徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

新海誠監督「天気の子」

 昨日は「天気の子」を見るべくわざわざ姫路に出向いたものの、映画館を取り囲む車列に断念してスゴスゴと戻ってくるという体たらくに終わってしまった。そこで今日は加古川のイオンに出向いてこの映画を見ることにした。

 それにしても道路は相変わらず混雑している。この時期の特徴として、おっかなびっくりな感じでトロトロ運転している非地元ナンバーの車が多いこと。道に慣れてない上にそもそも運転に慣れていない雰囲気で、とにかく勘の悪い運転をしている者が多いので、気をつけないと事故に巻き込まれかねない。

 加古川イオンには上映開始の1時間前ぐらいに到着するが、ここからしばし車を停めるスペースを探して駐車場をグルグル回る羽目に。結局は映画館に近い手前の駐車場には空きが全くなく、反対側の一番奥にまで車を停めに行くことに。

 車を置いてようやく劇場に駆けつけると、今度は券売機の前に長蛇の列。つくづく恐るべし盆休み。

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券売所の前はこの行列

 

 天気の子

 例によっての10代の青い恋愛の話で、本作などは見ていて小っ恥ずかしくなるほど直球ドストレートの純愛ものである。ただ本作の展開を見ていれば新海誠監督の作風が少し変化したのではという印象を受ける。彼の作品は今まで10代の恋愛特有の青臭さと共に、想いや心のすれ違いが中心となっていたが、本作の主人公とヒロインに関してはそのすれ違いは全く見えない。

 本作はかなり強引にハッピーエンドに持っていったのが特徴である。今までの作品はどことなく釈然としない印象があり、何となく心にひっかき傷が残る作品が多かったのだが、本作は全く問題のないハッピーエンドとなっている(二人の純愛の前では東京の水没など完全に些事である(笑))。恐らく初期の頃の新海誠なら、陽菜は消えてしまってそれで終わりの展開をしていたような気がする。最初に大人になった帆高が「青空を見ると僕は思い出す。この空の中に消えていった一人の少女ことを・・・」と回想する形で話を始め、最後は陽菜が消えるシーンを美しく切なく描いた後で、帆高が青空を見上げながら「こうして彼女は消えた。この青空の影に一人の少女の命があったことは誰も知らない。だけど僕は一生忘れない・・・」と締めて終わりの美しくも切なすぎるラブストーリーにしたのではなかろうか。本作の展開はかなり強引であったが、力業でハッピーエンドに持っていったことで、ある意味でより一般受けがしやすい作品になったとも言えるところがある。帆高が陽菜を探しに警察を振り切ってビルに向かうところなど、多くの観客が「行け!」と叫んで応援したくなるところだろう。こういう一種の痛快さはこれまで新海作品にあったすれ違いのもどかしさの対極にある。この辺りがこれまでの新海ワールドにドップリ浸かっていた者には賛否両論出るところではなかろうか。前作の「君の名は」では二人の最終的な結びつきが暗示はされていたが、本作ほど明瞭ではなかった。妙な言い方になるが、やけに「健全な」作品となった印象を受ける。新海誠監督自身はあえて王道をはずしたというような発言をしているらしいが、どうしてどうして私の目には逆に王道まっしぐらに見える。

 主人公達の10代特有の疎外感や焦り、将来に対する漠然とした不安などといったものが作品の中心になっているのは相変わらずだが、本作ではそれを突き放した冷たさのようなものは感じられない。序盤で帆高が「東京は怖いところ」とやたらに繰り返すが、その割には帆高はあまりに阻害されている印象を受けず、むしろ「世の中は捨てたものではない」というようにさえ見えてくる。今までの新海作品では家族の存在がほとんどない者が多いが、本作でも家族は出てこないものの、須賀や夏美のような「支えてくれる者」が登場することで一種の疑似家族を形成している。ここに陽菜の弟の凪も絡んでやけに温かい人間関係の空間が広がっており、これらのサブキャラクターについても今までの新海作品には見られないぐらい魅力的に描かれている。このこととあのハッピーエンドから、見終わった後に普通に「良い映画だったな」と言える作品になっている。

 これは新海誠の心境の変化なのか、それとも前作の「君の名は」で一種のヒットのパターンをつかんでそれを拡張したのか、いろいろと勘繰りは出来るところなのであるが、あえてゲスな言い方をしたら「新海誠も社会的に成功して丸くなった」という印象を受ける。なお本作では新海誠作品に一貫して共通する徹底した映像美というのは健在。天候に纏わる作品だけにその描写が一種の肝になっている。この辺りはさすがではある。


 映画の鑑賞を終えると昼食がまだであることから、イオンのレストラン街の「出石そば花水木」「特別定食蕎麦大盛り」で注文。いかにも出石そばらしい、ややボソボソした印象のそばを腹に入れると灼熱地獄の中を帰宅するのである。

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イオン内の花水木

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そばの定食