徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

来日中止になったフランス放送フィルの演奏をYouTubeで聴く

関西フィル及び大フィルが6月定期を開催する模様

 そろそろ国内オケが三密対策を行った上でコンサートを再開するところが出てくる模様。大阪フィルの6/26,27の定期、関西フィルの6/27の定期が開催されるとのアナウンスが入ってきた。関西で口火を切るのはセンチュリーの6/20のハイドンマラソンのようであるが、私はハイドンにはあまり興味がないのでこれはパスである。

 とは言うものの、観客席のみならずステージの方でも三密対策を行うために、12編成や14編成の大編成は不可能とのこと。ザ・シンフォニーホールで開催される関西フィルの定期については、ステージの広さから6編成が限界とのことで、当初予定のブラームスはとてもこの編成では不可能であることから、プログラムをモーツァルトの交響曲第29番とシューベルトの交響曲第5番に変更して開催とのことで、この変則開催に納得できない場合には返金するとの連絡があった。指揮者はそのまま鈴木優人とのこと。元々室内オケなんかも振る人のはずだから問題ないだろう。

 また座席の方も従来の詰め詰めでは不可のため、座席変更になるようだ(向こうが一方的に割り当てる)。ザ・シンフォニーホールで許されている定員は700名ほどとのことだから、半分しか入れられないことになる。恐らく定期会員でほぼ一杯になるだろう。そのためにチケット販売は現在一時停止されているようだ。

 

大フィルは大植のベートーヴェン

 一方の大フィルの方はフェスティバルホール開催なので、ザ・シンフォニーホールよりはステージは広いだろうが、それでも14編成は当然不可能。そう思っていたら、大フィルの方からもプログラム変更の案内が届いた。予定のバーンスタインシリーズでなく、ベートーヴェンの交響曲第4,5番に変更になる模様(やはりオケの編成が大分小さくなるんだろう)。こちらも指揮者は大植英次で変更無し。これはまた面白味のないプログラムになってしまったものだ。ベートーヴェンならわざわざ大植で聴く必要もない気もするが、まあこれは致し方ない。なおこちらも変更に不満だったり、コロナに不安のある方には払い戻しも可らしい。そして当然のように座席も変更させられるらしい。

 私は現在ところ、自分なりの感染対策を行った上で聴きに行くつもり。もっとも今後の状況次第でどうなるかは分からない。例えば来週辺りから大阪で感染爆発の兆候が現れたりしたら状況は一変するだろう。そうなればそもそも開催自体が怪しいしくなってくるが、そうなってもあの知事は自粛再要請はしないだろう。何しろ補償するのが嫌なために、解除前提の「大阪モデル」なるものを出して来たぐらいだから(何しろ「利権第一の維新」である)。やばい兆候が出ても、検査を抑制して数字を抑えようとするのと、基準を際限なく緩めるというのがオチ。そうなるとオケの自主判断に委ねられることになる。まあ開催するとなった場合にはこちらも自主的に対応するしかない。

 

来日オケや来日演奏家はまだまだ困難か

 さて国内のオケはそういうように活動再開の方向に向かって動き出したが、来日オケはそうも行かないだろう。また来日指揮者なども来日可能なのだろうか? 大フィルの7月定期はユベール・スダーンの予定だが、現状を見ると来日は絶望的なので、日本人指揮者(それも日本在住の)に振り替えられる可能性が大だろう。またプログラムもブルックナーは現状では不可能なので、これも変更必至である。関西フィルの方は指揮者は藤岡幸夫なのでよいが、プログラムの「仏陀」は演奏できるんだろうか? プログラム変更になりそうな気配が。なお京都市響は6月定期は中止、7月定期はアナウンスが出ていないが、指揮者のパスカル・ロフェが来日困難だろうから、指揮者変更は必至だろう。そうなるとプログラムも変更か。ただプログラムがモーツァルトやベートーヴェンの初期交響曲ばかりになったら嫌だな。

 来日オケの方は秋以降のオケのコンサートが開催できるかどうかが微妙なライン。今年秋に来日予定でもう既にチケット販売されたロンドン交響楽団なんかも、そもそも来日が出来るか、また来日できてもまともな形でのコンサートが出来るかといったところに問題がありそう。正直なところ、完全に問題が解決するにはコロナのワクチン接種が行われるのを待つことになるだろうが、それは早くても次の次の冬と言われている。そうなると来シーズンまで壊滅状況ということになる。これは由々しき事態だ。

 さてこの春に来日を予定していながら来日がキャンセルになったオケの一つにフランス放送フィルがある。私も堺に聴きに行く予定だったのだが、キャンセルになって払い戻しがあった。先日、そのフランス放送フィルが来日で演奏する予定だった幻想交響曲などのプログラムの過去の公演ビデオがYouTubeで期間限定で公開とのメールが回ってきたことから、それを視聴することにする。


ミッコ・フランク指揮フランス放送フィル 2020年来日公演(で演奏するはずだった)プログラム特別映像

 

フランス放送フィル公演特別映像

ミッコ・フランク指揮
ピアノ: エリーザベト・レオンスカヤ

ドビュッシー: 夜想曲集 (2017年9月15日収録)
ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58(2018年12月24日収録)
ベルリオーズ: 幻想交響曲 (2019年5月2日収録)
ラヴェル: ラ・ヴァルス (2018年12月21日収録)

 フランスのオケと言えばパリ管弦楽団のイメージが強烈であるために、色彩的なキラキラとした音色で来るのかと予想していたらその予想は見事に肩透かしされた。

 最初のドビュッシーについてはそもそもかなりキラキラとした曲であるのであるが、それをキラキラと言うよりはドッシリと言った印象で演奏している。ミッコ・フランクはテンポを煽ることなく、ドッシリ構えてオケをカッチリと鳴らしてくる。非常に着実で手堅い演奏という印象。一言で言えば地味な演奏である。

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲はレオンスカヤのソロがとにかく軽やかでかつ叙情的。特にゆったりしたところでは叙情的を通り越してメロドラマ的な響きまで出す。結果として、非常に滑らかでややもの悲しげな表情も秘めたベートーヴェンとなった。

 幻想交響曲においてもミッコ・フランクのアプローチは一貫してドッシリ構えてカッチリと鳴らしてくる。曲全体を通じておどろおどろしさよりも繊細な美しさの方が正面に出る。遅めのテンポの演奏が、ここ一番ではまるで何かに引っかかったようにさらにテンポを落とすという極端な演奏。そしてサラッと弾き流させるような部分まで、生真面目に感じられるぐらいしっかりと鳴らさせるのが非常に特徴的。決して堅苦しい演奏というわけではないが、虚仮威しや空騒ぎは一切ない。すると驚いたことにベルリオーズの中に潜む古典的な部分までが浮上してきたりする。もっともそういったスタイルがこの曲に対して正解かどうかは好みが分かれるところだろう。

 まあ、ラトル指揮ロンドン交響楽団の幻想交響曲をお上品すぎて今ひとつ面白味を感じられないと言った私としては、やっぱりこの曲はもっとおどろおどろしい方が好みではあったりする。とは言うものの、不思議なことにこの演奏には退屈さは感じず、これはこれでありかもという感覚を抱いたりするのである。これも一種のご当地物の強みなのであろうか。

 ラ・ヴァルスになると曲想もあってやや柔らかめの演奏となるが、それでも基本はかなりしっかりカッチリであるのは相変わらず。色彩的にキラキラという演奏にはならない。しかしそれにも関わらず滑らかさは持っている。

 ミッコ・フランクの演奏は初めて聴いたのだが、とにかく個性的であるとしか言いようがない印象。