徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

そろそろ再びコロナが気になり始めたところだが、METライブビューイングに出かける

コロナは本当に大丈夫なのか?

 東京では完全にコロナの感染二次爆発(と言うよりも、そもそも一次爆発が終息していなかったのだが)が発生し、大阪・京都などでも観光客の回復と共にコロナ感染者数がジリジリと増えてきているという不穏な情勢の中だが、私も警戒しつつ神戸までMETライブビューイングを見に行くことになった。今回はヘンデルの「アグリッピーナ」。ところでこの調子でいったら、来週の「さまよえるオランダ人」大丈夫かな? その頃になったらもう東京はアラートを出さざるを得ない状況に追い込まれていると予想できるが(あくまで経済優先で補償をしたくない小池百合子が抹殺する可能性もあり得るが)。

 午前中に家を出ると車で神戸まで移動する。さすがに私もまだ最大の感染源になっている可能性が高い(にも関わらず、なぜか政府の想定では常に設定外になっている)鉄道での移動をする度胸はない。正直なところ車での移動は日本の異常にクソ高い高速料金に、これまた二重課税のせいで異常にクソ高いガソリン代、そしてこれまた異常にクソ高い駐車料金まで必要になるので財布には非常に厳しいのであるが、自分自身が高危険群である身を考えると、自衛はせざるを得ない(東京なんかは自衛しない奴は自己責任で死ねと都が言っている状態だし)。

 タイムズ事前予約で押さえた駐車場に車を置いた時は上映開始時刻である12時の1時間ほど前。生憎とパラパラと雨が降っている状態。この時になんと傘を持ってくるのを忘れていることに気がついた。結局はコンビニでビニル傘を買って無駄な出費。

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国際会館は今日も雨だった・・・

 

昼食を摂るために立ち寄った店での非常に不愉快な経験

 上映開始時刻までに昼食を摂ろうと、国際会館の向かいにある「神戸ステーキプロペラ」に立ち寄ったのだが、ここで予想外の不愉快極まりない事態に直面することに。

 私が到着した時には営業開始の11時の10分ぐらい前で、既に年配の女性2人組が待っていたのでその後に並ぶ。どうやら聞こえてきた話では、前の二人は30分前から待っているようだった。その間も店員が慌ただしく店を出入りして横を通り過ぎていったのだがこちらを見る様子もなかった。その内に開店時間が。前の2人が入店しようとした途端に店員が名前を聞く。「?」状態の年配女性2人に対して店員は「今日は予約が一杯なので席がないです」の一言。これにはさすがに彼女たちも「私たちが30分前から待っていて、その間に店員が何度も出入りしていたのに、それなら何で一言言ってくれないんだ」と食い下がる。これは極めて当然の話である。予約客ならそんな30分も前から雨の中で待つなんてことは普通あり得ないので、そこは「ご予約の方でしょうか?」と声をかけるのが当たり前である。別に予約客を優先するのも逆に予約を受け付けないのもその店の方針で自由だが、その店のルールをすべての客が把握していることを前提にするのはおかしい。声をかけるのが嫌なら「当店は予約客優先ですので、ここで待っていても入店できません」と張り紙しておくか、せめて「本日は予約客で満席です」の表示ぐらいしておくのが常識というものである。

 恐らく客なんて黙っていても来るという姿勢の店なんだろう。私は呆れたのでさっさと店を後にする。そういう姿勢の店は料理以前の問題である。なお私はどこかの店に立ち寄った時、その店の料理をマズいと感じた時には、基本的には店名を出さずに「今日の夕食は失敗だった」と記すだけにしている。それは所詮美味い不味いは個人の好みがあるので、それを押し付ける気も営業妨害紛いのことをする気もないからだ。もっともCPがイマイチぐらいは言うことはあるが、それはマズいという意味でなく、大抵は美味くはあるが価格がそれ以上に高いという意味である。だが客あしらいなどのサービスの部分は、飲食店としての基本中の基本である上に、店側としても改善はすぐに可能である部分であるので、あえて店名を挙げる。

 ちなみに私は10分弱ほど待っただけなので、ムッとしただけでその場を去ったが、これがさすがに30分以上待ってこの対応だったら、こんな超マイナーブログに書くだけでなく、Googleマップや食べログにまで書き込むぐらいの怒りは持っただろうと思う。もし彼女たちがそれをしたとしても、今回は許される行為であると言うことは私が保証する。

 

気を取り直して近くの喫茶店で昼食

 仕方ないので他の店を探して南下したところ「くろんぼ」なる喫茶店を見つけたのでそこに入店する。ところでこの店名、全く何の悪意もないだろう事は分かるが、今のご時世を考えると結構グレーな店名である(黒人差別と取られる可能性がある)。ランチにはオムライスのセット(950円)があるようなのでそれを注文する。

 

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喫茶店である

 今時珍しくなりつつある純喫茶というやつのようである。まずはサラダから登場。野菜は美味いがいささかドレッシングのかけ方が私には豪快に過ぎる。少しカロリーが気になる(笑)。

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ややドレッシングが豪快なサラダ

 オムライスはデミ系というやつか。最近は具無しのオムライスも多いが、ここのはソーセージやら豆まで結構具だくさん。味はしっかりしている。これにコーヒーが付いて終わり。私はアイスコーヒーを頼んだが、残念ながら苦味の強い本格的コーヒーは私のようなお子ちゃまに向かない。味の好みはあるが、喫茶店ランチとしてはCPはまずまず。ご近所の常連とかが付きそうなな雰囲気である。

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デミ系の具だくさんオムライス

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さらにアイスコーヒー

 

都会のオアシスで前世の血が騒ぐ(笑)

 30分でランチを終えると劇場へ。国際会館にはさながら都会のオアシスというような空中庭園があるのだが、そこに巨大な壺が置いてある。説明によると200年前にオリーブオイルを貯めるために使われていた壺とのこと。子供の頃から段ボール箱に入って遊んでいた私としては、貴重な壺と書いてなかったら中に入りたくなるところ(笑)。私は高所恐怖症と先端恐怖症はあるのだが、なぜか昔から閉所恐怖症だけはない(笑)。むしろ狭いところは落ち着くから好きで、恐らく前世はハムスターだったのだろうと考えている(笑)。

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都会のオアシス

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何となく入りたくなる壺だ

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ガッテン? と思ったらガーデンだった(笑)

 ところでこのスペース、椅子とテーブルなども置いてあり、どうやらビアガーデン用のスペースでもあるようなのだが、今年はビアガーデンなんて出来るんだろうか?

 上映開始の10分前から劇場に入場。観客は10人足らず。やはりヘンデルのマイナー作品となると、このご時世にわざわざ出てきてまでという者は少ないか。

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国際松竹

 

METライブビューイング ヘンデル「アグリッピーナ」

指揮:ハリー・ビケット
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:ジョイス・ディドナート、ブレンダ・レイ、ケイト・リンジー、イェスティン・デイヴィーズ、マシュー・ローズ

 ヘンデルがローマ時代の物語に載せて、当時のフィレンツェの権力争いを風刺したとされている作品。それをマクヴィガーは現代劇に翻案している。権力を巡る滑稽で空しい争いはいつの時代も変わらないということらしい。

 本作はMETのレパートリーの中で最古の時代の作品に属するという。ヘンデルだけに音楽はバロックの軽快で簡素なもの。これを時代相応の演出でしたら地味になりそうなところだが、現代劇に翻案したことで逆にバランスが良くなっている。私はオペラの現代劇翻案は基本としては否定的なのだが、本作に限ってはむしろ正解のような印象も受けた。

 やはりヒロインのディドナートの圧倒的な存在感が一番。歴史的に見た場合の希代の悪女の一人・アグリッピーナ(本作の彼女は悪女というよりは、息子を皇帝にしたいと執着する強度の親バカに過ぎないとも言えるが)をふてぶてしいまでのたくましさで演じている。眉一つ動かさずに邪魔者を消しそうな冷淡ささえ垣間見える。

 ただそれ以上に目立ったのは、彼女の息子であるネローネ(いわゆる暴君ネロである)を演じたケイト・リンジーの怪演。オペラ歌手に珍しいスレンダーなボディをした彼女は、何の違和感もなくスボン役をこなす(今時のチャラいイケメンにしか見えない)だけでなく、歌唱力に加えてダンスのセンスも有しているのに驚かされる。特に体操のごとくに派手な動きを取りながらのアリアの歌唱には唖然とさせられた。見事に中二病的なヤンキーのネロを好演しており、抜群の存在感を示した。

 歴史的にはアグリッピーナに負けず劣らずの血みどろな人生を歩んだポッペアだが、本作では愛するオットーネのことを思いつつ、アグリッピーナの策略に欺されてしまうまだまだ経験の浅い女性。その揺れる内面を表現したブレンダ・レイはディナードと渡り合うだけの存在感がある。一方、ポッペアの思い人であるオットーネを演じたディヴィーズは非常に美声のカウンターテナーだが、美しすぎるがゆえに、単なる恋する若者だったら十分だが、将軍にしてはやや線の細さを感じさせてしまうところがある。

 一癖も二癖もある登場人物が揃うこの作品を、マクヴィガーの演出は現代劇翻案することによってさらに癖の強い人物達のドタバタ劇へと展開した。この巧妙な演出と、各人の表現力が相まって、印象の強い舞台へと仕上がっていた。ここまで濃い舞台となると、出しゃばらないヘンデルの音楽がむしろしっくりくるということに驚いたのである。これがワーグナーやヴェルディのように音楽が濃いと、舞台の濃い演出とケンカになる可能性が高かったろう。この辺りが実に巧妙であった。

 正直なところ、ヘンデルで現代劇翻案と聞いた時「わざわざ行くまでもないかな・・・」とも思っていたのだが、結果は見てみて正解であった。さすがにメトロポリタンは侮れない。そう言えば先週も「ガーシュインか・・・どうしようかな」と迷ったんだったっけ。


 オペラを堪能すると例によって長田で和菓子を仕入れて帰宅したのである。今回はういろの仕入れには成功したが、残念ながら大西のつゆ草は売り切れだった。夏の人気商品だけに、週末などは売り切れの場合があるのが難点である。

 それにしてもコロナの新規感染者数は東京で131人と完全に感染爆発、大阪でも17人、京都で9人と明らかに都市部を中心に再爆発の傾向が現れてきている。これは来週の上映やら、月末の関西フィル、大フィル、京都市響などは大丈夫だろうか?