徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

東京地区の複数の展覧会を駆け巡ってから、パーヴォ/N響の「千人の交響曲」

 どうも疲労がたまっているので翌朝は8時頃まで眠る。朝食に昨日上野で仕入れた穴子寿司を腹に入れると9時前に外出する。

 今日はN響のライブだが開演は夜の7時。それまでは東京の美術館巡りである。まずは近場の上野から。上野の国立科学博物館を訪問する。

 

「海のハンター展-恵み豊かな地球の未来-」国立科学博物館で

f:id:ksagi:20200430122926j:plain

 海の生物を補食という関係に注目して紹介。最初は古生物時代のメガロドンなどの紹介から始まるが、すぐに現代のサメなどの話に移る。展示の目玉はホホジロザメの全身標本。抜けたらすぐに新しい歯が出てくるというサメの歯のシステムなどを間近に見ることが出来る。

f:id:ksagi:20200430122940j:plain

巨大な海の生き物たち

 一方、捕食する側だけでなく捕食される側の防衛戦略などの紹介もあり、生きるか死ぬかをかけた生存競争の側面と、それに伴った共進化などの説明もある。地球の生態系がいかにして構成されてきたかの一面を物語る内容になっており、子供の学習に特に向いている展示であったようだ。

 

 どうも今朝は調子が悪い。疲労がたまっているのか、風邪でもひいたのか少し体が火照った感じがある。そこでここのレストランで展示室を眺めながらお茶。抹茶あんみつを頂く。

f:id:ksagi:20200430123006j:plain

抹茶あんみつで一息

 お茶をしながらマッタリしていたら11時。面倒くさくなったこともあって、このままここで昼食も摂ってしまうことにする。特別展連動のランチメニューを頂く。味は悪くないがボリュームはやや不足。

f:id:ksagi:20200430123032j:plain

ランチもここで済ませることに

f:id:ksagi:20200430123046j:plain

特別展連動メニューで海産物系ランチ

 昼食を終えると博物館を後にする。上野の次は竹橋。東京国立近代美術館を訪問。

 

「トーマス・ルフ展」東京国立近代美術館で11/13まで

f:id:ksagi:20200430123119j:plain

 写真を様々に加工して「アート」と言うわけだが、こんなものは今時はフォトショをいじくり回したら誰でも作れるし、私もこの手の遊び画像は作ったことがある。違うのは「アート」などと名乗っておこがましく公開したりしないだけのこと。あまり面白味を感じなかった。

f:id:ksagi:20200430123136j:plain

この手の写真系の展示

 どうも私は写真展の類とは相性が悪いようだ。ただ今回はその中でもとびきりつまらなかった。やはり私はそもそも写真とは記録でありドキュメントであるという意識が強いので、加工写真があまり好きでないのもあるのだろう。

 

 竹橋の次は乃木坂に移動。国立新美術館に立ち寄る。今日の美術館巡りではあえて言うならここがメインか。

 

「アカデミア美術館所蔵 ヴェネチア・ルネサンスの巨匠たち」国立新美術館で10/10まで

f:id:ksagi:20200430123216j:plain

 ヴェネチアのアカデミア美術館が所蔵するルネサンスコレクションを紹介。ベッリーニ辺りから始まって、ティツィアーノ、さらに後継者たるティントレットやヴェロネーゼなどの名だたる画家たちの作品を展示している。

 やはり展示の目玉はティツィアーノの祭壇画「受胎告知」。まさに圧巻であり、この祭壇を目にしたら信仰心云々関係なしに思わず頭を垂れるだろうということが感じられる。まさに神々しさを感じる逸品。

 ティツィアーノの次の時代に来るのがティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノらなのだが、これがまた三人三様で面白い。ティントレットの劇的構成、ヴェロネーゼの華麗な色彩などは後世につながるものを感じさせるし、バッサーノの作品はこれも後の風景画につながるものを感じさせられた。

 なかなかに面白い作品を目にすることが出来たと思う。ティツィアーノはやはり良い。

 

 この後は成金ヒルズでも立ち寄るかということで美術館から表に出た途端に雨。どうも今日は天候が不安定で断続的に雨が降っているようである。面倒だなと思いつつも仕方ないので傘を差してトボトボと成金ヒルズを目指す。

 森美術館に立ち寄るつもりだが、もう大分疲れたのでいっそのこと東宝シネマでシンゴジラのMX4Dでも見て時間をつぶすかとも思ったのだが、残念ながら次の上映回は売り切れとのこと。仕方ないので美術館に行こうと思うと、なぜか入口に大行列。なんでこんなに混雑してるんだと思ったら、どうやら展望台でジブリ関係の展覧会を開催しているとか。平日の昼間にも関わらず40分待ちとかの表示が出ている。何だかんだ言われながらも未だにジブリの圧倒的強さを痛感する。それにしてもとてもこんな行列に並んでいられないと思っていたら、ジブリに行かない人は別のカウンターがあるとか。確かにそうでないとこれでは他の展覧会がすべてガラガラになってしまう。

f:id:ksagi:20200430123314j:plain

券売所にはジブリ展の大行列

 40分待ちの行列を横目に見ながら、美術館に入場する。

 

ルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」森アーツセンターギャラリーで9/25まで

f:id:ksagi:20200430123424j:plain


 マンガはルーヴルでは絵画や彫刻などの従来の8ジャンルに続く第9のジャンルとして分類されているという。本展はルーヴルを題材にして世界のいろいろな漫画家が作品を執筆、それらを紹介している。

f:id:ksagi:20200430123436j:plain

入口

f:id:ksagi:20200430123450j:plain

何やらイメージ展示の模様

f:id:ksagi:20200430123505j:plain

登場作品の数々

 企画としては分からないわけではないが、正直なところ今一つ面白味を感じなかった。そもそも短編マンガの原稿の抜粋を見せられたところで、その漫画家に特別に興味でもない限りどうすれば良いと言うんだろう? ルーブルを題材に各漫画家が作品を競演するという企画はまあ良いが、今一つ展覧会としては趣旨が不明である。結局これらの作品の全編を見れる機会はあるのか?

 

 アートギャラリーの次は森美術館に入館。

f:id:ksagi:20200430124150j:plain

外はドンヨリと天候は悪い

 

「宇宙と芸術展」森美術館で'17/1/9まで

f:id:ksagi:20200430123548j:plain


 宇宙をテーマにした作品を展示。内容は現代アートのみならず、古代の宇宙観を反映した作品、宗教的な宇宙観を示した曼荼羅など、果ては江戸末期の天体観測道具や記録などと単純にアートの枠に収まらない多様さがある。

f:id:ksagi:20200430123629j:plain

宇宙的というかSF的

f:id:ksagi:20200430123648j:plain

異星的風景画

 結局は宇宙にインスパイアされた作品を並べたというところなのだが、内容は極めて散漫で展覧会としての統一性はない。メインは現代アートであるのだろうが、それに関しても「どこかで見たことがある」作品が結構多かった。最後はチームラボの烏のCG作品で、これなどはまさに先日大分で見てきた直後。

f:id:ksagi:20200430123722j:plain

何やら見たことのあるアンドロイド

f:id:ksagi:20200430123737j:plain

そのものズバリの宇宙

 まさかここで大分市立美術館での映像企画と再会すると思わなかった。何か聞き覚えのある音楽が遠くから聞こえてくるとは思っていたが。

 

 もう既に5時を回っている。そろそろ夕食を摂ってからホールへ行く必要があるだろう。面倒くさいので夕食はここのレストラン街に立ち寄っていくことに・・・したのだが、やたらに高そうな店ばかり。さすが成金ヒルズ。結局は一番安そうなそば屋に入店してカツ丼セットを。これで価格が800円程度ならまあこんなものなんだが、1100円(+税)というのはさすがにCPが悪い。やはり東京でまともな価格でまともなものを食べようと思うと、浅草まで行かないといけないのか?

f:id:ksagi:20200430123808j:plain

そば屋に入店

f:id:ksagi:20200430123842j:plain

CPの悪いカツ丼セット

 とりあえずの夕食を終えると地下鉄とJRを乗り継いでNHKへ。相変わらずNHKホールは無駄にでかい。さすがに紅白をするためのホールだけあって、手前にステージを張り出したらステージに楽団から合唱団まですべて収まったようだ。この辺りはトリフォニーホールとは器の大きさが違うようだ。

f:id:ksagi:20200430123904j:plain

NHKホールのパイプオルガン

 

N響90周年記念特別演奏会

f:id:ksagi:20200430123922j:plain

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ソプラノ:エリン・ウォール
ソプラノ:アンジェラ・ミード
ソプラノ:クラウディア・ボイル
アルト:カタリーナ・ダライマン
アルト:アンネリー・ペーボ
テノール:ミヒャエル・シャーデ
バリトン:ミヒャエル・ナジ
バス:アイン・アンガー
合唱:新国立劇場合唱団
合唱:栗友会合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
NHK交響楽団

マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」

 マーラーの8番は千人の交響曲と言われているが、実際には千人もの奏者を並べることは不可能に近く、本公演でも大体5~600人というところ。ただそれでも通常ではあり得ないようなサウンドスペクタクルである。

 ただ演奏としては妙にクールだなという感を受けた。元々クールなN響のキャラとクレバーな指揮をするパーヴォの個性が悪い方でシンクロしてしまったような印象。それに音が全く飛んでこないNHKホールの特性が拍車をかけた。整った演奏であったが、ゾクゾクするような興奮はなかった。トリフォニーでの新日フィルでは、天使の歌と天国のラッパが聞こえてきた時には体がゾグソクしたのだが・・・。

 

 コンサートを終えるとホテルに戻って早めに就寝することにする。台風が気になっていたが、明日は特に問題なさそうである。これもやはり私の日頃の行いの良さというものか。明日は7時台の新幹線に乗るので早朝出発である。