徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

 先日に続いて今日も大阪でコンサート。今日の会場はザ・シンフォニーホールなので、昼食は久しぶりに「イレブン」に立ち寄り、サービスランチを頂く。相変わらずここの洋食は外れなしでうまい。これで950円という価格はかなりCPが高い。大阪にはこういう侮れない店が実はあちこちに隠れているのである。

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イレブンのサービスランチ

 昼食を終えるとホールへ。チェコフィルは日本でも結構人気があるのか、会場内はほぼ満席である。なお今回のコンサートは、来日予定だったビエロフラーヴェクが亡くなり、急遽指揮者が入れ替えになるというドタバタもあったのだが、代演はアルトリヒテルに決定し、ポスターも最近になって作り替えられた。アルトリヒテルの指揮は以前に京都で我が祖国を聴いたが、チェコ魂のほとばしる結構熱い演奏だったことを覚えている。

 

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

[指揮]ぺトル・アルトリヒテル
[ピアノ]アリス=紗良・オット
[管弦楽]チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 op.92
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 「皇帝」 op.73
(ピアノ:アリス=紗良・オット)
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 「新世界より」 op.95

 昨年ビエロフラーヴェク指揮で聴いた時は、非常に緻密な弦楽のアンサンブルが印象に残ったが、いささか上品に過ぎるきらいがあったように感じられた。しかし指揮者がアルトリヒテルに代わると、緻密なアンサンブルはそのままにそこに野性味が加わって力強くも美しい極上のサウンドとなった。

 一曲目の謝肉祭から熱のこもった演奏で圧倒される。力強いが下品にならない圧巻の演奏で最初から場内が異様に盛り上がる。

 二曲目のピアノ協奏曲は、アリス=紗良・オットのピアノとアルトリヒテルのオケとの組み合わせは、都会の淑女と田舎の農夫のダンスのようで、若干のアンバランスさのようなものが感じられた。煌びやかで色気のある紗良・オットのピアノは、ブンチャカ豪快に鳴らすアルトリヒテルの演奏に覆い隠されるようなところがあり、紗良・オットにも少々戸惑いのようなものが感じられた。また紗良・オットの演奏の性質から言えば、5番よりも4番の方が良かったのではと思われたところ。ただ若干の違和感はあったものの、演奏が破壊されるようなレベルではない。

 三曲目の新世界は圧巻。今まで何度も聞いてきたこの曲に、こんな演奏があったのかと驚かされた次第。アルトリヒテルの演奏はこの曲のアメリカ的なところよりも、その間から垣間見えるチェコ的な部分に光を当てており、この曲が7番や8番からつながる曲であるということを感じさせてくれる。力強いが決して下品にはならないアルトリヒテルの指揮の下、チェコフィルの分厚くて安定したサウンドが炸裂して、感動の大スペクタクルであった。

 それにしてもチェコフィルは実に良い音を出す。技量の点ではドイツ・オーストリアの一流オケに全く遜色がないことを改めて認識させられたのである。

 久々にすごい演奏を聴いたという印象。アルトリヒテルとチェコフィルの相性も良さそうだし、今後もこの組み合わせでのライブを聴いてみたいと思わされた。うまいがやや上品に過ぎるところがあったチェコフィルに、闘魂注入ならぬチェコ魂注入で美しくも熱い演奏となっていた。聴いていたこちらも久々に「魂が燃え上がる」という感覚にさせられたところである。