徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

国立新美術館の「ブダペスト展」見学後に札響の東京公演を聴く

 来週は飛び石休であるが、働き方改革のご時世で組合からは月曜日には有給休暇を取れとの号令が飛んでいる。ここは愛国者である私としては協力すべきところだろうということで、この週末は4連休と相成った。休みがあれば遠征というのは社会の常識(?)。そこで私はこの週末に東京訪問を絡めて休暇プランを立案した次第。

 金曜日の仕事を半ドンで終えると神戸空港を目指す。東京まではスカイマークで飛ぶことになっているが、これは例によって交通費節約のため。神戸空港に到着すると「神戸洋食キッチン」で遅めの昼食にトンカツ定食を摂ることにする。

 昼食を済ませると保安検査。上着もチェックされるなど(厚底の靴などもチェックされていた模様)、以前よりは管理が強化された印象。空港内の搭乗客の人数を見ていると、時勢柄か今ひとつ低調という印象を受けたのだが、それでも機内は満席とのこと。私の目算の間違いか。

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スカイマークの737で飛ぶ

 飛行機が地面を離れるとすぐに強烈な眠気が押し寄せてくる。気色の悪い飛行機の中で不安な時間を過ごすのなら寝てしまうに限る。結局は東京上空に到着するまで寝て過ごした。東京ではスカイツリーがそこに見えるような今まで見たことがないコースを飛んでいるなと思ったら、現在試験中の東京上空を飛行する新ルートらしい。もろにビル街の上を飛んでいるので、騒音云々が言われているが、それよりも万一事故が起きた時に大惨事になることの方が気になる。

 空港への到着は新ルートを取った関係とかで10分遅れ、さらにブリッジではなくてバス輸送になったので時間の遅れはさらに拡大する。おかげで考えていた予定が狂うことになる。とりあえず今日のコンサートはサントリーホールだが、その前に国立新美術館に立ち寄るつもりでいたのだが、見学時間はあるだろうか。

 京急と地下鉄を乗り継いで美術館に到着した時には17時を回っていた。見学時間としては十分とは言い難いが、ここまで来たのだからやや駆け足ではあるが入場することにする。明日に回すにしても、明日は明日の予定がある。

 

「ブダペストーヨーロッパとハンガリーの美術400年」国立新美術館で3/16まで

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 ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーのコレクションを展示とのこと。ルネサンスから20世紀初頭に至る絵画(一部彫刻も含む)が展示されるが、圧倒されるのはその物量である。

 最初はルネサンス辺りから始まり、目玉はティツィアーノ辺り。イタリア絵画、オランダ絵画、スペイン絵画といった地域分類がなされているが、私的にはイタリア絵画が一番好み。スペイン絵画にはエル・グレコの逸品もあり。ただこの辺りの時代はどうしても教会臭い絵が多くなる。

 次に登場するのは静物画や風景画などの世俗画になる。この辺りから題材の自由度が増してくる。

 彫刻作品を経た次が19~20世紀の絵画となってくるが、この辺りから時代的に印象派などの影響が見られるようになる。展示作は先鋭的な絵画ではなく明らかにメインストリームに属する作品なのであるが、光の表現などに印象派的な要素が入っている。おかげで絵が生き生きとしてくる。特に面白いのがリアリスムのコーナーの作品。正統派系の絵画でありながら、光がキラキラとしていて興味深い。なお本展の看板作となっている「紫のドレスの婦人」もこのコーナーにあり。なおさり気にルノワールの作品もここに展示されていて、見事に溶け込んでいる。

 次の戸外制作の絵画となるともろに印象派となり、モネやドービニーの作品が展示されている。これ以外にもクールベ、コローなど作品もあり。印象派というよりもさらに大きな括りにしているようである。

 この後は象徴主義などになり、カリエールの幽霊のような作品や装飾的でド耽美な作品も登場。次はポスト印象派、さらに20世紀絵画となってくるが、この辺りになると私としては一気に興味が減退してしまう。

 ルネサンスから20世紀までととにかくカバー範囲が広いのであるが、それを賄うだけの物量があったのが本展。それだけにいろいろな絵画を見ることができる。ただ絵画の分類がいわゆる印象派や親密派、フォーヴとかいうような流派による分類と違うので、ある程度の絵画史を把握している者にはかえって分かりにくいかも。

 

 展覧会をやや駆け足で見学し終えるとサントリーホールに直行する。せめて後10分余裕があればもう少しゆっくり見れたのだが・・・。もっともポスト印象派辺りはもろに私の好みとズレるので、そう見学時間を費やす意味もないと言えばそうとも言える。

 それにしてもこの周辺は意外に移動の便が悪い。国立新美術館もミッドタウンも六本木ヒルズもサントリーホールもすべて六本木エリア内ということになっているが、これらの施設間の移動となると絶望的なまでにアクセスが悪い。東京には美術館とホールをハシゴする者はいないのだろうか? その気があれば歩けない距離ではないのだが、さすがにキャリーをゴロゴロ引っ張って歩いて行くだけの気力と体力と時間の余裕がない。

 地下鉄を乗り継いで(結局は乃木坂→国会議事堂前→溜池山王→六本木一丁目のコース)私がホールに到着した時にはゾロゾロと入場中。当然のように夕食など摂る暇もないので、ホールに入ってから超高級サンドイッチと超高級ペプシ(合計で1100円もする)を頂くことに。とんだ大散財である。

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サントリーホールに入場する

 今日は札幌交響楽団の東京公演。考えてみると北海道の札響のコンサートを関西人の私が東京で聴くというのも奇妙な取り合わせではある。札幌交響楽団のコンサートは今まで2回行っているが、いずれもエリシュカの指揮でなかなか名演だったのを覚えている。特にエリシュカの最終公演は、まさに命を削って来日したエリシュカの意気に答えるかのごとく、札響も非常に熱の籠もった名演を行い、極めて印象的であったことが記憶に刻まれている。さて今回の指揮はバーメルト。通常状態の札響がどのような演奏を披露するか。

 

札幌交響楽団 東京公演2020

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指揮:マティアス・バーメルト
バリトン:ディートリヒ・ヘンシェル

シューベルト(ウェーベルン編):ドイツ舞曲
マーラー :亡き子を偲ぶ歌
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調

 1曲目は美しい曲である。弦楽セクションがなかなか聴かせる。ただ時々管楽器がデリカシーなしに鳴るのが気になるところ。札響については以前に聴いた時から、いささか管楽器セクションが元気すぎると感じたことがあったのだが、それが悪しき方向に出ているようだ。

 「亡き子をしのぶ歌」はヘンシェルの独唱は非常に美しくて繊細。曲想には合っているのだが、ややバックのオケに埋もれる傾向がある。バリトンとしてはもう少し芯の通った力強さも欲しいところ。

 メインのベートーベンは弦楽セクションはなかなかに頑張っていると感じる。ただ問題はやはり管楽器にあり、時々締まりのない調子っぱずれの音をポワーンと鳴らしてしまうケースがあり、いささか耳障りの上に音色も汚い。バーメルトの指揮がオーソドックスで虚仮威しの類いがないものだけに、そういう細かい点がどうしても気になってしまう。バーメルトの意図を100%叶えるにはもう一段レベルの高いアンサンブルが必要に思われる。

 総じて悪い演奏ではない。ただ今回の指揮者と曲目の組み合わせでは札響の弱点がもろに見えてしまったという印象。やはりガンガン行けば良い「シェエラザード」なんかの方が合っているオケなのかもしれない。そういう点ではエリシュカは選曲もよく考えていたようだ。

 

 コンサートを終えるとホテルに向かうことにする。宿泊するのは最近私の東京での定宿となっているホテル丸忠CENTRO。南千住まで移動だが、途中の乗り換えの上野駅で夕食を摂ることにする。閉店間近の「つばめグリル」に飛び込んで「ハンブルク風ハンバーグ」のご飯と味噌汁のセットを注文する。

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上野のつばめグリルに飛び込む

 以前に来た時にはご飯と味噌汁でなく、ライスとスープと書いていたような気がするが(スープと書いていたのに出たのは味噌汁だった)、表記を始めとして箸で食べられる洋食の線をさらに突き進んだ印象を受ける。そう言えば以前は丸ごとのじゃがバターが皿の脇に添えられていた記憶があるのだが、今は刻んだジャガイモがホイルの中に入れてある。微妙にジャガイモの量が減ったとも言えるようで、こういうところまでアベノミクス対応か?

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完全に箸で食べる洋食になっている

 

 夕食を終えるとホテルに向かう。ホテルの部屋は例によっての「機能的な(単に狭いとも言う)」三畳間。和室なので自分で布団を敷く必要があり。さっさと布団を敷いてゴロンと横になるともう動くのが嫌になる。しかしそれでもやはり風呂ぐらいは入っておかないと・・・男性入浴時間の23時になったところでとりあえず大浴場に出向く。こういう時の手足を伸ばせる風呂は有り難いが、もうグッタリとしてしまう。

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南千住のホテル丸忠CENTRO

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機能的(?)な三畳間

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テレビに冷蔵庫付き

 風呂から上がると本格的に体が重くてどうにもならない。結局は原稿の執筆も諦めてそのまま寝てしまう。