徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

ビシュコフ指揮のロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団でチャイコの5番

コロナでお籠もりの日々はネットのライブ配信で

 コロナのせいで遠出するわけにも行かず、コンサートの方もたまに大フィルの定期演奏会を決死の覚悟で大阪に聴きに行くぐらいである。各地のオケは存続の危機を迎えているが、全くもって音楽愛好家にとっても受難の状況が続く。

 当然のことながら来日オケの予定などは見事に全滅してしまった(昨年のウィーンフィルの来日はつくづく奇跡のウルトラCだと思うが)。こういう状況では必然的にネットのライブ配信などに頼ることになる。

 さてそのライブ配信であるが、今回はセミヨン・ビシュコフ指揮のロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団の演奏がアップされていたのでこれを視聴した。

www.concertgebouworkest.nl

 

 無料配信なのはありがたいのだが、どうもロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団のHPはサーバが非力なのか、それとも通信回線が細いのかは不明だが、どうにも画質が悪い上に送信も不安定。昨日見ようとした時にはしょっちゅう凍っては矢印がクルクルの状態だったので、とても音楽を聴けるような状態ではなく、今日再びトライした次第。今日は画質は最低に近い(映像が極めて荒い上にしょっちゅうカクカクする)が、何とか音は止まらずに聴くことが出来た。まあやはりベルリンフィルデジタルコンサートホールのような有料配信とは投入できる資源に違いが出るのも仕方のないところか(ベルリンフィルデジタルコンサートホールがこのクオリティの配信をしたら直ちに「金返せ」の山である)。

 まあ所詮はネットでのライブ配信などは「温泉に出かけることが出来ないので、温泉の素で温泉気分を味わう」というようなところがある。早くコロナが全世界的に収束して、また来日公演が再開される日を祈りたいところである。

 

ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団ライブ配信

指揮:セミヨン・ビシュコフ

チャイコフスキー 交響曲第5番

 非常に濃厚な風味のチャイコフスキーである。テンポはやや遅めではあるがそう極端と言うほどでもない。むしろ印象的なのは所々で見られる独特の溜め。そのおかげで時々音楽がネットリと糸を引くような印象を受ける。情感タップリに音楽を揺らしてくる。そのために非常に粘っこくてややしつこい印象の表情の演奏となる。

 チャイコフスキーの演奏と言えば、旧ソ連時代にムラヴィンスキーなどのかなり個性的な演奏が存在したが、そういった大時代がかった雰囲気も感じられるところ。その辺りはかなり好みが分かれそうである。ビシュコフは強弱もかなり揺らすが、やはりそれ以上にテンポの揺らしが激しい。これを味があると捉えるか、下品と捉えるかが難しいところである。

 私としては面白いとは感じるものの、いささかこれは行きすぎという感を受ける。溜めが目立ちすぎて音楽のスムーズな流れを断ち切っているような感じを受ける。もう少し滑らかな演奏でも良いのではないか。やや胸焼けがする感がある。