翌日の東京は銀世界だった
翌朝は7時に自動起床。テレビをつけてみたら昨晩の間に積雪があって朝から電車などに混乱があるようだ。窓から外を見てみると道路上に結構積雪がある。例によってスリップ事故だとか転倒して骨折だとかのニュースがテレビを賑わせている。私の知人の新潟県人に言わせると「都会人は雪に弱すぎ」とのことだが、確かに毎度それは感じさせられる。
さて今日の予定だが、基本的には午後7時に文化会館で開催されるシカゴ交響楽団のコンサートに参加するというのがメインで、後は月曜に休館でない美術館をいくつか回ることぐらい。最悪でも東京23区内を移動するのには問題ないだろう。気になるのは今日の帰りに乗る予定のサンライズ出雲である。運休なんてことはないと思うが、万一そういうことになれば急遽宿泊先を確保する必要が出てくる。
昨日上野駅で買い込んだ今半のすき焼き弁当を朝食に食べながら、テレビで情報収集。関東甲信地域に降雪が多いので、中央線の運休や遅れがひどいようだ。今日は予定があまりないので、わざわざ大混乱のラッシュアワーの中に繰り出す必要もなかろう。ギリギリまでホテルに粘ることにする。
ホテルをチェックアウトすると、最初に目指すのは六本木成金ヒルズ。ここの美術館が目的である。
「村上隆の五百羅漢図展」森美術館で3/6まで
現代美術家の村上隆による五百羅漢をテーマにした作品を展示。
凄まじい感性というかなかなかに爆発しているが、不思議と「これもありかな」と強引に納得させる説得力がある。現代アートには否定的スタンスの私でも、彼の作品については結構楽しめた。
なお会場内にまだ塗料の臭いが残っているのがやけに生々しかったが、気をつけないとハウスシックになりそうだ。
昼食はヒルズの地下で
ヒルズを後にすると次の美術館を目指すが、その前に昼食を摂っておくことにする。地下街で見かけた「だし茶漬けえん」で「漬けマグロの茶漬け」に「肉じゃがコロッケ」を付ける。いかにもオフィス街の昼食というところである。それにしてもまたチェーンだ。
昼食を終えると次の目的地のミッドタウンへ。しかし何度来てもこの辺りの雰囲気は非常に苦手だ。成金オーラに毒されて体の調子がおかしくなる。私のような根っからのプロレタリアートにはまるで毒の沼地のようなところだ。
「水-神秘の形」サントリー美術館で2/7まで
水をテーマにした作品を展示。古来より水は信仰とも密接に結びついていることから、宗教関係の展示物も多い。
それにしても疲れる。毒気を抜きたくなったこともあり、ここのカフェ「加賀麩不室屋」で「生麩ぜんざい」を頂くことにする。東京でぜんざいと言えばあんころ餅の場合が多いが、ここのは関西人の私も納得できる普通のぜんざい。もちっとした焼麩が実に美味。ホッと一息である。
ようやく生き返ったところで次の美術館へ。今回の美術館の予定は次で最後。
「キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々」パナソニック汐留ミュージアムで3/21まで
いわゆるボダニカルアート作品を展示すると共に、キュー王立植物園についても紹介。
王立植物園については、いかにもイギリスらしく大英帝国の威信をかけて世界中から植物を集めた大博物館となっていたようで、その規模については単なる見世物という次元ではなかったことが覗える。現代は動物園や水族館なども単なる見世物ではなくて貴重生物の繁殖施設としての側面が強化されているが、その走りであったようだ。
またいわゆるボダニカルアートはそもそもは百科事典の図絵なのであるが、個々に展示されている作品は単なる図版ではなく、まさにアートの名にふさわしいレベルの高いものである。実際に一流の画家を動員して描かせたものも多いらしいから、それもさりなん。もっとも制作に金をかけすぎて事典ビジネスとしては完全に失敗したものもあるとか。そのような当時の状況なども面白い。
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