徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

パレルモ・マッシモ劇場 ヴェルディ作曲 歌劇『椿姫』&「北野恒富展」at ハルカス美術館

 翌朝は8時に目覚ましで起こされるまで爆睡していた。目が覚めたら着替えて朝食のために出かける。このホテルでは直営の宮本むなしがあるとのことで、そこで食事すると10%のキャッシュバックがあるとのこと。ただし所詮宮本むなしは宮本むなし。

 10時前にチェックアウトするとまずは天王寺に向かう。ここにある美術館が最初の目的地。

「北野恒富展」あべのハルカス美術館で

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 大阪画壇を代表する画家・北野恒富の作品をその初期から晩年まで概観。

 北野恒富は新聞の挿絵画家として始まって、そこから徐々に名をあげて日本画家として評価された人物であり、挿絵以外でもポスターなどでも評価が高い。そういったやや異色な経歴の在野な画家だけに、その画風も時代に応じて変化し進化していっている。

 初期の画風は日本画に西洋的な描写が入り交じったようなややあくの強い画風であり、悪魔派などとも言われたとか。この頃の画風が島成園などと似たものを感じるのはいかにも時代の背景。

 その後は伝統的日本画を研究したと思われる時期があるが、竹久夢二を思わせる絵などもあって、いわゆる時代の流行の研究にも余念がないことを伺わせる。

 これが昭和になるといわゆる昭和モダンの空気にのって、清澄で軽快な画風に変化する。これらの作品は恒富の一つの到達点であることを感じさせる。

 ポスター類も展示されていたが、これらの完成度の高さはなかなかに魅せる。ちなみに時代を反映して明らかにミュシャを意識したと思われる作品などもあったのがなかなか面白い。そう言えばミュシャもそもそもはポスター画家から始まっており、北野恒富のキャリアと相通じるものも感じさせる。

 

京都河原町の老舗洋食屋に立ち寄る

 後はホールに向かって移動だが、その前に京都で昼食を摂っておきたい。気分としては洋食か。と言うわけで阪急で河原町まで移動、老舗洋食屋の「菊水」を訪問する。一階席は満員とのことで二階席へ。こちらは喫茶もある一階とは違って豪華ディナー用の席のようである。ただランチメニューも注文可能なので、私はポークカツのランチを注文する。

 白インゲンのポタージュから始まるコースになっている。あっさりとしたスープはなかなか美味。メインのポークカツだが、やはりトンカツ屋のトンカツとは違って、あくまで洋食屋のポークカツ。これもなかなか美味。

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白インゲンのポタージュ

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メインとサラダ

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デザート

 昼食を終えると京阪と地下鉄を乗り継いでびわこホールに向かう。今回私が購入したのは4階の貧民席。ホールは3階まではエスカレーターで登れるが、そこからは階段。こうやって貧民には自らの立場を理解させるシステムになっている。さすがにオペラは飛行機並に階級格差を感じさせるシステムになっている。

 ただ困ったことは、この4階席はかなり高い位置にあり、しかも私の席は最前列。これは嫌でも高所恐怖症を意識せざるを得ない。うーん、失敗した。

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4階席は高くて怖い

パレルモ・マッシモ劇場 ヴェルディ作曲 歌劇『椿姫』(全3幕)

【指揮】  フランチェスコ・イヴァン・チャンパ 
【演出】  マリオ・ポンティッジャ
【管弦楽・合唱】  パレルモ・マッシモ劇場管弦楽団・合唱団
【キャスト】
ヴィオレッタ デジレ・ランカトーレ
アルフレード アントニオ・ポーリ
ジェルモン  レオ・ヌッチ

 椿姫は基本的に登場人物はヒロインのヴィオレッタ、その恋人のアルフレード、アルフレードの父のジェルモンの3人だけと言ってよいシンプルな構成のオペラである。それだけにこの3人の力でそのままオペラの出来が決まると言えるのだが、その点において本公演は圧巻と言うべきだろう。まず驚かされたのはヴィオレッタのデジレ・ランカトーレ。大ホールに響きわたる見事な声量には圧倒され、近くの席の女性達など「マイク使ってるの?」と囁いていたぐらい。またジェルモンのレオ・ヌッチはその渋さと存在感でオペラ全体を締めていた。またその二人と堂々と渡り合うアルフレードのアントニオ・ボーリも見事。

 とにかく圧倒的という言葉に尽きるような名演。演奏後は場内はやんやの盛り上がりになり、それに応えるカーテンコールもエンドレスの状態になっていた。ランカトーレなどはかなりやりきった感がにじんでおり、満場の喝采にうれしそうに応えていた。

 

 座席のせいで心拍数が通常時の2割増ぐらいになっていたので吊り橋効果が出たのではないだろうが、かなりの名演であることを感じた。なお歌手がガンガンと歌いまくるタイプのイタリアオペラは私向きであるようだ。ただ一つだけ気になったのは、アリアが終わる度に場内拍手で劇が一旦途切れること。ワーグナーはこれを嫌ってそうならないオペラを作ったと以前に聞いたことがあるが、確かに劇性を重視する立場からならそういう考えになるのは分かる。

 

大津の温泉施設で一泊

 オペラらしいオペラを腹一杯堪能して満足してホールを後にすると、今日の宿泊ホテルに向かうことにする。今日宿泊するのは瀬田のニューびわこホテル。日帰り温泉施設と隣接しているホテルというか、温泉施設の宿泊設備である。

 瀬田駅からは送迎バスが出ているので、これでホテルへ。チェックインするとまず何はともあれ入浴である。ここの温泉は地下から汲み上げたラドン泉だという。肌当たりには特別なものはないが、トロリとした印象の湯である。とにかくこの湯で体の疲れを抜いておく。

 入浴を終えると温泉施設の飲食店で夕食。カツ丼を頼みかけたが、よく考えるとこれでは朝昼晩と三食続けてトンカツである。これではあまりに考えがなさすぎるのでハンバーグ定食に変更する。まあいかにもこの手の施設らしい可もなく不可もなくの内容。

 それにしても今日はかなり疲れた。部屋に戻るとこの日は早めに床につく。