徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

BBプラザ美術館&大フィル定期演奏会&MET「連隊の娘」

 今日は大フィルの定期演奏会。しかしその前に美術展に一つ立ち寄ることにする。先週時間がなくてパスしたBBプラザ美術館である。

「企画展にみる10年の成果 美術館を紡いだ作家たち」BBプラザ美術館で6/16まで

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 この美術館でこれまで行ってきた企画展に関連した作家たちの作品を展示。

 まず最初は須田剋太の作品から。私は彼の作品はそう好きではないのだが、本展展示作は比較的オーソドックスな風景画のせいかあまり抵抗はない。ゴリゴリとしたタッチは意外に神戸の風景にマッチする。次の吉見敏治の阪神大震災後の風景を描いた作品は、その被災者でもある私としてはどうしても目を引きつけられる作品。やや硬質なタッチが画題とマッチしている。

 菅井汲のいかにも幾何学的なデザインは私も好むところであるし、石井一男の女神像はジョルジュ・ルオーを思わせるような独特のものでなかなか面白い。西村功のモダンな印象の風景画はこれという特徴はないがそれがかえって万人受けしやすいタイプか。

 作品力としてはワンランク上だったのは高山辰雄。特にいかにも彼らしい淡いタッチの本画の3作は目を引いた。この辺りはさすがではある。なお杜甫の漢詩を書いただけの作品もあったが、それを読んでいたら読み方は分からなくても意味は取れるし、感性的にも意外に私にマッチするかもと新たな発見。

 現代作中心ということで私としてはあまり面白くないのではと思っていたのだが、思いの外楽しめる作品が多数であった。なお本展は前期後期があり、今回の入場券を持参すれば後期は無料とのこと。なかなか太っ腹である。

 

 

 美術展の見学を終えると11時前。そろそろ昼食にすることにしたい。ちょうどこの近くの「洋食SAEKI」が11時に開店。ここはいつも開店前に行列が出来ているので店に急ぐ。到着した時には店の前には既に10人以上の行列が。ザッと数えて第一陣で入店できることを確認してから行列に並ぶ。これは実に大きいことで、開店と同時に入店できなければ、最初に料理が出るのに30分程度はかかってそこから食べ終わるまで客が回転しないので、1時間近く待たされることになりかねない。

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既に行列が出来ている

 10分ほど待ってから目論見通りに開店同時に入店すると、ビフヘレカツと単品の有頭エビフライを注文する。厨房では若者数人がキビキビと動いていてなかなか壮観である。人気のある店だけに厨房も大変だろう。

 料理が出てくるまでには30分。ビフカツはオージービーフだがレアカツで柔らかい。これをデミソースで頂く。この辺りはオージーの弱点(赤身肉なので固くて味がない)を補ううまい方法だと思う。なお以前の訪問時にはドレッシングがやけに塩っぱいのが気になったが、今回はそれは感じなかった。改善したのかな?

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レアのビフカツは柔らかい

 有頭エビはプリプリしていて美味。なお頭の食べ方は店内に掲示してあるのでそれに従って頂く。足とかがパリパリとして意外に美味い。二つで1860円という贅沢な昼食だが、CPとしてはむしろ高いと感じる。

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プリプリとした有頭エビ

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エビの頭の食べ方解説

 

 昼食を堪能するととりあえず今日の宿泊予定のホテルに荷物を置きに行く。今回宿泊するのは新今宮のホテルサンプラザ2。チェックインするとしばし部屋でゴロゴロ。どうも最近は年のせいか出歩くとどうしても疲れてしまう。

 しばし休息を取った後に再び出かける。今日のメインのコンサートはフェスティバルホールで。

 

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 第527回定期演奏会

指揮/尾高忠明

曲目/藤倉大:レア・グラヴィティ
   マーラー:交響曲 第9番 ニ長調

 一曲目の現代音楽は、母体内で成長する胎児をイメージしたとのことであるが、終始うるさいにも関わらず眠りを誘うのはそれが理由か。どうも催眠音波となっていて、会場内の大半が数分で完全に落ちていた。

 二曲目のマーラーの9番は、最初は大フィルのアンサンブルがゴチャゴチャした印象であったが、尻上がりで集中力が増していったと感じられた。ただ尾高の解釈は比較的あっさりしたものであるので、もう一段心に突き刺さってくるものが欲しかった感はある。しかし大フィルにしてはかなり密度の高い演奏を行っており、演奏の出来としてはかなり良かったと思われた。


 尾高は病気治療のためにしばし休演とのこと。大フィルが結構気合いが入っていたのはそのことも影響しているかもしれない。なおこの煽りで、6月に大フィルが上演するサロメがデュトワの指揮に変更となった。これは思いがけないアップグレード。停滞していたチケットが再び急に動き始めているとか。

 この後はなんばパークスシネマで18時半からのMETライブビューイングを見に行く予定で予約を取っているのだが、コンサートの方が尾高のややゆっくりしたテンポ設定のせいもあって終了が17時20分頃。夕食を摂る時間もなく映画館に急ぐことになる。結局は劇場に駆け込むような感じになったのでとりあえずポテト&フィッシュフライを買ってこれでしのぐことに。CPが著しく悪い上にわびしい。

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わびしい・・・

 

 

METライブビューイング ドニゼッティ「連隊の娘」

指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:ロラン・ペリー
出演:プレティ・イェンデ、ハヴィエル・カマレナ、マウリツィオ・ムラーロ、ステファニー・ブライズ

 ドニゼッティの喜歌劇をペリーの演出はさらにドタバタ喜劇にしており、アドリブも飛び交う楽しい舞台。演技が結構大きいので演じる歌手は大変だと思うが、そんな苦労を感じさせない痛快な喜劇。音楽的にはイェンデとカマレナの圧巻の高音がなかなかに聞かせる。特にハイCが連発のテノールの有名なアリアでは、場内が大盛り上がりとなりカマレナがアンコールに応えるという事態になった。歌っているカマレナも楽しそうで、それが客席にまで伝わってくる。

 これに絡むムラーロ、プライズといった辺りも一癖も二癖もある存在感をアピールしていた。ムラーロに関しては事前に風邪のために不調というアナウンスがあったのだが、そのようなハンデを感じさせない存在感であった。

 さらに台詞のみの役として大物女優のキャスリーン・ターナーが出演しているのがアクセントにもなっている。いかにも女優らしい堂に入った台詞回しでクセのある公爵夫人を熱演。舞台を大いに盛り上げた。

 なかなかに楽しい作品であった。会場がかなり盛り上がっていた様が伝わってきたが、それも納得できる内容である。たまにはこういう文句なしに楽しい作品もありだろう。

 

 

 ホテルに戻る前に夕食はどこかで摂っておきたい。じゃんじゃん横町に立ち寄るが、22時を過ぎると開いている店がほとんどない。その中で23時まで営業中の「麺処虎ノ王」に立ち寄り、「特製つけ麺(1080円)」を注文する。

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どことなく怪しげな看板の虎ノ王

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特製つけ麺の中サイズ(大まで無料で選べる)

 他の店がほとんど閉まっているためか店内は満席に近い状態で大盛況である。つけ麺は魚介系のかなりこってりとした味付け。これがもっちりとした太麺と良く合う。特製つけ麺のプレミアは焼き豚と味玉なのだが、これがなかなか美味い。

 ようやく腹を満たすとホテルに戻る。かなり疲れたし、風呂に入っている時間もないのでこの日はそのまま就寝する。