この終末は福井遠征だ
この週末は大阪から福井への移動という変則的なものになった。その経緯は、まず土曜日に開催されるドレスデン交響楽団の演奏会のチケットを入手したところ、その後に翌日曜日に福井のハーモニーホールでNHK交響楽団の地方公演が開催されるという情報が飛び込んできたことによる。福井となれば「東京よりは近いか」ということで「行こう」となった次第。
ただ福井のハーモニーホールと言えば、鉄道の便がないわけではないのだが決して便利とは言い難い。まだホールに行くだけなら鉄道でも良いのだが、その他のことを考えると鉄道ではしんどい。結局は車を使うという選択肢になるのだが、するとこの公演が5時からと日曜日の公演にしてはやけに開演時刻が遅いため、その日のうちに帰るのはかなりハード。結局は月曜日に有休を取得しての二泊三日行程となった次第。
今まで大阪に行く時には私は原則として車を使用したことがない。大阪市内は極めて走りにくい上に車を置く場所に困るからである。そこで今回は事前に駐車場の候補を複数見定めての出発となった。毎度のことながら、この周到さが仕事の上で発揮されていたら今頃は・・・(以下略)。
車で大阪に出向くとまずは昼食
土曜の午前中に出発。途中で阪神高速の渋滞に巻き込まれるということもあったが、この辺りはおおよそ想定内。大阪には昼前に到着、目星をつけていた駐車場にも無事に空きがあり、予定通りに車を置いて出発となる。
大阪周辺の渋滞が完全には読めなかったため時間に十分に余裕をおいて早めに行動したら、開演までにかなりの時間的余裕ができすぎてしまった。現在の大阪周辺は展覧会の方も生憎と出し物なしですることがない。仕方ないのでとりあえずゆっくりと昼食を摂ることにする。入店したのは「Da-Wa」。お洒落な焼き肉屋のようだ。夕食は相場が高すぎて私には無理だが、ランチメニューは妥当な価格帯のものを用意している模様。「ビフカツランチ(800円)」を注文する。
焼き肉用と思われる薄手の肉に衣をかぶせて揚げ、デミグラスソースをかけている。肉が薄手のせいでやや硬めに感じるが、味はなかかな良い。800円でこの内容なら悪くない。なお1000円ちょっと程度でステーキランチもある模様。
ゆっくりと昼食を摂り終わってもまだ開場時刻までに30分もある。外は生憎小雨がぱらつく天候だし、この近所で時間をつぶせる場所を知らない。仕方ないのでホールの軒先下で雨宿りしながらこの原稿を打っている(笑)。
しばらく後にようやく開場時刻。どうやら当日券狙いの客も結構いる模様。とりあえず私も早めに入場することにする。それにしても毎度のことながら、全席指定席なので急ぐ必要もないにも関わらず必ず開演時刻前にやってきて、入口の前で整然と行列を作って待っている日本人の習性には感心する。もっとも、かく言う私もそんな日本人の一人なのではあるが。
今回のチケットはやや早めに優先予約で押さえたものだったので、私の席はホール中央のやや後ろというなかなかのポジションである。
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
[指揮]ミヒャエル・ザンデルリンク
ベートーヴェン:歌劇 「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 「運命」 op.67
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92
最初の「フィデリオ」序曲が始まった途端に「何だ?」という疑問が頭にあふれる。管楽器のアンサンブルがガタガタ。金管は薄っぺらい上に不安定だし、木管は響きがヒステリック。また弦も決してレベルが高いというわけでなく、強奏になるとアンサンブルが微妙に狂って音色が濁る。
二曲目の「運命」では管楽器奏者の一部が入れ替わって、先ほどよりは幾分はマシになるが、それでも傾向は変わらず。管と弦が重なるとサウンドがグチャグチャしてアンサンブルが全面崩壊するギリギリに感じられることも。
休憩後の交響曲7番は前半よりはまとまりが良くなったが、金管が違和感があるのは相変わらず、特にホルンの軽すぎる音色は基本的にベートーベンにマッチしていない。アンサンブルが危ない箇所も数カ所。それでもどうにかこうにかフィナーレはまとめたという印象である。
ミヒャエル・ザンデルリンクの指揮は、テンポや強弱などをいきなり大きく振ったり、休止部分をかなり明確に際だたせるなどダイナミックなものなのだが、このオーケストラではそれが完全に効果を上げているとは言い難い。テンポの変化にはどうにかこうにか付いてくるが(それでも終盤にテンポを上げてきた時には危ない局面もあった)、強弱の方が管は基本的に音量を押さえられない上に弦は弱音になると不安定さが増すという状態。どうしてもダイナミックレンジに制約がついてしまう。
あまり上手くないオケだなという印象だが、おやっ?と思ったのがアンコールの「ウィリアムテル序曲」。軽くて明るい金管と弦がかみ合って、今日一番の安定した演奏。これで思ったのは、オーケストラの技量にも問題はあるが、そもそもこのオケはこの手のライトな曲が得意なポップスオケのようなものではないのかということ。ドイツのオケだからということで、日本人受けを考えてベートーベンを並べたガチガチのドイツメニューできたが、そもそもこのプログラム自体が間違いなのではないかということである・・・のだが、後で調べてみると「ドイツ正統派の手堅いオケ」などという評がある。ベートーベンについても前回の来日でも演奏しており、それなりに好評であったようである。今日の演奏が特別におかしかったのか、それともこれが今のこのオケの実力なのか、それともおかしいのは私の耳なのか。
一回こっきりの演奏会では判断に困るところだが、正直なところ今日の演奏だけで言えば演奏の不安定さではこれまで聴いたオケの中でも最低クラス。弦は大阪交響楽団よりはマシで、管はドッコイドッコイという印象であった。全く、ライブは何があるやら分からない。
敦賀で宿泊する
コンサートを終えると今日の宿泊地の敦賀まで長駆することになる。明日のコンサートが福井だから、敦賀ぐらいまでは今日のうちに走っておこうという考え。しかしいざ走ってみると敦賀までは結構遠い。大阪-敦賀間は新快速でも2時間程度なのでそう遠いという感覚はなかったのだが、湖西線を通る新快速と違って高速道路は湖東を回り込んでいるのでかなり遠回りをしている。しかも雨で足下が危ないからスピードを上げられない。敦賀に到着した時には心身共に結構疲れてしまった。
敦賀での宿泊ホテルは「マンテンホテル敦賀駅前」。マンテンホテルは北陸地域のローカルホテルチェーンで、大浴場完備さらに夜鳴きそば付きから始まって、部屋の装備なども含めていろいろな点で私の定宿だったドーミーインと似ているのが特徴である。ドーミーインが最近になって高価格路線に転じて、ドーミーイン金沢に至っては曜日によってはビジネスホテルにあるまじき非常識な宿泊料(朝食付きで一泊1万5千円以上とか)設定をするようになって事実上使い物にならなくなった昨今、私にとっては山陰地域のホテルモーリスと共に貴重な「ドーミーイン互換ホテル」である。
ホテルにチェックインしたのは6時半頃。まずは大浴場に直行して体をほぐす。ただの新湯だが、やはり狭い部屋風呂と違って心地良い。
夕食は敦賀の駅前で
風呂から上がって7時を回ると夕食のために町に繰り出す。以前の敦賀訪問の際になかなか良かった「うおさき」に行くつもりだったのだが、残念ながら「定休日」の看板が出ていて休み。仕方ないのでしばし駅前をウロウロするが、土曜のせいか駅前が工事中のせいか、閉まっている店が多い。そこでようやく見つけた「食事処 建」に入店する。
注文したのは「刺身定食の上(1700円)」。一品料理を追加しようと思ったが、刺身類など1000円以上のメニューが多く、迂闊に頼みすぎるとすぐに5000円を越えそう。そこで安めの「牡蛎フライ(600円)」と「バイガイの煮付け(600円)」を追加。
刺身定食は特に工夫はないがさすがに魚は新鮮でうまい。バイガイはサザエの親戚のような貝。見た目は若干エグいが、爪楊枝で貝殻から引き出して丸かじりするとなかなかにうまい。サザエほどエグ味がないのが私向き。さらに最後に夏の牡蛎フライを堪能。まあこれで2900円なら悪くない。
店内のテレビを見たら、歌謡祭とやらで森高千里が出ている。二児の母の40代でアイドル復帰とは驚異的である。ただ確かに見た目は昔とほとんど変わった印象がない。同年代の他のアイドルがすっかりおばさんめいてしまっていることを考えると、劣化知らずとか果ては化け物とまで言われるのも分からないではない。実年齢より10歳は若く見える。逆に最近は旦那の江口の方がすっかり老け込んでいる。もっとも歌の方は当時よりもさらに下手になっているようだが。
夕食から帰ってくるとこの原稿を打ったりしながらマッタリ。そのうちに9時半になったので夜鳴きそばを食べにレストランへ。ドーミーの夜鳴きそばは麺半玉ぐらいの本当に小腹を満たすものなのだが、ここのは麺一玉あるかなりガッツリ食べる夜鳴きそばになっている。
夜鳴きそばで腹が重くなったら瞼も重くなってきた。やや早めではあるが就寝することにする。
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