徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

東京交響楽団のニコニコライブを試聴する

ニコニコ生ライブのタイムシフト放送を聴く

 昨日5/22のノット指揮の東京交響楽団のライブがニコニコ動画で生配信されたという情報が、公演終了後になってから入ってきた(我ながら情報が遅い)。本日からタイムシフト中継がされるとのことなのでそれを視聴することにした。

 ちなみにライブでは1曲目にJ.アダムスのザ・チェアマン・ダンスが演奏されたらしいが、タイプシフト配信ではこれは配信されないとか。恐らく著作権の絡みであると思われる(J.アダムズはまだ存命)。

 なお5/27の公演の生放送もあるようである。

live.nicovideo.jp

 

東京交響楽団 特別演奏会(2021.5.22 東京オペラシティコンサートホール)

指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:森麻季

ドビュッシー:遊戯
マーラー:交響曲 第4番 ト長調

 1曲目のドビュッシーはいかにも煌びやかな曲なのであるが、ノットが指揮するとそれがさらにあらゆる旋律か溢れる感じになり、よりとりとめのない感になった。

 2曲目のマーラーの交響曲は、最初から「天国的雰囲気のある曲」と言われているマーラーにしては珍しく明るい曲なのだが、第1楽章からかなりゆっくりしたテンポで、まさに天国的な演奏が繰り広げられている。ノットの演奏は通常なら裏に潜んでいる旋律が突然に表に浮き上がってきたりなど、通常の演奏とはかなり異なる印象を与えるもの。おかげで結構あちこちに音楽が飛んでいるような感も受ける。ただあくまで楽園的で極めて長閑な演奏であり、完全に音楽の角が取れている印象。

 基本的に第2楽章もその調子である。第3楽章などはさらに遅めのテンポで楽園的なメロディが繰り広げられるせいでやや弛緩した印象もなきにしもあらず。最終楽章は森麻季のソプラノが加わるが、ここまでやや大人しめの表現をとっている演奏に合わせてか、森麻季の歌唱もやや淡々とした印象で過度な表情を抑えたように感じられる。個人的にはもう少しキラキラした感じがあったも良かった気がするが。

 総じて美しくて虚仮威しのないマーラーという印象であったが、正直なところ楽園イメージだけでは退屈したところもあるのが本音。やはりただの天国では私のような俗物には退屈すぎるのであろうか。

 

 ノット指揮ということで、もっと熱血系の演奏を予想していたのであるが、予想外に天国の音楽だったのはやや肩透かし。まあ曲調を最大限に尊重したとも言えるのだろうが。