついた「しおかぜセット(2180円)」。とりあえず今までの経験から、疲れているときにはカキフライである。


おなじみのサラダとスープが登場してから、しばらく待った後にメインが現れる。しかしそれを見た途端に「あ、失敗した」と感じる。カキフライが3個にエビフライが2本、それとハンバーグ。私の今の体調から考えると量が多すぎ。カキフライとエビフライがそれぞれ1つずつぐらい多い。

案の定、最終的には過剰なエビフライとカキフライに苦しむ羽目になった。しかし何とか流し込むような感じで完食。いささか胃に重たさを感じながら店を後にする。
さてホールの方であるが、以前に駐車場に空きがなかったことで泣きを見たことがある。今日も3つのホール全てでイベントがあるし、しかも大ホールのイベントが開演が一番後。これは駐車場が満杯になりやすいパターン。早めに行った方が良いが、料金割引が4時間までなので駐車時間がそれを超えると料金が跳ね上がる。ただ今回は演目が第九であることから、公演時間が2時間を超えることはまずないと考えられる。そんなこんなを勘案してホールに到着したのは開演の1時間半ほど前。読み通りに駐車場には空きがあったので車を止める。後は開演を待つのみ。

すぐにホールの前は大行列となる。佐渡人気と第九人気で会場は大入りの模様で、補助席までが出ている状況。

PACオケ第165回定期演奏会 佐渡裕 ベートーヴェン「第九」

指揮・芸術監督:佐渡 裕
ソプラノ:ハイディ・ストーバー
メゾ・ソプラノ:清水華澄
テノール:リッカルド・デッラ・シュッカ
バリトン:グスターボ・カスティーリョ
合唱指揮:矢澤定明
合唱:ベートーヴェン「第九」合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
ベートーヴェン:交響曲 第9番「合唱付き」
年末を飾る第九の公演である。とにかく佐渡は第九に関しては1万人の第九や大阪万博の開会コンサートなど、いわゆる「お祭り第九」の経験が非常に豊かであるのが特徴。
ただ佐渡が手掛けた第九はあくまで「お祭り第九」であることも感じる。と言うのはいずれのコンサートもかなり異常な状況での第九演奏であり、巨大すぎる合唱団の統制などは土台不可能であるので、どうしてもアバウトに状況を設定しておいて後はノリに任せるというやや雑な演奏にならざるを得ない。
このような佐渡の第九の特徴が、実は今回のようなホールにおける通常コンサートにおいてさえも垣間見えるところがある。そういう事情がなかったにしても、元々佐渡はオケに統制を効かせるタイプではない。だから聞いている側としてはかなり自由放任な演奏に聞こえる。特に若いPACの場合は放置するとバリバリとやりがちなところがあり、さらにはバリバリとやればやるほどアンサンブルが危なくなるという弱点も持っている。
その結果として、オケの演奏は「ノリは良いのだがやや雑だな」という印象の演奏となる。バリバリとやりすぎた結果、管が前に出すぎて弦を押しのけてしまったようなところがあり、演奏のバランス的にもやや危うい。
合唱団は最初から鎮座していて、第二楽章終了後にソリストが加わる形。この合唱団が第四楽章からいよいよ起動すると、音楽のお祭り度はさらに上がる。ただここで驚いたのはバリトンのカスティーリョの声量。一人で合唱団と渡り合えるぐらいの迫力がある。おかげで音楽にいささか締まりが出た。第四楽章は合唱団の頑張りもあって音楽としては盛上がった。佐渡は特に統制は取らずにノリに任せて終始煽りまくっていたというところ。
佐渡のお祭り第九に場内は大盛り上がりをしていた。私としてはあまり感心する演奏ではなかったが、日本の年末行事のお祭りとして捉えればこれもありなんだろう。
場内がやんやの盛り上がりになったところで、アンコールは佐渡が好きだという宝塚歌劇団のテーマ「スミレの花咲く頃」。途中で佐渡がピアニカを持ち出して演奏するというノリノリ状態でコンサートを終えたのである。やはり佐渡は終始一貫お祭り男である。