徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

久々にひどい映画を見た

 WOWOWで放送していた「新解釈・三国志」なる映画を録画して見てみたんだが・・・。驚いた。あまりにつまらなすぎて半分も行かないところで見続けることが苦痛になって放棄してしまった。基本的には三国志ネタは真面目な物からおふざけなものまで大抵は目を通す私なんだが、さすがにこれは我慢できなかった。

 いわゆるギャグ物だというのは知っていたが、問題はそれがクスリとも笑える余地がないということ。三国志を愚弄するなとかそういうレベルの話でなく、ギャグがギャグになっていない。とにかくネタがくだらない上にテンポや間が最悪。基本的に出演者がグダグダと無駄に長い台詞を喋り続けているだけだから見ていて退屈極まりない。

 とにかく間が悪いし、ギャグとしての見せ方が出来てないので呆れるのみ。絶世の美女・貂蝉として渡辺直美が出てくるところなんか、本来は笑いを取らないといけないんだろうが、それがクスリとも笑えなくてあくびが出てくる。それを「時代考証的にはこれで良い」と言いくるめるメタ表現的なネタも、ツボを外しすぎているからダラダラしているだけ。

 さらにその渡辺直美が広瀬すずに変わって「醜い」と言われるところなんてもネタとしての切れ味が悪すぎて驚きもしなければ笑いも出来ない。ちなみにこの後、彼女が斬られて「私が美人といわれる時代に生まれ変わってやる」というような台詞を残して絶命する下りがあるのだが、この演技があまりに投げやりで学芸会的なのは、そういう風にやるように言われたのか、それともあまりの作品にやる気が出ないのか、それとも元々の彼女の演技力がそのレベルなのかと首をかしげるところ。

 せめて諸葛孔明が出るところまでは我慢しようかと思って付き合ったが、ここで登場したおふざけ孔明も完全に予想の範囲内(と言うよりも斜め下と言うべきか)。しかも登場人物が延々と無駄な台詞を繰り返すばかりで、可笑しさが欠片もない。掛け合いのテンポも極めて悪く、素人の漫才でももう少し笑えるだろうというレベルで、さすがに苦痛が激しくなりすぎてそろそろ怒りがこみ上げてきそうになったのでここで視聴を打ち切った。

 正直なところ、見るのが苦痛すぎて途中で打ち切ったというのは「キャシャーン」以来ではなかろうか。見終わったら「結局何だったんだ」というような駄作は今までも何作もあったが、さすがに見続けるのに努力が必要でそれに耐えられなくなったというレベルの作品は今までほとんど経験がない。そういう意味では、こういう映画が世に出ることが出来、しかも入場料を取って劇場で公開されたというのは驚異と言うしかない。監督かプロデューサーか分からないが、余程政治力があるか、それとも劉備元徳並の詐欺師でうまくスポンサーを丸め込んだんだろうか。作品自体の制作能力は大学の映研以下のレベルであるが、そういう次元での制作能力は超プロなんだろう。とにかく私の感想としては、「劇場で金払って見た人はご愁傷様」というのと、「大泉洋さん、あなたこんな映画に出ていたらあなたの役者としての格まで下がりますよ」というところ。

 ダメダメな劉備が回りに持ち上げられて気がつけば皇帝になっていたなんて解釈自体は結構ありきたりで、まさにそういうキャラにピッタリな大泉洋を主役に起用したんだったら、普通にシナリオ書いて普通に撮ったら名作にはならないまでも、超駄作になる余地はないと思うのだが・・・今回だけは本気で思った。私に撮らせろ、素人だと言ってもこれよりはまともな物ぐらいは作れると。