この週末はコンサートと美術館三昧だ
さてこの週末はまたライブ中心の日程である。今回は金曜夜の京都市交響楽団の定期演奏会と日曜日の東京都交響楽団の大阪公演のチケットを押さえてある。金曜日に京都に行って、わざわざ日曜日にもう一度大阪まで出直すのも面倒なので、金曜夜と土曜夜は宿泊して、その間に京都・大阪地区の美術館見学も絡める辺りで計画を立案した。
金曜の仕事を早めに切り上げると速攻で京都まで移動する。今回のホールは京都コンサートホール。北山にあるクラシック用のホールである。
北山に到着したのは開演の1時間以上前。開演までの間に夕食を摂っておきたい。パン屋に隣接したレストランである「進々堂」に入店する。注文したのは「ハンバーグステーキセット(1320円)」。
いわゆるパン屋レストランのお約束でパンの食べ放題がついている。ハンバーグはオーソドックスなやや柔らかめのハンバーグ。味は悪くないがこれという特徴もないというところ。なお京都のレストランは全体的に大阪などよりものんびりしたところが多いが、ここもとにかくやたらと待たされたので、急いでいる際には要注意だろう。
京都コンサートホールへ
夕食を終えたところでホールに向かう。ホールに到着したのは開演30分前。どことなくバブルの匂いを感じさせるなかなかに高級感のあるホールである。キャリーはクロークに預けておくことにする。
ホールは箱型タイプだが、左右のバランスが若干違い、カメラブースと思われる席があるのが特徴的。なお左右の形態を微妙に変えているのは、単純な箱型ホールで発生しがちの定在波を抑えるためでもあると思われる。実際に天井にはランダムな凸凹が作ってある。
私の席はバイオリン側の前から3列目。ステージが高いので、オーケストラを下から見上げるポジション。楽器の音が頭の上を通過していく印象だ。なおこのポジションなので正確な判断はできないが、残響はそれなりにあって音響特性はまずまずのホールに感じられた。
京都市交響楽団第589回定期演奏会
指揮/ロベルト・トレヴィーノ
Vn/成田達輝
曲目
ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調op.47
一曲目はヴェルディらしいダイナミックな曲。華々しい響きが魅力的である。
二曲目は私は初めて聞く曲だが、いかにもロシア的な旋律をちりばめた曲で、プロコフィエフほど不協和音が耳につくことがないので聞きやすい。ただかなりテクニックを要する曲である。
三曲目はショスタコの問題作。かつては華々しい歓喜の曲と言われていたが、それが例の遺書の登場で「強制された歓喜」と解釈が一変したりなどといろいろ話題を呼んだ曲である。
バイオリンの成田達輝は華奢な体つきの気弱な印象さえ受ける若者。しかし一旦演奏を始めると堂々したものである上にかなりのテクニシャンである。卓越したテクニックをサラッと見せつける姿に、私は思わずパガニーニを連想したのだが、彼の演奏は実際にヨーロッパ公演の際にパガニーニに形容されたことがあるらしい。
指揮のロベルト・トレヴィーノは新進気鋭の若手指揮者だが、力強くエネルギッシュな指揮をするタイプ。それでいてただ乱暴に鳴らすのではなく、かなり強弱の振幅のあるメリハリの効いた指揮である。ショスタコを鳴らし切った技量はかなりのもの。
トレヴィーノはベルディはいかにもお手の物というような印象で、堂々とした魅力的な演奏であった。ショスタコについては有名なバーンスタインの演奏のようなダイレクトな歓喜の歌という演奏ではないが、遺書の発表の直後に登場したハイティンクの演奏のようなやけに屈折した陰鬱な感じでもなかった。ただ彼の演奏を聴いていると、この曲がいかにも痛々しくて美しい曲というように感じられた。弱音での繊細な演奏がかなり効いている。
京都市交響楽団については今回は座席が極端すぎたので正確な判断はできないが、弦は美しいし、管もただ単に大音量で鳴らすだけというようなデリカシーのない演奏はしないし、かなりのレベルの高さを感じた。今後もっとまともな席で聞いてみないと断言できないが、センチュリーや日フィルよりも下になることはないだろうと思われる。
京都で一泊する
なかなかに堪能したというのが正直な感想。満足してホールを後にすると、今日の宿泊ホテルに向かう。今回宿泊するのは二条城前の京都堀川イン。とにかく価格相場が異常に高い上に空きが少ない京都のホテルの中でようやく見つけた妥当な価格のホテル。大浴場がないことが私の好みとずれるが、とにかくぜいたくは言っていられない。
セブン-イレブンで夜食のサラダとおやつを買い込むとホテルにチェックイン。この夜は手早くシャワーを浴びると就寝する。