徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

新日本フィル定期演奏会トパーズ第593回&METライブビューイング「オリー伯爵」&「モネ」at 横浜美術館

 翌朝は目覚ましは8時にセットしていたのだが、6時に目が覚めてしまう。やや疲労はあるが体調は概ね悪くない。ただ今日は朝から雨が降っているのが鬱陶しい。

 さて今日の予定だが、東劇で開催中のMETライブビューイングを見に行ってから横浜の美術館に行き、とんぼ返りでトリフォニーホールでの新日フィルのコンサートを聴こうというややドタバタしたスケジュール。そもそもは今日東京に滞在することにしたのは横浜美術館のモネ展のせい。昨日の出張が決まった際、それなら横浜で開催中のモネ展に立ち寄ろうと思ったのだが、よりよりによって13日は横浜美術館は休館日ということで、やむなく今日は休暇を取って東京に滞在することにした次第。実のところ昨日のコンサートと今日の新日フィルは時間が空いたための辻褄合わせである(笑)。

 東劇での今日の上映はロッシーニの「オリー伯爵」「セルビアの理髪師」モーツァルトの「魔笛」の3本。そのうちの「魔笛」は今年見に行ったものだからパス。「セルビアの理髪師」も興味はあるのだが、横浜まで行く必要があるから「オリー伯爵」に絞ることにした。

 

 

築地市場は大混雑

 東劇に到着したのは9時半頃。上映は11時からなので時間に余裕がありすぎ。窓口にはチケット販売は10時半頃からとの表示が出ている。仕方ないので朝食兼昼食を摂ろうと近くの築地市場の方面へプラプラと歩く。

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築地市場は大混雑

 築地市場は卸売市場のはずだが、周辺には一般客も対象にした商店が多数あり、外国人を中心とした大勢の観光客で賑わっている。雰囲気的には関西で言うと黒門市場辺りか。朝食のための店を探すが、歩き回るのもしんどいので目についた「すしざんまい」に入店する。

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築地のすしざんまい

 朝から店内は大勢で賑わっている。カウンター席に通された私は「海鮮丼(1500円+税)」を注文する。魚の鮮度も良く斜里の味も良い。江戸前なので関西の甘みのある斜里と違ってサッパリしたタイプ。基本的には関西の寿司が好きな私だが、江戸前寿司でもうまい店ならありだ。ただカウンター内の職人の機敏な動きを見ていた私は、根本的に注文するものを間違えていたことに気づく。このような店では職人の握りの技を確認するために握りを注文するのが筋であった。なんとも野暮な注文をしてしまったことだ。とりあえず追加でカンパチ、シマアジ、ヒラメ辺りも注文する。握りは箸で持ってもばらけないが、口に入れるとばらけるというちょうど良いタイプ。やはりこの辺りは回転寿司のアルバイトや機械握りとは違うようである。支払いは2000円台後半。朝食としては贅沢すぎだが、昼食との合わせ技ということにしておく。

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海鮮丼

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カンパチとシマアジを追加

 

 昼食兼の朝食を終えると東劇へ。まだ10時半には数分あるがもうチケット窓口は開いている。全席指定だが館内はガラガラ模様で場所は選び放題。中央のやや前方の席を確保。さすがに平日の午前ということでまともな社会人は通常来れない。来ているのは私のような遊び人かリタイヤしたオッサンか有閑マダムといったところ。

 東劇はいわゆる今時のシネコンプレックスではなく、古き良き時代の大劇場。設備は更新した跡があるが、施設全体的にやや古びたところも感じさせられる。しかし今の時代、これだけの大劇場を満杯に出来るコンテンツなんてあるんだろうか。今回に限って言えば、入場率1割以下というところか。

 

 

METライブビューイングアンコール ロッシーニ「オリー伯爵」

 夫や家族を十字軍に送り出したご婦人方に迫る好色オリー伯爵の手練手管といった喜劇。ロッシーニ的な軽妙な音楽に乗せた愉快な喜劇である。

 オリー伯爵を演じたファン・ディエゴの快演・怪演がかなり光る。大胆不敵で神出鬼没で厚かましいことこの上ないオリー伯爵を、会場の笑いも誘いながら演じきっていた。

 ところで結局はオリーの騎士達はまんまと女共に手玉に取られたわけで、実は男共の留守を守っている女共のしたたかさを描いた作品のようにも感じられたのだが、それで解釈は合ってるんだろうか?


 映画の鑑賞を終えると横浜まで移動。東銀座から京急に直接乗り入れて一気に横浜である。快速急行だと品川から蒲田、川崎、横浜で意外とアクセスが良いようだ。気がつけば横浜に到着していた。ここからみなとみらい線に乗り換えて二駅目。それにしてもこの駅は深いところにある。エスカレータで地上まで出るのが大変。地下四階に当たるらしい。

 横浜美術館はかなり久しぶりだが、入場した途端に館内が大混雑しているのに驚く。チケット売り場にも数十人の行列が出来ている。平日の昼間でこれだと、週末はかなりすさまじいのでは。会期末が近づいているということもありそうだが、それにしてもこれだけの混雑は久しぶりに見る。やはり「モネ」というのは今でも日本ではかなりのキラーコンテンツになるようだ。

 

 

「モネ それからの100年」横浜美術館で9/24まで

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 モネの作品は当時の時代を画するのみでなく、後の現代アートなどにも大きな影響を与えたという。そのようなモネの作品と現代アートを併せて展示。

 しかし実態としては「モネとオマケ展」というところ。展示されているモネの作品は圧倒されるようなものばかりで、特にその光の煌びやかで奥深い表現には唸らされる。ちなみに一点だけ極端に完成度の低い作品があって「?」だったんだが、その作品は壁画のための習作の一部との説明を見て納得。

 これらのモネの作品と比べると、対比で展示されている現代アート作品が、何の工夫もなくに単に色をぶちまけただけとか、何の工夫もなしにぼやかした絵の具を並べただけとかの代物ばかりで作品としての力が格段に劣る。これでは企画者の意図に反して一種の「公開処刑」状態になってしまっている。観客も正直なもので、モネの作品の前には黒山の人だかりなのだが、現代アート作品の前はガラガラで、通りがかっても一瞥しただけでさっさと過ぎていく観客も少なくない状態であった。

 現代アートの方はともかくとして、モネの作品はそれなりの点数展示されているので、単にモネ展として訪問しても十分に楽しめる内容であった。観客が多すぎることを除けば。

 なおモネは晩年は特に現代アート的な世界に突入していたとの説もあるのだが、これについては私は大いに疑問。確かに最晩年のモネの作品はグチャグチャした最早何を書いているのかが不明な正に現代アート的な作品があるのだが、これはモネが芸術の最終到達点として至ったというよりも、この頃のモネは既に眼病の影響で視力をほとんど失っており、もうまともな作品を制作できなかったという方が正解だと考えている。巨匠や天才などと呼ばれると、失敗作などにまでその失敗に深い意味をこじつけるような研究者が現れるから大変である。当の本人にすれば「頼むからそれには触れないでくれ」と言いたい局面もありそう。

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館内の看板自体もモネ中心

 

 

 展覧会の見学を終えたがまだホールに向かうには少し早い。向かいのショッピング施設の地下の上島珈琲できんたろう牛乳ソフトを購入。「きんたろう牛乳」というのがあるのか? それともきんたろうは「牛乳ソフト」全般にかかるのか? そもそもきんたろうと牛乳ソフトにどんな関係が? などとくだらないことを考えつつしばしマッタリするが、この辺りには特に時間をつぶす場所もない。仕方ないのでとりあえず横浜に移動する。

 横浜で時間をつぶそうかと思ったが、横浜にもやはり立ち寄るような場所はない。そう言えば私はいつも横浜に行くと時間をつぶすのに困るんだった・・・なぜかこの町とはあまり相性が良くないんだよな・・・。仕方ないのでとりあえず錦糸町まで行ってしまうかとJRの改札をくぐって横須賀線を待つ・・・のだが、列車到着1分前で異常発生。横浜と保土ケ谷の間で列車にトラブルが出たとかで列車が停止、入ってくるはずの列車が入ってこなくなってしまった。安全確認のためとかで10分以上待たされて列車がようやく到着するが、また次の列車が異常発生とかで再び停止。乗った列車がいつまで経っても駅を出ない。結局何だかんだでダイヤは滅茶苦茶で、予定よりも錦糸町への到着が大幅に遅れ、結局は夕食を摂ってからホールに直行すればちょうどぐらいの時刻に。まさかこんなところで時間をつぶされる羽目になるとは思いもしなかった。

 ようやく錦糸町に到着すると、夕食は「青葉」「大盛り中華そば(860円)」を頂くことに。魚介系の出汁が特徴の濃厚系ラーメン。味はまずまずだが、今は体の方が少しついてこない感じでややくどめに感じてしまう。

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魚介系風味の中華そば

 夕食を終えてホールに向かうと既に入口の前には数十人が集まっている。まもなく開場時刻となり、ゾロゾロと入場。ロビーコンサートがあったり、新日フィルも集客に腐心しているようだ。会場の入りは7~8割というところか。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会トパーズ<トリフォニー・シリーズ> 第593回

上岡敏之[指揮]
古部賢一[新日本フィル・首席オーボエ奏者]*

今週のお題「わたしの好きな色」

R. シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」作品20, TrV 156
R. シュトラウス/オーボエ協奏曲 ニ長調 TrV 292*
R. シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28, TrV 171
R. シュトラウス/交響詩「死と変容」作品24, TrV 158

 R.シュトラウスの作品は音の洪水なのであるが、それを上岡は細かい点にまで気を配りつつ、絶妙のバランスで演奏させた。そのために空虚な空騒ぎにならず、それでいて煌びやかで派手なサウンドが炸裂のなかなかの好演。また古部のオーボエもなかなかに味わい深いものであった。

 コンサートを終えるとホテルに戻るが、途中で乗り換えの上野駅の駅ナカで閉店間際のバーゲンを物色、夜食に3割引のマグロ握りを、明日の朝食に2割引のカツサンドを購入して帰る。ホテルに戻ると入浴を済ませてからすぐに就寝。明日は早めの行動になる。