NHKのホームページで順次配信されている過去のアーカイブが、今日からブロムシュテットの「英雄」に変わったようである。
NHK交響楽団第1924回定期公演(2019.11.6 サントリーホール)
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」
ブロムシュテットで「英雄」というから、初っ端からドッシリ、ズッシリ行くんだろうと予想していたが、案に反してややアップテンポ気味で軽快な演奏。音色的に渋いのは相変わらずであるが、思いの外躍動感のある「若々しい」演奏である。
第二楽章も過度に感傷に溺れずに淡々とした演奏。そしてやはり重くなりすぎない演奏である。そして軽快な第三楽章は整然として端正な演奏。あっさりとした響きはベートーヴェンのロマン性よりも古典性の方が滲んでいる。そしてそのまま整然と最終楽章に突入する。その調子で序盤は軽快に進め、中盤以降、急にテンポをストンと落としたのには驚いたが、どうもその辺りから演奏がいささかばらけたような印象を受ける。もう少し終盤にかけての盛り上げようがあったろうにというように感じられてしまった。まあ妙な虚飾や虚仮威しを廃しているところはブロムシュテットらしいとは言えるが。
今や現役最長老とも言われているブロムシュテットであるが、まだまだ健在である。何よりもこの時点でまだ椅子を使わずに指揮をしているということ自体がある種の化け物。足取りもまだまだしっかりしているし、歩くスピードも速い。今後も達者に現役を続けてもらいたいところ。コロナ禍が過ぎ去ったら是非とも来日公演を期待したい。