徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

ダニエル・ハーディング指揮 パリ管弦楽団(ザ・シンフォニーホール)

 さて2018年もいよいよ押し迫ってきたが、今回が本年度最後のコンサートとなるだろう。今日はザ・シンフォニーホールで開催のパリ管のコンサートに出向いた次第。先に京都での公演には行ったのだが、パリ管の技量の高さに圧倒されると共に、12編成の田園だけではいささか寂しいという気持ちが湧き上がっていた。そこで巨人を聴くべく大阪まで遠征することにした。

 今日はちょうど仕事の方も大阪であったのでそれを終えてからホールに駆けつける。夕食は久しぶりに「えん」「鯛茶漬け」をかき込んでいく。

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鯛茶漬け

 クリスマスの雰囲気漂うザ・シンフォニーホールだが、やはり料金が高めのこともあるのか満席とは行かない。ザッと見たところ入りは8割というところか。

 

MIKIMOTO 第59回 日本赤十字社 献血チャリティ・コンサート

[指揮]ダニエル・ハーディング

[ヴァイオリン]イザベル・ファウスト

[管弦楽]パリ管弦楽団

ベルク:ヴァイオリン協奏曲

マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」

 イザベル・ファウストのヴァイオリンは相変わらず音色が細いが、今回は京都よりも響きの良いザ・シンフォニーホールの音響特性に助けられて結構客席に届いてくる。また彼女のかなり繊細でやや神経質な音色はベートーヴェンよりはベルクのこのような曲の方が合っているようにも感じる。もっともこの曲自体は私には残念ながら全く面白くない。

 さて本日のメインの巨人だが、16編成のパワーでバリバリ鳴らしてくるかと思えば、どっこいそんな単純な演奏はしない。ハーディングの指揮はとにかく仕掛けの多いもので、アップテンポ気味に煽ってきたかと思えば、急にストンとテンポを落とすという変化の激しいもの。ハーディングは上手いオケしか振れないという下馬評を聞いたことがあるが、確かにこんな指揮をされたら下手なオケだと付いていけずに演奏が崩壊してしまうだろう。一糸乱れずにハーディングの指示に追従できるパリ管はさすがとしか言いようがない。

 とにかく全楽章通して曲内での対比が非常に明確で変化の著しい演奏。しかしそれでいて緊張感が切れることがなく持続するのが見事。ハーディングの明確な意図の元にその技倆を遺憾なく発揮するパリ管の面々の個人技もかなりのもの。分厚い弦に安定しつつ色気のある管と、その音色だけでもうっとりするような素晴らしさである。最後まで圧倒されっぱなしであった。

 加えてまた素晴らしかったのがアンコールのエルガーの「ニムロッド」。濃密な弦を中心とした美しいアンサンブルは場内を恍惚状態にするに十分であった。まさに極上の時である。
 
 さすがにパリ管もハーディングもただ者ではなかったと言うところ。今年の最後になかなかに密度の高いものを聴けて非常に満足である。