パリ管のライブ配信を聴く
パリ管のHPでサロネンによるシベリウスの交響曲第6,7番が配信されていたので、それを聴くことにした。
サロネンといえば当然のように祖国の大作曲家であるシベリウスの演奏では定評がある。そのサロネンが、決してシベリウスとイメージが合致するとは感じられないパリ管を率いてどんな演奏をするかが興味深いところ。
パリ管弦楽団ライブ配信(2021.2.11 フィルハーモニドパリ)
指揮:エサ=ペッカ・サロネン
シベリウス 交響曲第6番
交響曲第7番
分かりやすい初期交響曲と違い、さらにシベリウスらしさが強まってひたすら幽玄な曲となってきた晩年の交響曲のプログラムである。
流石にシベリウスは自家薬籠中であるサロネンである。演奏が始まる早々シベリウスらしい幽玄な響きが支配する。パリ管がこんなに渋い音色を出すとは驚かされる。実に深くて広がりのある音である。
しかしそこは流石のパリ管、単に霧の立ちこめた地味な音色に陥るわけではない。霧の向こうからでも燦めきが見えてくる。決してサロネンの音楽をぶち壊さないように出しゃばることはないのであるが、その響きは実に美しくて鮮やかでもある。幽玄でありながら鮮やかという一件相矛盾するかのように思われることを簡単に両立してくれる。だから深い霧の奥から、時々ハッとするような美しい風景が垣間見える。
ゆったり目のテンポで壮大でスケールの大きな演奏であり、この辺りはサロネンのまさに真骨頂であった。こうして聴いてみると、この両者の組み合わせはかなり最強。