徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

スオーナダフェリーで広島に渡ると美術館巡り

竹田津港からフェリーで周南へ

 翌朝は6時に起床。今日は竹田津港を9時40分に出るスオーナダフェリーに乗船するのでそれまでに港に到着する必要がある。所要時間をGoogle先生にお伺いを立てたところ1時間40分。しかしGoogle先生は大抵は健脚で飛ばし屋なのであまり当てにできないし、GW中は何が起こるか分からない。7時過ぎにはチェックアウトするつもりで早々にシャワーと朝食を済ませる。

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朝食バイキング

 チェックアウトしたのは7時20分ぐらい。私のカーナビに目的地を入力すると、到着時間は9時40分と言っている。これだとギリギリだが、まあ私のカーナビは最初はかなり遅めの時間を提示してくるので、実際の到着はもっと早くなるだろう。

 幸いにして別府を抜けると道路はスムーズである。しかしカーナビの案内に従って車を進めると国東半島を縦断する山道に案内される。Google先生は普通に高速か国道を通るルートを示してきたのだが、私のカーナビはどうもこういう山道が好きなようだ。山城見学で山道を走りすぎたか? 到着時刻は割と安全運転タイムを提示してくるのに、道路はチャレンジングなルートが好きとはよく分からないナビだ。高速を猛スピードで爆走するGoogle先生は発想がアメリカンで分かりやすいが。

 結局はうねりまくった山道を疾走することに。幸いだったのは山道の割には道路は比較的整備されていること。しかし豆腐屋さんでない私は、これだけカーブが続くと右足がしんどくなってくる。ましてや今のノートはかつての愛車カローラ2に比べると、コーナーリングで重心の高さから来る不安定さが強い。さらに言えば以前に起こした大クラッシュが未だに潜在意識下で恐怖として焼き付いており、こういうワインディングロードの運転ではストレスが強い。救いは晴天で路面はしっかりしていること。

 

 

無事に竹田津港に到着する

 山道を走ること1時間ほど。かなり疲れた頃にフェリー港に到着する。結局到着時間はフェリー出航の1時間前。山道を経由してGoogle先生の指摘時間とほぼ同じ時刻に到着した計算になる。国道経由とどっちが早かっただろうか?

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とりあえず出港1時間前に竹田津港に到着

 ようやく乗船時刻。やはりGWの影響か乗客はかなり多く、車はキャンセル待ちなどもある模様。順番にゾロゾロと乗り込む。スオーナダフェリーには以前に徳山港から乗ったことがあるが、あの時と比べると船室の混雑がひどい。徳山港へは2時間ほどの船旅で到着する。その間は寝ている乗客が多いが、私もベンチでゴロリと横になって爆睡している内に到着。

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広島到着まではベンチで爆睡

 

 

周南市美術博物館に立ち寄る

 徳山港で船を下りるとここから一気に広島まで・・・のつもりだったが、ちょうど周南市美術博物館の近くを通ったのでついで立ち寄る。生憎特別展の端境期で常設展のみの見学。

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周南市美術博物館

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 常設展は地元ゆかりの宮崎進の絵画作品、写真家・林忠彦の作品や撮影機材に地元歴史ゆかりの博物館展示など。林忠彦の写真はいわゆるドキュメンタリー写真系で、私でも共感しやすいタイプの写真。博物館展示は場所柄大内氏から陶氏、さらには毛利氏につながる歴史的流れに関する辺りが中心で、これはこれて面白い。

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林忠彦の展示室

 美術博物館を後にすると広島まで一気に突っ走る。懸念された渋滞もなく順調に広島まで到着。今日は広島の美術館を回る予定。最初はひろしま美術館をのぞくが、毎度のことながら駐車場に空きがない。ここは駐車場があるとは言ってもたった数台分なのでないのと同じ。空いていたらラッキーぐらいのものだ。かと言って、近くの駐車場に止めたらこれが料金が馬鹿にならない。一番賢明なのはホテルの駐車場などに車を置いてから路面か歩いて訪問するというもの。しかしホテルのチェックイン時刻は3時からなのでまだ1時間以上ある。そこで駐車場のある美術館に先に回ることにする。

 美術館裏手のショッピングセンターの駐車場に車を置くと、ついでにここの専門店で昼食にうどんを食べた(それにしてもここの飲食店はなぜうどん屋ばかりなんだ?)ので駐車場は2時間無料。今回は美術館もポイントカードが貯まっていたので無料。

 

 

「赤瀬川原平の芸術原論展 1960年代から現在まで」広島現代美術館で5/31まで

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 前衛芸術家で漫画家で小説まで書いたというマルチ芸術家でもある赤瀬川原平氏の作品展。

 展示作品には「現代芸術とは」という論争まで引き起こした曰く付きの「千円札」のシリーズなども含まれる。まあ感性的にはいかにも尖っているという印象だが、芸術的表現云々よりも、とにかく何かを攻撃して目立とうという意識のようなものの方が強烈に垣間見える感がある。

 晩年になってくるとそれまでの攻撃性が影を潜めて、むしろ斜に構えた批評的精神の方が前面に出てくるようだが、この辺りから活動が著述中心になっていったようである。なかでも「超芸術トマソン」なんてものは、今でも皮肉的意味を込めてかなり生き残っている。

 作品に感銘を受けるかどうかはともかく、赤瀬川原平なる人物の人となりのようなものが見えてくる展覧会であり、その辺りは興味を引くところではある。

 

 今回の展覧会は来館スタンプが7つ集まったとのことで無料で見学している。まあそれでちょうど良いぐらいの内容だったか。それにしても私は現代アートに関してはかなり批判的であるにもかかわらず、この美術館には結構訪れているようだ。やはり私はかなりひねくれ者か。

 ようやく3時になったのでホテルにチェックインすることにする。今回の宿泊ホテルはアーバイン広島セントラル。今回は広島でのホテル確保に苦労したので、ようやく確保したホテルである。それにしても最近は広島のホテルの相場が上がっていて困る。しかもいわゆるアベノミクス効果(意味なく無理矢理に物価を吊り上げて、それを好景気だと言い張る)のせいでさらに価格高騰に拍車がかかっている。物価が上がれば好景気なんだというなら、日本中の商店をボッタクリにしたら好景気になるのか?

 車はホテルの契約駐車場において徒歩でひろしま美術館へ向かう。

 

 

「毛利家の国宝・至宝」ひろしま美術館で5/31まで

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ひろしま美術館

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 毛利博物館が所蔵する毛利家にまつわる至宝を展示。大名の生活を伝える工芸品などもあるが、興味深いのは雪舟の「四季山水図」と、その写本などである。

 会場には雪舟の四季山水図の正本の全編と、雲谷派の雲谷等顔作と言われる副本が並べて展示されている。雪舟の正本はさすがに雪舟らしい豪放で力強い筆使いが迫ってくる作品。一方、雲谷等顔の副本も雪舟の直系を自認する雲谷派の画家の作品らしく、雪舟の筆遣いによく習っている。しかし所々で雪舟よりも繊細のタッチが見えるのは、この雲谷等顔個人の本来の画風なんだろう。ちなみにさらに狩野派の画家による作品の模写も展示されていたが、これはタッチを完全に似せるよりはより狩野派らしさを出す作品となっていた。こういった個人の個性が非常に面白い。

 雪舟以外にも円山応挙の鯉の作品や、長沢芦雪によるいかにも円山派らしい猫っぽい虎図など、なかなかに堪能できる作品が目白押しであった。さすがに毛利家侮れない。

 

 なお現在、ひろしま美術館所蔵品の中のかなりの部分が新潟県立近代美術館で開催中の展覧会など(一部は先の大分県立美術館にも行っている)に貸し出し中らしく、今回は所蔵品展の方がセレクション展ということで、通常のフランス近代絵画だけでなく日本画作品など普段なかなか目に出来ない作品が展示されていた。村上華岳や竹内栖鳳などの作品が展示されており、これがなかなかに面白かった。今回は特別に留守を狙ったわけではなくてたまたまだったのだが、こういう「裏メニューでのひろしま美術館」も侮れないところである。

 

 

夕食を摂ることにする

 もう一カ所立ち寄りたい美術館はあるが、もう今日はタイムアップである。やや早めだが夕食を摂ることにする。繁華街をフラフラしてたまたま見つけた「魚菜屋」に入店。

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広島の魚菜屋

 単品メニューをみたがどうも価格が高めなので、何も考えずに注文したら昨日の夕食を越えてしまいそうだ。そこでコース(3000円)を注文する。

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まずは小鉢と刺身

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そして天ぷら

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魚の煮付け

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生ハムサラダ

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ネギトロ巻き

 刺身にしても煮付けにしても魚はうまい。料理のレベルは高そうだ。広島はそもそも価格設定の高めの店が多いので、ここが飛び抜けて高いというわけではないのだが。CPで考えたらまあ妥当という線か。個人的にはもう少し安い店の方がありがたい。

 夕食を終えるとホテルに戻ってシャワーを浴びて一息。早めに就寝する。

 

 

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