徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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エーテボリ交響楽団のライブ配信でステンハンマルを

ロシア語の次はスウェーデン語だ

 さて、先日来から世界のオーケストラ巡りをしている私が今回巡り会ったのはスウェーデンのエーテボリ交響楽団である。先日はサンクトペテルブルクフィルのロシア語で難儀したが、今度はスウェーデン語。当然のことながら私には何のことやらサッパリ分からんが、そこはGoogle翻訳がキチンと機能してくれているのでページの大意を取るのには問題ない。むしろ昨日のロシア語よりは良好な翻訳をしているように思える。Google翻訳は思いの外適用対象が広いようである。

www.gso.se

 ちなみに試しにイラク政府のHPに接続してみたら、なんとアラビア語まで翻訳する模様(あの意味不明のアラビア文字が日本語に変換される)。なおポーランド語やチェコ語にスロバキア語、ハンガリー語にも対応可能なのは確認済み。私の長年の夢である全自動翻訳機が登場する日も予想よりも早いか? 私が子供の頃からいずれ技術が解決してくれると考えていたワープロは既に登場して、私の不器用さから来る異常な悪筆というのは仕事上のハンデにならなくなった。次は実用レベルの全自動翻訳機の登場で、私の耳の悪さ(と言うか、それに連動している頭の問題の気もするが)から来る外国語能力の著しい低さが、仕事上のハンデにならない時代の到来を期待したいところだ。まあ既にGoogle翻訳は英語論文の斜め読みなどの際に活用しているのであるが。

 

エーテボリ交響楽団の思い出

 なお本題に戻ると、エーテボリ交響楽団はスウェーデンを代表するオケで、パパヤルヴィことネーメ・ヤルヴィ指揮のシベリウス交響曲全集は私の愛聴盤であった。今までも数回来日をしており、私の学生時代にはネーメ指揮の公演でアンコールのシベリウスのカレリア舞曲で心底感動したのは今でも昨日のことのように覚えている。今日の私のライブ通いの原点はここにある。ちなみに本来は昨年ロウヴァリが率いて久しぶりの来日の予定だったのだが、残念ながら昨年来のコロナの流行でおじゃんになったところである。

 このエーテボリ交響楽団もHPでライブ配信を行っており、スウェーデンの代表的作曲家であるステンハンメルの作品の特集を行っている。ステンハンメルは日本ではかなり知名度の低い作曲家となるが、スウェーデンを代表する作曲家であり、19世紀末から20世紀前半という活躍年代はちょうどシベリウスと被っている(シベリウスが非常に長寿だったので、ステンハンメルよりも先に生まれて、かなり後で亡くなっているが)。そのために作風的には同じ北欧の作曲家としての類似した空気を持っている。

 ブロムシュテット指揮で交響曲第2番とオーケストラのためのセレナーデの演奏が合ったのでそれを聴く。

 

エーテボリ交響楽団 ステンハンメル作品集

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

ステンハンメル 交響曲第2番
        オーケストラのためのセレナーデ

 曲自体は20世紀初頭の音楽となるのであるが、殊更に20世紀音楽というよりも、もっと古い型式を引きずっているところのある作曲家のようである。そのおかげで私には実に馴染みやすい曲である。それでいて曲全体にシベリウスと同様の北欧の空気が漂っており、それが何とも言えない味となっている。

 ブロムシュテットの演奏はいかにも彼らしく外連味のない手堅いものであるが、それでいてなかなかに若々しさを秘めている。北欧の霧が立ちこめる奥から、時折非常に快活なパワーがほとばしってくるところがある。正直なところ「意外とやるなブロム爺」というのが正直な感想。

 いくら煽ったところで、管楽器類の鳴り方があくまで北欧のオケであり、ベルリンフィルなどとは根本的に違う響きになるのはいかにもこのオケの持ち味。この辺りは私が30年ほど前に聴いた時から本質的には変わっていないようである。もっともあの頃よりはかなり垢抜けて、ヨーロッパの辺境オケからもっと都会的なオケに脱皮したようなお洒落さも感じるところはあるが。ご当地物のステンハンメルとなれば、やはり彼らも共感度は高いのであろう。その辺りはアメリカ生まれながらスウェーデン人であるブロムシュテットも共感するのか。

 交響曲第2番よりも軽めの曲であるセレナーデは、よりチャーミングな曲であり、この曲についてはブロムシュテットも茶目っ気のようなものを垣間見せる。終演後もいかにも楽しげなブロム爺の姿が印象的であった。