徒然草枕

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サンクトペテルブルクフィルのライブ配信を聴く

ロシア語は流石に苦労しますが、ここにもライブ配信が

 ライブ映像を探して世界の各オケのHPをサーフィンしているのが昨今の私であるが、今回はサンクトペテルブルクフィルのHPでニコラ・アレクセーエフが指揮したマーラーの交響曲第9番を見つけたのでそれとその他の公演も視聴。

www.philharmonia.spb.ru

 それにしてもページの地の文はGoogle翻訳が読んでくれるので問題ないのだが、映像中に登場する曲目などはロシア語を翻訳しようないので、読み取りに四苦八苦した。何しろまともなアルファベットでないので読み方の想像さえ出来ないし、翻訳に入力することさえ出来ない。「この辺りか」と想像を付けて逆に日本語からロシア語に変換させたのを見て確認するしかない。にしても「Сен-Санс」でサン・サーンスなんて、どう読みゃそうなるんだ?

 

サンクトペテルブルクフィルライブ配信

指揮;ニコライ・アレクセーエフ

マーラー 交響曲第9番

 アレクセーエフの演奏を初めて聴いたのは、数年前にサンクトペテルブルクフィルが来日した際、テミルカーノフが体調不良で急遽そのピンチヒッターとして出演した時である。その時の印象としては、とにかく個性が薄い大人しい指揮だなというものだった。副指揮者としてテミルカーノフの元でキャリアを積んできたせいか、自分を出すというよりもテミルカーノフならどう振るかと考えて指揮をしている印象を受けた。

 今回の演奏であるが、その「印象が薄い」というのは基本的にあまり変わっていない。マーラーのこの最後の交響曲は演奏の仕方によっては、狂おしい情念に振り回されるようにも、全てを悟りきって極楽に昇天したようにも、いかようにも表現できるのであるが、アレクセーエフの演奏についてはとにかく抑制的。狂おしい感情の爆発もないが、悟りきったという境地でもない。何となく淡々と音楽を進めていく印象である。

 以前の時にも感じたように、あまり自分の感情を強烈に前に出すタイプではないようだ。指揮姿も妙に安定した淡々とこなしている風情であり、いわゆるロシア系に多い感情むき出しの爆演型指揮者とは完全に対極にいる。

 以前の来日時も、彼はもう少し自分を正面に出せばもっと大成するのではと感じたのであるが、今回も基本的にその印象は変わらないところであった。


 他の指揮者によるプログラムもあるようなのでそれも聞くことにする。

 

サンクトペテルブルクフィルライブ配信

指揮:フェリックス・コロボフ

サン・サーンス バッカナール
ビゼー 交響曲ハ長調
チャイコフスキー 眠れる森の美女

 コロボフの名は初めて聞くが、ロシア人で元々はチェリストから指揮者になった人物(ロストロポーヴィチを連想する)のようである。

 前半はフランスもの2題である。最初はサン・サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」から、まさに狂乱の舞踏曲であるのだが、エキゾチックかつお祭り騒ぎ的なこの曲をコロボフは極彩色で描き出した。オケもなかなかに鮮やかな音色を出す。

 2曲目はビゼーの軽妙かつウィットに富んだ交響曲。コロボフの演奏は何とも軽快かつ陽性の気持ちの良いものである。やや早めのテンポでグイグイとノリで突っ走るタイプ。最後の最後までまさに活気に満ちた「ハ長調」であった。

 眠れる森の美女は大きな動作でかなり感情のこもった指揮を行っている。もっともその表現は大きな溜や揺らしはない意外にオーソドックスなものではある。しかしオケの技倆もあってなかなかに楽しく美しい演奏となった。