徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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読響第204回日曜マチネー&「ルドルフ2世の驚異の世界」at Bunkamura

 翌朝はやや眠気はあるものの昨日のようなむかつきなどはない。とりあえず昨日買い込んでおいたパンを朝食に摂る。

 さて今日の予定だが、14時から芸術劇場での読響のコンサートに行くと、すぐに明日に備えて滋賀に移動する予定。明日はびわ湖ホールでオペラである。

 とりあえず9時過ぎにホテルをチェックアウトすると東京駅に立ち寄り、キャリーはここでロッカーに入れておく。毎度の事ながら東京駅のロッカーは混んでいる。今までの経験から言うと10時を回ると空きがない可能性が高い。というわけで今日は特に急いでいるわけでもないのに行動を早めた次第。

 無事に荷物をロッカーに放り込むと渋谷に移動する。とりあえずBUNKAMURAで開催されているルドルフ展は見ておきたい。

「神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展」BUNKAMURAで3/11まで

 神聖ローマ帝国の首都をウィーンからプラハに移し、そこで芸術文化を華々しく開花させたのが皇帝ルドルフ2世である。彼は芸術作品の収集や芸術家の支援、さらには世界中から様々な文物を取り寄せてコレクションするなどを行った。それらのコレクションの一部を展示。

 展示絵画は野菜などで作った人物像で有名なアルチンボルドを始め、スプランガーなどルドルフ2世が支援した画家たちの作品から、東京都美術館でも展覧会が開催されているブリューゲルの作品など。宮廷コレクションだけあって、基本的には品の良い作品が多い。

 また工芸品や博物展示などもあるのが特徴的なところ。権力と富にものを言わせていわゆる珍品の類いを多数蒐集していたようで、なかなかに面白いものがある。

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アルチンボルトの絵画を立体化した展示、いささかキモい

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アルチンボルト風のこういうのもあり

 ルドルフ2世のコレクション展という今ひとつ主題のハッキリしない展覧会だが、その割には内容的には結構面白かった。特にサーフェリーの絵画が多数展示されていたが、これがなかなかに優れた絵画。私的にはブリューゲルよりも評価が高いかも。

 ルドルフ2世は領土拡張などよりも文化やコレクションに尽力したという印象が強い。幼い頃から高度な教養を身につけたとのことだが、裏を返せばオタク的要素のある人間だったのではないか。昔から文化とはオタクが発展させるものである。多くの芸術家のパトロンになったようだが、私も財力と権力を持っていたら多分同じことをしただろう。

 

 美術館を出てきた時には昼前になっていたので昼食を摂る必要がある。しかしどこに立ち寄るかを考えるのも面倒になってきたので、出口の目の前にあるラーメン屋に入って魚介出汁のつけ麺を注文する。ただ大盛りを頼んだのは失敗。今の私は年齢と体調から明らかに食べる量が減っていることを考慮していなかった。ラーメン自体は結構うまかったのだが、量が多すぎて途中で胸が悪くなってきた。

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ラーメン自体は美味いが、いささか量が多すぎた

 昼食を終えると12時過ぎ。まだ1時間ほど余裕があるのだが、行くあてもすることもその気力もないので、さっさと池袋に移動してしまう。結局は早めにホールに入場してボンヤリと過ごすことに。そう言えば先日のNHKスペシャル「人体」で、このボンヤリとしている時というのは実は脳がいろいろな情報を整理している時であり、このような時にひらめきが起こったりするとのことで、山中氏もIPS細胞の重要な発見につながるひらめきをそのような時に得たと言っていた。しかし残念ながら私にはそのような大発見につながるようなひらめきは全く起こらない。やはり人類の頭脳である天才と、私のようなこの年になっても全くうだつの上がらない凡人では脳の作りが全く違うか。私もこれでもかつて若い頃には夢や希望もあれば野望もあったが、結局は何も果たせないまま人生も終盤を迎えようとしている。全く虚しい次第だ。

 ホールの私の席は3階の真っ正面。ステージからいささか距離があるのが難だが、安い席の中では比較的良い方だろう。ここもかなり大きいホールだが観客は結構入っており、読響もなかなかの人気のようだ。

 

読響第204回日曜マチネーシリーズ

指揮=ユーリ・テミルカーノフ
ピアノ=ニコライ・ルガンスキー

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 作品27

 チャイコのピアコンはルガンスキーのピアノが見事の一言に尽きる。華麗にしてスケールの大きな演奏で、このような演奏だと今ではもはや通俗名曲の感があるこの曲も新鮮に聞こえてくる。

 ラフマニノフの交響曲も結構難しい曲である。この曲はダラダラとやると無駄に長いだけの退屈な曲になってしまう。テミルカーノフはそこに巧みに味付けをして、聴衆を飽きさせないようにしているのが覗える。また読響の演奏も、そのようなテミルカーノフの意図に応えてのカッチリした演奏。まずまずの名演であった。

 

 コンサートを終えると東京駅へ急ぐ。17時過ぎのひかりのグリーンを押さえているので間に合うように移動しないといけない。なおわざわざのぞみでなくてひかりなのはグリーンポイントのポイント数の関係。

 グリーン席でゆったりとくつろぎながら長い移動。やはり座席の快適さはこういう長時間移動には大きく影響する。こういうのを体験すると、のぞみの狭いシートは嫌になる。とは言っても、とてもグリーン料金を出せるだけの甲斐性はないのだが・・・。

 

大津の温泉施設で宿泊

 京都に到着するとすぐに乗り換えて瀬田を目指す。今日の宿泊ホテルは瀬田のニューびわ湖ホテル。日帰り温泉施設に隣接しているホテルである。送迎バスでホテルまで移動してチェックイン手続きを済ませると、すぐに隣の温泉施設へ。天然ラドン泉の温泉が体に染みいる感覚。放射能泉なので特別な浴感があるわけではないが、それでも肌になかなか優しい感覚のする湯。強ばっていた体をここでほぐす。

 この日は移動の疲れもあり、入浴を終えるとかなり疲労がこみ上げてくる。結局はやや早めに就寝することになる。