ビスタカーで名張に移動する
翌朝は6時半に起床すると直ちに朝食、7時50分発のバスの予約を入れてから素早くチェックアウト準備を行う。今日は名古屋発8時半の近鉄特急で名張を目指す予定。名古屋に8時頃に到着すると、飲み物を買い込んだりの乗車準備。
今回事前に特急券を手配したのはビスタカーの2階。眺望の良い座席なのだが、残念ながら朝日がまぶしいせいでほとんどカーテンを引きっぱなし。
名古屋を出た時点では3割程度の乗車率だが、四日市に到着した時点でかなり大量に乗り込んできてほぼ満員。地形的に考えて、四日市から大阪方面にアクセスすることを考えた場合、この近鉄特急が最速達ということになるのだろう。三重エリアでは近鉄が圧倒的な強さを誇るという所以でもある。ちなみにこの三重地域でのJRの惨敗ぶりを反映してか、なぜか三重県内にはJRの駅レンタカーがない(JRが通っているはずのない佐渡島でさえ駅レンタカーがあるのに)。ちなみに全県でJRの駅レンタカーがないのは三重以外では沖縄だけである。実はこのせいで、今日は津で宿泊してレール&レンタカー切符を使うという最初のイメージプランが破綻して、予定変更になった次第。
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名張からはレンタカーで移動
1時間以上かけて名張に到着すると、バジェットレンタカーの営業所へ。これが10分ぐらいかかる。キャリーをゴロゴロ引いての移動は面倒くさい。
貸し出されたのはパッソ。トップヘビーの運転しにくい車だ。これでこれから山道を走ることになる。
最初に目指したのは北畠氏館。続100名城に指定された施設である。
名張から国道368号を南下する。最初は対面2車線の綺麗な道路だったのだが、あるところから突然300番台国道が牙をむく。急に道幅が狭くなり、いわゆる1.2車線道路に。しかしそれにも関わらず車は意外に多いので、大きな車が来た場合にはすれ違いに大騒動。
難所を抜けてようやく道が良くなった頃に国道369号との分岐に到達、ここには道の駅みつえがあるので休憩に立ち寄る。ここはいわゆる産直売り場に入浴施設があり、飲食店も併設している。そこで若干早めだがここの飲食店「お食事処山桜」で昼食を摂ることにする。
注文したのは「ぼたん鍋膳(1400円)」。やはりこの時期に山の中でといえばメニューはこれだろう。味はまずまず。ただやはり名古屋寄りのぼたん鍋かなという気がする。個人的には丹波篠山のぼたん鍋の方が好みに合う。
北畠氏館の見学
昼食を終えると北畠氏館(北畠神社)に向かう。ここからはすぐに到着する。
入口の前に車を置くと、まずは神社の見学。要はこの神社のある場所がかつて北畠氏の館があった場所だという。15世紀末~16世紀初頭ぐらいに大規模な造成が行われ、中世城館では日本最古となる南北2列の石垣が設けられたとのと。
神社内には北畠顕家の像が立っている。北畠顕家は南朝方の将として足利尊氏と激戦を繰り広げた武将で、激戦の末に何度か尊氏軍を打ち破っているが、最後は阿倍野で露と消えたという。その時、弱冠21歳。美少年だったとの話もあり、何かと創作の主人公になるべき要素の揃っている人物でもある。ちなみにNHKの大河ドラマ「太平記」では後藤久美子が顕家を演じたとか。ここの像にも北畠顕家公という名の脇に「花将軍」という名が添えられている。誰か少女漫画家が彼を主人公にした作品を描けば、聖地巡礼の歴女がわんさか訪れそうだ。ちなみに調べたところによると、「花将軍 北畠顕家」という小説は既にあるようだから、後は誰かが漫画にするだけである。ちなみにこれが戦国時代の人物だったら、当の昔にアニメ化されているだろう。そういう意味では南北朝騒乱というのはこの手の作品の新たな舞台設定として狙い目かも。楠木正成とか美形にしたらうけそうなキャラにも事欠かないし。
ここの神社ではいろいろと発掘されて出土品もあったようだが、現地自体は特に建物等が残っているというわけでもなく、どちらかと言えば遺跡に近い。ザクッと一回りすると山上の詰城や霧山城の見学に向かうことにする。北畠神社の脇から北畠詰城を経由して霧山城に到達する登山道が出ているので、これを進むことにする。
詰城を経由して霧山城へ登る
詰城までは10分程度で登れる。北畠神社を眼下に望む場所にあり、一段高い郭とその周辺の郭からなるシンプルな構成。いざという時のためのお籠もりの城だから、まあこんなものだろう。背後には尾根筋が続いており、これが霧山城につながる。なおこの尾根筋は堀切で断ち切ってある。
霧山城に向けて登山道をさらに進むが、ここからがかなりキツい道のり。最近の運動不足が祟って足が前に出ない。それにも関わらず断続的にかなり急な傾斜もあるというなかなかにキツい道になっている。実際には詰城と霧山城は一体となった城郭であるという。そう考えると詰城は霧山城の出城と言えるか。
霧山城は山の尾根筋に曲輪を連ねていたようだ。登山道は谷筋を上っていく形になるが、ここを登っていたら両側の尾根筋から狙い撃ちである。矢の雨の中で敵兵はバタバタと倒れということになるんだろう。
途中で鐘突堂跡との分岐がある。ここが霧山の山頂になるらしいが、山頂にはスペースは大してなく、ここは本丸手前の出丸及び見張り台というようなところだろうか。向こうの山上に見えている本丸へはここの脇を抜けて進むことになる。
最高所に本丸があり、脇に米蔵と記された小曲輪がある。向かいには堀切を隔てて櫓との表示のある土塁に囲まれた曲輪があるが、これは二の丸と考えて良いだろう。これらを合わせるとそれなりの面積があり、ここだけでも結構多数の兵が籠もることが出来る。この曲輪だけでなく山上全体が要塞であると考えると、数千人単位の兵力が立て籠もることも可能であると思われる。まさに中世の大要塞である。
霧山城の見学を終えて山を下りてきた時には1時間半が経過していた。かなり疲れたのだが、その割には心地よさもある。やはり山で汗を流すのは良い。クタクタになった体とは逆に、久々に精神的には充実感を得ていた。
ふるさと資料館見学後、道の駅美杉で鹿マンを頂く
近くにあるふるさと資料館なるところに立ち寄るが、ほとんど開店休業状態。どうやら元々は入場料300円だったようだが、それが無料になった模様。多分300円払って入場する者がほとんどいなかったのだろう。ただ無料になっても入館者はほとんどいなそう。展示品はどこにでもよくある考古博物館と民俗史料館を併せたようなもの。ザクッと一回りして後にする。
帰る前にここの近くにある道の駅美杉に立ち寄る。夜食に饅頭とか買い求めると共に、駐車場に車で出店していた「森のキッチンシカヤマ」の鹿肉料理という表示に惹かれる。ただ鹿カレーや鹿カツレツを腹に入れるには少し重いので、鹿の肉まんを買い求める。意外にジューシーでなかなかにうまい。これだと誰でも鹿だと意識せずに普通に食べられるのでは。日本人よ、もっと鹿肉を食え。
鹿肉を食った後は再び山道を突っ走って名張まで戻ってくる。時間に余裕があれば道の駅みつえで入浴することも考えていたのだが、霧山城は私が思っていた以上の堅城(と言うよりも、私が思っていた以上に体力の低下が著しいという方が正しいか)だったため、その時間的余裕はなかった。
赤目四十八滝の見学
さてこれからだが、今日は赤目山水園で宿泊の予定。旅館の名前は最寄りの赤目四十八滝から来ている。ここに宿泊する以上、宿にチェックインする前に赤目四十八滝の見学をしないと嘘だろう。実際は明日のチェックアウト後に立ち寄るのが正解なのだが、明日は京都でのコンサートのために、早朝から京都に直行しないといけないので、滝見学をするには今日しかない。西に傾き始める夕日と競争するように赤目四十八滝へ急ぐ。
滝の手前の土産物屋街の駐車場に車を置いて滝の入口にやって来た頃にはもう4時前になっていた。券売所の話では、もう4時半頃には日没で急激に暗くなってくるから、それまでに夜間ライトアップのある手前の不動滝のところまで帰ってくる必要があるとのこと。となるとかなり駆け足で見学する必要があるが、走って行ったところでも一番奥までは到底たどり着くのは不可能。とりあえず捲土重来を誓って、今回は行けるところまで行くだけにする。
赤目四十八滝は滝見学というか、渓谷トレッキングと言うのが正しいところ。山歩き直後の体にはかなりキツい。しばらく進むと一番手前の滝らしい滝は不動滝。ここから先に進むには険しい登り階段を少し登る必要があるのだが、この時点で私は先ほどの霧山城で完全に足が終わってしまっていることを痛感する。これはどうも私の想定よりもさらに手前で見学を終える必要がありそう。
そこからさらに進むと千手滝に到着する。水の流れが複雑でなかなかに絵になる滝。
さらにこの先に布引滝があるとのことだが、この時点でもう4時半が近づいていて辺りが薄暗くなり始めているのと、布引滝に進むのにまた登り階段を進む必要があるのを見て、時間よりもまずこれを登り切る体力と精神力が尽きてしまっていることを痛感し、ここで引き返すことにする。
不動滝のところまで戻ってくると、ライトアップを見るために完全に日没するまでしばしここで待つ。同じ目的の観光客がゾロゾロいて、辺りは大混雑である。
30分ほどでようやく辺りが真っ暗になるとライトアップの滝を撮影。しかしスローシャッターのせいでほとんどぶれた写真ばかり。最初からこれが目的で三脚を持参している気合いの入った観光客もいたが、私のような行き当たりばったりではそんな用意は当然ない。
赤目温泉山水園で宿泊
ライトアップ会場を一回して戻ってくると、真っ暗な中を宿まで車で走る。それにしても辺りは真っ暗、しかもAU携帯は圏外である。なかなかに凄い秘境。
山水園は本当に山の中の宿という印象だが、宿自体は綺麗な建物。ただ斜面に増築増築で建物を増やしたらしく、敷地内に建物が散在しており、屋外の通路で移動する必要がある。私のシングルルームは一番上の方で、今日は天気が良いから良いが、これが雨や雪だったらかなり嫌だなと思える場所。
部屋に荷物を置くと何はともあれ入浴。丹前を着込んで大浴場へ向かう。泉質は弱放射能単純泉とあるが、浴感としてはアルカリ泉としての印象が強い。肌にしっとりと来るお湯でなかなかに良好。内風呂に泡風呂、それに屋根付きの露天風呂がある。露天風呂は今の季節はまだ良いが、もっと冬になるとかなり寒そう。とにかく今日は相当に体にダメージがあるのでそれを良質の湯で癒やしておくことにする。
入浴を終えて部屋に戻って少し休憩すると、すぐに夕食。夕食は本館のレストランまで行く必要がある。この移動が不便なのがこの宿の難点か。
夕食はオーソドックな会席料理。なかなか美味いが、文句を言うならもう少しご当地色が欲しい。山の中でマグロの刺身というのは「?」。川魚やキノコ、山菜などを出す方が正解では。まあそういう料理は結構客の好みも出てしまうが。ただ鍋物などはまさに猪鍋でも良いように思う。
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夕食を終えると原稿の入力・・・をしようと思ったが、体の極度の疲労のせいでとにかく頭がまるで回らない。頭から日本語の文章が出てこない。これはダメだと諦めて再び入浴することにする。
何だかんだで結局今日は1万8千歩越え。山道を含んでのこの歩数なので、これは相当体にダメージが来ている。実際、夜になって風呂上がりにマッタリしていたら、両足は段々とだるくなるし、体はどんよりと重いしで、明日がかなり不安になってくる。
とにかく疲れが激しいのでテレビを見ていても意識が遠のきかける。この日はかなり早く就寝する。