夕方まで時間をつぶしてから東京文化会館へ
美術館の見学を終えたが、まだコンサートの開演までは数時間ある。月曜日に開いている美術館はもうないし、この雪の中をあちこち出歩く気もしないので神田のネカフェで時間をつぶすことにする。フラットシートでゴロンと横になって「ゴルゴ13」を読みふける。昨日辺りから暗殺ものばかり読んでいるような気が・・・。
6時前まで時間をつぶすと、近くの回転寿司屋で手早く夕食を摂ってから上野に移動する。東京文化会館はいつも前を通ってはいるものの入館するのは初めて。既に大勢の客が押しかけている。
今日のコンサートだが、私が入手したのはC席で4階席の正面である。これより高いチケットになるとさすがに手が出なかった次第。席としては悪くはないが、気になっていたのは4階席の最前列ということで、高所恐怖症がある私に大丈夫だろうかということ。特に東京文化会館の座席は手前の仕切りが異常に低くて、高所恐怖症の者には悪夢のような構造だと聞いている。ある人など「これで今まで転落者が出なかったのが不思議」とまで書いてあったぐらいなので、私としては事前に不安一杯である。
さて実際に4階に上ってみると、「うわっ、高い」というのと「確かに柵が低い(座った膝の少し上ぐらいしかない)」というのは瞬時に感じた。しかしなぜか不思議なほどに「恐い」という感覚は湧かなかった。私としてはフェスティバルホールの3階席の方が恐くて落ち着かなかった。どうも構造のどこかに相性のようなものがあるようである。私の高所恐怖症は不思議なもので、単純に高さに反応するのではなくてどこかに発症のツボがあるようである。
リッカルド・ムーティ指揮 シカゴ交響楽団
ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調「運命」op.67
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」
一番最初に感じたのは「とにかく音量がすごい」ということ。この響かないホールでこの距離でここまで音が飛んでくるのは半端なパワーではない。特に金管の厚みと煌びやかささすがの一言。また弦のアンサンブルも力強い。いわゆる「シカゴサウンド」が全開ではある。ただところどころで演奏がやや雑に感じられる部分も見受けられた。
ムーティの指揮だが、やけにクールだなという印象を受けた。やや抑え気味のいわゆる「巨匠テンポ」で細かいメリハリを付けながらジックリと演奏してくるのだが、この辺りが私の中にある「ムーティはもっと劇場型の指揮者だったのでは」というイメージと喰い違っていささか戸惑いがあったのは事実。フォルテッシモの演奏よりもピアニッシモの演奏の方が目立つし特徴が出ており、悪い演奏ではないのだが今ひとつ燃え上がらないという奇妙な感覚があった。
目立ったのはアジア人の多さ。最初入ってきた時、黒い頭がズラリと揃っていたので「国内のオケか?」と思ったぐらい。シカゴ交響楽団も往年の頃とはかなりメンバーが替わったのだろう。金管の華々しさは相変わらずだったが、かつてほどの精密さは見られなかったというのが本音ではある。ただこう書いてしまうと私が不満一杯だったように見えるが、実際は生で体験するシカゴサウンドにはそれなりの満足感はあったというのが事実だ。ただそれにも関わらず、どこか「燃えない」演奏であったようにも思われる。
寝台特急サンライズ出雲でとんぼ返りする
コンサートを終えると東京駅に移動、22時のサンライズ出雲でこのまま帰宅することにする。今回は金曜日に半休、月曜日に全休を取っているので、さすがにこれ以上仕事を休むというわけにもいかないので火曜は朝から仕事に出るつもりである。
サンライズ出雲は定刻通りに東京駅を発車。私が確保したのはB寝台シングルの2階。数年前に乗車した時は1階だったが、2階の方が見晴らしは良いが少々揺れるなというのが感想。しばらくして車掌が検札に回ってくると、夜食に買い込んだ柿の葉寿司を頂いてから就寝することにする。
翌朝は5時半過ぎに姫路に到着、積雪の影響か10分ほど到着が遅れたようだ。姫路でサンライズ出雲を降り立つと(関西地区での最初の停車駅が姫路である)ここで乗り換えて家路についたのである。今日はこの後、朝から出社である。ただ少々眠気がある。
シカゴ響の演奏会をメインに東京・群馬の美術館を回ってきたというのが今回。あまりに期待していなかった群馬の展覧会に意外と面白いものがあった。ただメインのシカゴ響については残念ながら今ひとつ感があったのが残念なところ。むしろ都響のうまさを再認識した次第。なお群響については「頑張ってる」という印象はあったので、今後の活躍に期待したい。