翌日は8時まで爆睡したが、朝からズッシリと体が重い。とりあえず9時過ぎにチェックアウトすると、「千成屋珈琲」に朝食を摂りに行く。ミックスジュースとオムライスを頂く。オムライスのご飯が少々ネットリしているのがマイナス。
朝食を終えると次のホテルへ。サンプラザ2で二泊すれば良かったようなものだが、今日は空きがなかったのでホテルを変更することになった次第。今日のホテルはジパング・・・のはずだったんだが、泊まる予定の部屋がエアコン不調で使えないとかで系列のホテルサンプラザに移動することに。
ホテルサンプラザは初めての宿泊だが、今まで何度も泊まっているサンプラザ系列。部屋の構成は似たようなものだが、最上階に展望風呂があって朝は12時まで入浴できるとのことなので早速風呂へ。快適至極。昨日夜遅くて入浴できなかったからありがたい。
今日の予定は昼から美術館とコンサート。予定のない午前中は出かけようかという考えもあったのだが、しんどいので部屋でゴロゴロすることにする。持参したBDプレイヤーをテレビにつないでサイエンスZEROなどを見ていたのだが、そのうちにしんどくなってウトウトしてしまう。
目覚まし時計の音でハッとして目が覚める。寝込んでしまった時に備えてセットしていたのだがそれが役に立ったようだ。慌てて着替えると出かけることにする。
目的地は中之島公会堂。今日はここで関西フィルのコンサートがある。中之島のこの一角は隣に風格のある中央図書館の建物があったりなどなかなかに絵になる地域。中之島公会堂もかなり趣のある建物である。
ただ設計が古いのは間違いない。やけに高いステージはもし転落したら洒落にならなそうだ。だから今日の指揮台は後ろに柵があるタイプになっている。ステージも狭く、大編成のオケならステージ上に並ぶことは不可能。
関西フィル大阪市中央公会堂特別演奏会 《古典の真髄》
指揮:藤岡 幸夫
ヴァイオリン:木嶋 真優
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26
シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 作品97 「ライン」
最初の「ジークフリート牧歌」は藤岡のプレトークにもあったように非常に美しい曲。あの性悪ワーグナーが書いたとは思えない(笑)。こういう曲になるとやはり関西フィルの弦が冴える。小編成オケで美しいアンサンブルを聴かせた。
次は藤岡がそのテクニック及び音楽に取り組む真摯な姿勢から「悪魔」と形容した木島が登場。さすがにその技術は確かに悪魔的。表現の幅も実に広く、小ホールのメリットを生かしてホール中にその音色を響かせている。かなり圧巻の演奏である。聴いている方としては終始圧倒されっぱなしというところ。なかなかの迫力があった。
最後はシューマンの交響曲。藤岡の演奏は力と躍動感のあるもの。関西フィルの音色も瑞々しい。細かいところを言うと、時々金管が変な音を出したりという場面もあったが、それでも概ね楽しい演奏であった。
コンサートを終えると一旦新今宮に帰ることにする。新世界に繰り出すと、まずは軽く腹ごしらえに「かんかん」でたこ焼きを購入。柔らかくて出汁の効いた関西式のたこ焼き。なかなかに美味い。
さて今日の夕食をどうするかだが、気分としてそばを食べたい気分。そこで「更科」に入店、「鴨なんばそば」を注文する。
そばの味は良い。ただ上品な更科そばはガッツリとそばらしいそばを食べたい今の私の気分とはいささかズレている。
夕食を終えると大阪に舞い戻る。今日は大阪ステーションシティシネマでオペラ映画を鑑賞するつもり。METのライブビューイングは去年から行っているが、ロイヤルオペラハウスも劇場上映をしているということなのでそれを鑑賞予定。こちらもMETと同様に1年で10作ほど上映するようだが、半分はバレエらしいので私が見るのは5作ほどで良いことになる(笑)。
ただこちらはMETと違って直前まで上映のタイムスケジュールが分からないのが難点。おかげで計画が立てにくい。3日前にようやくスケジュールが判明したが、何と上映開始が19時10分からで終了は23時というナイター上映。かなりしんどいのが予想されたのでパスすることも考えたが、「スペードの女王」は見たことのない作品だったので行くことにした次第。
上映が始まってもさすがに劇場内の観客は10人ちょっとぐらい。ガラガラである。
ロイヤル・オペラ・ハウス2019シネマシーズン チャイコフスキー「スペードの女王」
【演出】ステファン・ヘアハイム
【指揮】アントニオ・パッパーノ
【出演】セルゲイ・ポリャコフ(ゲルマン)ウラディーミル・ストヤノフ(エレツキー公爵)エヴァ=マリア・ウェストブロック(リーザ)フェリシティ・パーマー(伯爵夫人)
かなり凝った斬新な演出である。と言ってもよくある現代への読み替えとかではなく、劇中にチャイコフスキー自身を登場させて多重ドラマにしているという形式。劇中ストーリーを繰り広げつつ、チャイコフスキーの最期も匂わせる展開としている。斬新系の凝った演出となれば、追加部分が本筋の邪魔をするなんてことが往々にしてあるのだが、幸いにしてこの演出はそういうことがないのが重要なこと。
ストーリー自身は「ギャンブル辞めますか、それとも人間辞めますか」とでも言った内容だが、最初は愛に溺れていたゲルマンが段々とそれを見失ってギャンブルの方にと落ちていく狂気の様が一番の見所。急遽の代演とのポリャコフだが、その不利を感じさせない鬼気迫る演技でなかなかに魅せた。また伯爵夫人のフェリシティ・パーマーもさすがの存在感を放っている。
音楽についてはさすがにチャイコフスキーというか、あちこちに魅力的なフレーズが散りばめてあり、その辺りの巧妙さには舌を巻く。この辺りはヴェルディやワーグナーとはタイプが違うところ。
作品は見応えがあったがさすがに疲れた。それに夕食が軽めで腹が減ったために、劇場内でホットドックやポテトなどを調達したので、これだけで映画1本分ぐらいの金がかかってしまった・・・。
上映が終了するとカーテンコールもそこそこに映画館を後にする。JRで新今宮に戻るが、23時を回っていても大阪駅は乗客で一杯である。やはり大阪も眠らない都市なのか。
途中でコンビニに立ち寄って明日の朝食を購入してからホテルに戻る。明日も予定があるのですぐに寝ることにする。