徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

下野竜也指揮 東京シティフィル&「イケムラレイコ」「酒呑童子絵巻」「日本を変えた千の技術」in 東京

 翌朝は8時に起床するが、よく眠ったはずなのに体はずっしりと重い。正直なところこのまま一日寝ていたいというのが本音。しかしそういうわけにもいかない。無理矢理に体を起こすととりあえず買い込んでいた朝食を腹に入れる。
 今日は14時からオペラシティでシティフィルのコンサート。しかしその前に先日行き残した展覧会を含めて数点回る予定。まずは昨日立ち寄る時間がなかった国立新美術館へ。開館時刻の10時に到着するのを目処にホテルを出る。今日も外は滅茶苦茶寒い。

「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」国立新美術館で4/1まで

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 絵画から立体造形まで多種多様な展開をしているアーティストである。どうやら表現したものがまずあって、それに合わせて手段を選んでいる模様。ただかなり迷走している雰囲気も感じないではない。恐らく本業と言うべきは大判の絵画であろう。

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奇妙な感覚の立体造形

 表現したいものは何となく伝わってこなくもないのだが、私の目から見ればいささかこじらせているようにも感じられる。よく若者にある「自分探し」などが行き詰まってしまった先にたどり着くような。

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大型作品も展示


 今日はさらに国立科学博物館にも立ち寄るつもりだが、今日はナイター開館があるのでコンサート終了後に立ち寄る予定。というわけで午前中には、ここの近くにある初訪問の美術館に立ち寄ることにする。目指すは根津美術館。乃木坂の隣の表参道駅から徒歩10分ぐらいの位置にある落ち着いた雰囲気の美術館である。

 

「酒呑童子絵巻 鬼退治のものがたり」根津美術館で2/17まで

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 根津美術館は茶道具の類いから仏像まで幅広い美術品を展示しているが、この時の特集は酒呑童子絵巻。酒呑童子は要はアル中の山賊なのだろうが、それを源頼光が坂田金時(いわゆる金太郎のモデル)らを率いて討伐するという物語を描いた作品である。しかしこれがなかなかの大作である。単に酒呑童子を討つ話だけでなく、そもそもの酒呑童子誕生のエピソードから始まっているのが面白かった。また最後の酒呑童子を討つ場面などは今の漫画に近い雰囲気を感じる。この辺りがなかなかに興味深い。

 展示品には古代中国の青銅器などもあったのだが、これが細工の細かいなかなかに興味深いものがあった。意外に逸品の多い美術館である。


 美術館を見学した後は庭園を散策。この美術館はかなり広い庭園を所有している。これが斜面の地形を利用した立体的な庭園。一番低いところには水路も引かれているようだが、今は水が少なくて半ば枯れた状態。周辺がかなり建て込んできたことも影響があるだろう。

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結構変化の多い庭園である

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庭園内に屋形船が

 

庭園内レストランでランチを頂く

 この庭園の中にレストランがあるので、昼食はそこで摂ることにする。この日のハンバーグに抹茶ラテをつけて。眺めも雰囲気も良いレストランなので、昼の一時をここでゆったりと過ごそうという客が多いようだ。美術館の中という特異な環境のレストランにも関わらず店内はかなり大勢の客で混雑している。

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ハンバーグランチ

 まあハンバーグはこんなものだろう。特別なものは何もないが、元々料理に期待しているわけではないので「なんじゃこりゃ」というものでなければ可。抹茶ラテは抹茶の味がなかなか濃くて美味い。昼の一時をゆったりと過ごすには悪くなかろう。

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抹茶ラテ

 ただゆったりとしすぎている間に時間が怪しくなってきた。レストランを出るとそのまま表参道駅へ急ぐ。こうして早足で歩いてみると意外と嫌な距離があるものである。ようやく駅に到着すると、ここから代々木公園まで移動して、そこからバスでオペラシティを目指す。現地に到着したのは開館の直前ぐらい。

 開館後にはロビーコンサートがあったりなどおもてなしは考えてあるようだ。ただ観客は多いと言うほどではない。大体5割と言ったところだろうか。

 

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第322回定期演奏会

下野竜也(Cond)

南 紫音(Vn)

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

・オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲

・シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲 op.36

・スッペ:序曲「ウィーンの朝、昼、晩」

     喜歌劇「怪盗団」序曲

     喜歌劇「美しいガラティア」序曲

     喜歌劇「軽騎兵」序曲

 新年名曲コンサートといった趣のポップス系プログラムの中に、なぜかシェーンベルクという一ひねりが下野流か。このシェーンベルクが曲者でかなりの難曲なのは聴いていて分かる。しかし南紫音のテクニックはそれを全くものともしておらず、この辺りはさすがである。とは言うものの、やっぱりこの曲は私にはさっぱり面白みが分からない。

 オッフェンバックで始まって、スッペに終わるという楽しいプログラムだが、シティフィルの演奏にもなかなかに切れや冴えがあった。最後のアンコールでは下野がポンポンを持ち出してコンマスも巻き込んでのダンスというかなりの悪ノリがあったが、それも許されるというのが今回の公演の内容。とにかく楽しめたのでそれで良し。

 なかなかに楽しいコンサートだった。下野も結構エンターティナーである。しかし人気獲得を目指している発展途上のオケではこれも重要。なお下野がやたらにコンマスのはげ頭をいじっていたが、そういう下野自身もてっぺんの辺りがかなり怪しくなってきている。これは後数年で広上化か?

 

 コンサートが終了したら上野に移動だが、その前にお茶をしたいという気持ちが湧いてくる。そこで神楽坂の紀の善に久しぶりに立ち寄ろうと考える。JR飯田橋で下車するが、現在駅が工事中のようで以前の位置からかなり東に移動していて、神楽坂からかなり遠くなっているのには閉口。

 

紀の善で抹茶ババロアでマッタリ

 ようやく到着した「紀の善」は例によって待ち客のいる状態。まあそんなに急いでいるわけでもないので待つことにする。待たされたのは大体10分ぐらいか。例によって注文は抹茶ババロア。甘さとほろ苦さが心地よい。ここも小豆が上質である。

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神楽坂の紀の善

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極上の抹茶ババロア

 久しぶりに抹茶ババロアを堪能すると、夜のおやつに栗あんみつを買い求めてから紀の善を後にする。ここからの移動だが、大江戸線で上野御徒町に行くことにする。最近はどうも食欲が湧かない時があり夕食を考えるのが面倒になってしまう。しかし今は喫茶でむしろ食欲が刺激されたのかいささか空腹感を感じ始めてきた。上野界隈で夕食を摂る店を探そうと考える。それにしても大江戸線はなんでこんなに深いんだろう。この駅なんてまるで核シェルターである。 

 上野御徒町で地下鉄を降りるとアメ横周辺の飲食店街をウロウロする。昼がハンバーグだったので黒船亭で洋食というのはなし。ウナギは高すぎて手が出ない。寿司は昨日食べたということで、良さげな店を探してうろつくが、どうもビビッとくる店がない。ここはと思ったところは行列だし、価格を見るとやたらに高い店ばかりだし(最近の私の飲食店相場感は新世界基準になってしまっているので、東京の飲食店は軒並み価格オーバーである)で段々と面倒になってくる。どうせイマイチな店しかないんだったら、南千住にもどってからでもいいやという気になり、先に科学博物館に行くことにする。

 

「日本を変えた千の技術博」国立科学博物館で3/3まで

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 明治以降、急激に近代化を進めた日本においては西洋の模倣から始まる多くの技術開発がなされた。最初は模倣に過ぎなかった技術も、段々とオリジナリティを増し、ついには世界に冠たるものとなっていく。そのような日本の技術開発を示す品々を展示した展覧会。

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 最初の頃は初の国産電池とか、国産ラジオとかなどなのであるが、時代が進んでくると新幹線とかYS11とかあからさまにプロジェクトXの世界が登場してくる。若者からするとレトロな未知のものなのかもしれないが。私の世代からするとまさに懐かしいものが多く、中には胸が熱くなってくるようなものも含まれていた。理系のものなら必見と言える。

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売店で見かけたやけに今時な(笑)ケロリン

 なにか頭の中で常に「地上の星」が流れているような展覧会だった。それにしてもこれだけの技術開発したこの日本の現状の惨憺たる有様といえば・・・。そもそもこの体たらくになった原因は、無能な経営者どもが目の前の金だけに飛びつく経営ばかりを行って技術開発を軽視したことにある。ゴーンのような単なる守銭奴がもてはやされるような社会風潮に問題があったのである。その間にこの国の本来の力をどれだけ失ったかということを考えると、身震いするほどに腹立たしい。とにかくどんな組織でもトップが無能だとそういうことになってしまう。日本はかつて無能な軍部トップのせいで悲惨な敗戦を体験したが、ここに来て無能な経営トップのせいで二度目の敗戦をしようとしているのである。

 とにかくトップに立つ人間は無能であるということだけで罪である。しかも己の欲のみを最優先にする輩は問題外である。そういう意味でトランプや安倍は大罪人と言える。こんな自分の利益のためだけに世界中を滅茶苦茶にしようとする輩に世の中を左右させるぐらいなら、いっそのこと世界が私に征服された方がまだ人類全体が幸福になれるのではという不穏な考えが頭に浮かぶ。中国の古代の聖王のような理想的な政治は出来ないまでも、少なくとも我欲のためだけに民衆を犠牲にするようなことは私はする気はない。いっそのことショッカーでも結成するか。「愚かな人間どもよ」という言葉が素で出そうになる今日この頃である。

 

南千住で夕食に中華を頂く

 科学博物館の見学を終えると南千住に戻ってくる。夕食を摂る店をと思ったが、「登知喜屋」はもう閉まっている(本当に店じまいが早いな・・・)。そこで界隈をブラッとしたところ、「広味苑」という中華料理屋があったのでここに入店する。

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南千住の広味苑

 注文したのは「麻婆豆腐定食」。四川風と書いてあったが、最初の口当たりはそう辛くないのだが、後からかなり激しくピリピリくる。しかも山椒の粒が入っているようで、これを噛んだらとんでもなく辛い。おかげで飯が進む。山椒には食欲増進効果があるというが、まるで薬膳である。

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これがとんでもなく辛い

 夕食を終えるとホテルに戻り、さっさと入浴を済ませて後はBDでも見ながらボンヤリと過ごす。とにかく体がしんどくてグッタリしてしまう。

 夜が更けてきたところで、紀の膳で購入していた栗あんみつを出してくる。極上、極上。

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紀の善で買い求めた栗あんみつ

 こうしてこの夜は終わるのである。