徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

麒麟がくる第36話「訣別」

馬鹿殿立つ!!

 馬鹿殿がとうとう突っ走っちゃいました。光秀は義昭と手合わせしながら、あの穏やかだった人がなんでこんなに殺伐とした馬鹿殿になったんだという悲しさと苛立ちで、完膚なきまで義昭を叩きのめしてしまいましたが、あのシーンに光秀の心情を表現させている。確かに光秀でなくても「この人、ちょっと変わりすぎたんでは」って気はしますからね。なんでこうなったって感じかな。

 そして光秀も帝に謁見してお言葉を頂き感動、信長と同様に帝に惹かれていることを感じている。うーん、流石に玉三郎は凄い(笑)。まあ実際に御所というところには天皇をありがたく感じさせるための様々な演出があり、それにはまってしまったら天皇に心服させられるように計算はされてますから。実際の光秀もかなり帝重視で動くことになり、それが後に信長と距離が出来る一因にもなるんですが。

 佐久間信盛が柴田勝家と共に光秀の元を訪れた時には、光秀に今後も信長に直言をして欲しいということを言っていたが、あれは佐久間が暴走気味の信長に対して不安を感じ始めていることを匂わせている。恐らく、後に佐久間は信長によって追放されるということへの伏線となっているんだろう。松永が信長についていきかねるということを匂わせていたが、今後信長が暴走することで周囲と軋轢を増していくことの伏線があちこちに張り巡らされている。

 そしてあちこちと信長との仲を取り持とうとしていた光秀の思惑はこれにて完全に破綻ということに。光秀は義昭と涙の別れ・・・ってのが今回の内容ですが、多分現実は「将軍に付いていても力はないから御利益少ないし、やっぱりここは力があって取り立ててくれる信長に付いた方が得」という計算尽くで、義昭と袂を分かって信長に付いたってところでしょうけどね。このドラマの光秀は熙子に「京と美濃のどちらが近いのですか」と言われて迷っていたが、現実の光秀は「いや、もう京には義理はないから」って言ったと思う(笑)。

 

家康はケチョンケチョンにやられたようですが

 まあ三方原で信玄が家康に圧勝って報が伝わってきているから、義昭が舞い上がるのも分からなくもないが。普通は信玄がこの直後に亡くなるなんて考えもしないわな。実際にあそこで信玄が亡くなっていなかったら、信長はどうなっていたかはかなり怪しい。

 ちなみに家康は大敗して馬上でクソちびりながら浜松城に逃げ込むことになったが、武田軍が深追いしなかったこともあって、意外と戦力は減ってないんですよね。少ない兵で鶴翼の陣を敷いたせいで薄くなっていた本陣を、武田軍の魚鱗の陣の分厚さで押されたせいで、本陣は呆気なく壊滅しちゃったんですが、早々に決着が付いて全軍崩壊のせいで、実は主力はほぼ無傷だったりしている。だからこそあれだけ手痛い敗戦にも関わらず、家康はその後にすぐに建て直しできている。同じ惨敗でも主力をほとんど壊滅させた長篠の武田勝頼とは状況が違う。これも信玄が本気で家康を滅ぼす気だったら、追撃で家康軍をほぼ消滅させてから、浜松城を囲んで家康を自刃に追い込んでいるところでしょうけど、信玄にしたら家康なんて京に上る途上の障害物ぐらいの認識だから、邪魔する力がなくなったら「次や、次」って感じなんですよね。これは家康には幸いだった。

 この後は、舞い上がって挙兵しちゃった義昭は、ハシゴを外された形になってしまって信長にケチョンケチョンにやられて京から追い出される羽目になってしまいます。これで事実上馬鹿殿退場です。となると常に権力者のそばに寄り添っていた世渡り上手の小池百合子お駒はそろそろ乗り換えですかね。何しろ光秀を始め、秀吉から家康など蒼々たる面々とコネがありますから(笑)。