徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

METの「さまよえるオランダ人」は流石にゲルギエフが冴えまくり

いよいよMETライブビューイングもファイナル

 さてコロナで中止になった分のMETライブビューイング3週連続上映はいよいよファイナルの「さまよえるオランダ人」のみとなった。それにしてもこの間にもコロナの状況は日に日に悪化して、東京は実質的に感染爆発状態(にも関わらず諸般の事情でアラートは出ない)であり、その影響は関西にも及びつつあり、大阪も爆発前夜という雰囲気になってきており、当然のように大阪と運命共同体の兵庫もその影響を受けつつある。この調子で来週以降の大阪でのコンサートが大丈夫なのかなと心配しつつ、今週も車で三ノ宮まで繰り出すことにする。

 タイムズ予約で確保してた駐車場に車を預けると、とりあえずは昼食。国際会館周辺の店もそんなにめぼしいところはないし、11時半から開店の店が多いので、12時からの上映に間に合わない。仕方ないのでセンター街の方をうろついてみるが、こちらの店も11時開店がほとんどなので、開いている店がない。そんな中、一軒だけ開いているラーメン屋を見つけたので入店して炒飯と醤油ラーメンのセットを注文したのだが、これは残念ながら失敗だった。炒飯は味自体は悪いと言うほどではないのだが、妙にコゲばしかったし、何よりもラーメンがまるで駄目。醤油に化学調味料だけで味をつけたような感じで、とにかくマズかった。ここは再訪はなし。

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失敗ラーメン

 ラーメンを食べ終わった頃には他の店も開店し始める。そこで口直しに「亀井堂」に入って「宇治金時」を注文する。抹茶の味が強くてなかなか美味い上に、見た目以上に小豆が入っている(外からは少ししか見えていないが、実は底の方に意外に入っている)のがうれしい。実のところ今日は悪天候で宇治金時ドーピングが不可欠な状況ではないが、久しぶりに生き返った気分にはなった。そのまま国際会館に直行する。

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センター街地下の亀井堂

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宇治金時ドーピングをする

 

 券売所の表示を見ると「さまよえるオランダ人」が「のこりわずか」になっていたので何が起こったんだ?と思ってネット販売をチェックしたが、そんなに売れている様子もない。だが館内には結構大勢の客が上演開始を待っているので、どうなってるんだと思いながら空中庭園の方を一回りして戻ってきたら、観客が全くいなくなっていた。どうやら先ほどの待ち客は11時40分から上映開始の「イップマン完結編」を待っていたようだ。何やらブルース・リーの師匠のカンフー名人の話らしいが(劇場で予告を見ただけなので中身はよく知らない)。それにしても結構年配が多かったと思ったが、よくよく考えると、ブルース・リーのファン層自体がもう年寄りか。そう言えば、ガンダムファンなんかも最近は種とか00とかわけの分からんのが増えていて、ファースト原理主義者はもう年寄りらしいし。

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残席表示が「残りわずか」になっている

 ようやく上映開始で館内に入場。入場客は確かにこの三週で最も多かったが、それでも20人ちょっと程度。

 

METライブビューイング ワーグナー「さまよえるオランダ人」

指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演出:フランソワ・ジラール
出演:エフゲニー・ニキティン、アニヤ・カンペ 、藤村実穂子 、フランツ・ヨーゼフ=ゼーリヒ、セルゲイ・スコロホドフ 、デイヴィッド・ポルティッヨ

 ワーグナー初期のヒット作品。永遠に海上を彷徨い続ける呪いにかかったオランダ人が純粋なる乙女の愛によって救われるというロマンティックストーリー・・・というのが普通の解釈だが、私にはオランダ人の肖像画に惚れてしまった二次元オタの腐女子が、その肖像画に瓜二つのイケメンにぞっこんになってしまって、究極まで自己陶酔した挙げ句に自らを犠牲にまでしたという話のようにも見えてしまったりする。

 さて本公演の指揮はゲルギエフ。彼のライブを何回か聴いたところでは、どうもあまり統制をかけずに豪快に鳴らすややヌルい演奏という印象を持っていたが、本公演ではこのオケを豪快に鳴らす手法が極めて効果的である。もう開始早々その格好良さにグッと心をつかまれた。特にその序曲はもうこれだけでこのドラマ全体を象徴していることが非常によく分かり、いきなり堪能させられてしまった。ワーグナーマジックとゲルギエフマジックの二重の魔術に魅了されたというところ。さらには作品世界をダンスとプロジェクションマッピングで表現しきった演出も見事であった。通常は途中で拍手はしないワーグナーのオペラで、ここのところはMETの会場でも拍手が起こっていたのも納得。私もその場にいたら多分拍手したろう。改めて、やっぱりゲルギエフってオペラ指揮者なんだなと感じた次第。

 作品は終始、この「格好良い」音楽に乗せてドラマチックに展開する。休憩なしの三幕連続構成で上演時間2時間半と短めであることと、晩年の作品ほど複雑な音楽構成でないことなどが幸いして、ドラマがだらけないし、内容も理解しやすく音楽の演劇とのマッチ度も高い。これはワーグナー初心者向きの作品だななどとも感じた次第。

 悲劇的運命に翻弄されているにも関わらず非常に堂々として見えるオランダ人はニキティンの落ち着いた演技と歌唱の代物。一方のゼンタを演じたカンペはややエキセントリックにも見える少女(恋に恋するヒステリックな少女という印象だった)を圧巻の歌唱力で演じた。終盤の去ろうとするオランダ人に対して自らの純愛をたかだかに主張するシーンなどは圧倒されてしまった。ゼンタを純粋に愛していながら結局報われなかった不幸なエリックの美声のテノールのスコロホドフも好演。

 久々にオペラの音楽で圧倒されたというのが本作であった。見応えあるなとつくづく感じた作品である。


 帰りには例によって長田に立ち寄って和菓子の購入。定番ういろは購入できたが、大西のつゆ草は十分な量を確保できなかったので、長田神社前に行って加島の玉子焼きを購入。ここはかつては長田神社で祭りがある度に定番になっていた人気の露店だったのだが、知らない間に神社前に店を構えたのがここ。玉子焼きとはいわゆるベビーカステラと言われる類いの菓子だが、ここのは以前から味のバランスが絶妙である。これを1000円分購入して帰ることに。

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