徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

イタリア・バーリ歌劇場『トゥーランドット』

 翌朝は7時半まで爆睡。今日は昨日と違って天気は良さそうだ。レストランで朝食を頂く。体の各所に痛みはあるが食は進む。

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朝食は和食で

 今日は昨日と一転して晴天の模様。JRも通常通り運航している。とりあえず今日の予定は大阪で開催のバーリ歌劇場のトゥーランドットに行くだけなので、しばし時間をつぶしてから大阪に移動することにする。ホテルのチェックアウト時刻は10時だが、同時刻に隣の入浴施設がオープンし宿泊客は当日の無料券がもらえる。と言うわけで10時を過ぎると隣の入浴施設に移動、ゆったりと朝風呂に使ってから休憩室でウツラウツラ。12時頃までウダウダと過ごしてから送迎バスで瀬田駅まで送ってもらい、そのまま大阪に直行する。

 昼食は大阪駅前ビル地下辺りでとろうと思っていたのだが、頭にあった店はことごとく長蛇の列。最近はネットの口コミなどで踊らされる客が多く、行列が出来る店とそうでない店が極端になる傾向がある。しかしこの手の口コミは百害あって一利程度しかないというのが現実。良かった店がこの手に踊らされた一見の客であふれかえり、キャパを越えた結果として料理や客あしらいが破綻して駄目になるというパターンを嫌と言うほど見てきたし、また本当に良い店が口コミの仕込みだけ上手い店(実際に金を取って口コミを書き込む業者の存在なども知られている)に駆逐されてしまう例もあった。こんなことになるのは、とにかく食べ物まで自分の舌で判断できない輩が増えたこと。自分の頭で考えることをしない輩も増えているし、今の日本はいろいろな意味で末期症状を示している。今の私が望むことは、とりあえず私の生きているうちに日本に滅んでもらいたくはないということ。私が死んだ後は、バカ共がそのバカさのせいで自滅しようともうそれは自業自得だから後は知らない。幸か不幸か私には先行きを心配しないといけない子供はいないし。

 

 

 大阪周辺は駄目なので肥後橋まで移動してしまうことにする。結局この日の昼食はフェスティバルホール地下の「キッチンジロー」「ランチ(980円)」を頂く。ここのランチは二品選ぶ形式なのでハンバーグとホタテクリームコロッケを頂く。

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キッチンジロー

 箸で食べる洋食という典型的な町の洋食屋パターン。神田神保町との記載があることから、元々はその辺りの洋食店が全国展開したのだろう。スープ、ライス付きとあったが、出てきたのがスープというよりも明らかに豚汁であったというところは笑える。まあその豚汁が結構美味かったが。ハンバーグとコロッケについては特別なものではないが、普通に美味しいというところか。場所柄を考えるとCPはまあまあこんなものだろう。

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ランチ

 昼食を終えるとローソンでペットボトルのお茶を買い込んでからホールへ向こう。今日もとにかく暑い。ホールは昨日に続いて大入りである。私の座席は今度は3階の貧民席(と言っても14000円している)。ステージがやや遠いがそれでも見切りではないのは救い。

 

 

イタリア・バーリ歌劇場『トゥーランドット』

トゥーランドット:マリア・グレギーナ
カラフ:マルコ・ベルティ
リュー:ヴェレリア・セペ
指揮:ジャンパオロ・ビサンティ
管弦楽:イタリア・バーリ歌劇場管弦楽団
合唱:イタリア・バーリ歌劇場管合唱団

 圧倒的な歌唱に圧倒的な演奏。プッチーニのスケールの大きな音楽も相まってなかなかの内容であった。

 ただ賛否が分かれるのは最後の部分をカットした演出だろう。あの後はカラフが半ば強引にトゥーランドットを口説いて、彼女もカラフを愛するという少々強引な展開なので、ドラマとしてはカットもありなんだろう。ただ問題は音楽の方もここで切れてしまっていること。プッチーニが作曲したのはここまでだからとのことだが、そもそもプッチーニがここで作品を終わらせることを意図していたのならともかく、実際は彼がここで急死したので中途になってしまったと言うだけ。この後のスケッチも残っていたのだから、やはりここで終わらせるのは音楽的に尻切れトンボになっている感が否定できない。

 音楽が派手なのでその演奏に圧倒される感じだった。それだけに最後の尻切れトンボ感がなんとも残念。どうもオペラの「新演出」とやらは、斬新さを狙って失敗する場合が多いような気がする。現在は明らかにあらゆる芸術分野においてクリエイターのレベルが低下してきているのだから、過去の名作に関しては変に突っ張った斬新系演出は狙わないのが正解ではないか。


 創作分野の低迷に、トランプや安倍に代表されるような政界の人材の低レベル化、さらに大衆の愚民化。これは人類という種全体が滅びに向かいつつあるのではないかという暗い想いに取り憑かれそうになる今日この頃である。