ライブの翌日はネットライブで
昨日は大阪フィルの定期演奏会のライブに久しぶりに行ってきたところであるが、今日はネット配信を楽しむことにする。以前からいつ公開になるのかとずっと待っていたフルシャによるマーラーの復活が視聴可能になっていたのでこれを視聴することにする。
フルシャと言えばここのところ配信での視聴が多いが、とにかく表情の濃厚な味付けが多いというのが印象に残っている。マーラーのこの劇的な交響曲を果たしてどういう味付けで来るか。
バンベルク交響楽団(2022.1.26 ウィーン・コンツェルトハウス)
指揮:ヤクブ・フルシャ
ソプラノ:クリスティーナ・ランドシェイマー
アルト:アンナ・ルチア・リヒター
合唱:ウィーン・ジングアカデミー
もう冒頭から緊張感が半端ない。ハッキリ言って痺れるような格好良さである。しかも単に格好良くブイブイぶっ飛ばすだけでなくて、合間に垣間見える旋律がハッとするほど美しかったりする。この振幅の激しさはフルシャの面目躍如だろうか。またそもそもバンベルクは音色が分厚いのでいくらブイブイときても決して軽薄になることがなく、迫力漲る演奏となる。その合間に突然にテンポをストンと落として天上の音楽かと思わせるような美しい旋律が奏でられるから、その対比の妙に心を掴まれるのである。またフルシャはこういう局面では徹底して歌わせてくる。第一楽章のラストを怒濤の勢いでまとめるのでなく、むしろテンポを落としてズシンと持ってきたのもフルシャ的な一ひねりした味付けである。
マーラーの指示を意識してのものかどうかは定かではないが、独唱陣の入場も含めて楽章間にしてはやや長めの数分間のインターバルをとった後の第二楽章は、先ほどまでとは雰囲気が一変して徹底的に美麗に歌わせてくる。こういうのはフルシャの真骨頂のようである。分厚さには定評のあるバンベルクから美麗な音色を引き出してくる。先ほどまでの緊迫感はなくなり基本的に陽性な美しい平和な音楽である。
続く第三楽章は先ほどまでゆったりした音楽から変化して軽やかさが正面に出たものになる。所々にある爆発のような楽想でも暗さは感じられない。ソプラノが登場すると第四楽章。ランドシェイマーのソプラノは美しいがやや陰性な印象。
そしていきなり華々しいファンファーレで始まる第五楽章。そのままいくらかの緊張感を帯びて音楽は盛り上がる。その中からコーラスが湧き上がってくるのであるが、心安らかに昇天するという趣がある。そうして荘厳に盛り上がる。ここで目一杯壮大な音楽が繰り広げられるのは実に感動的。
フルシャらしい起伏の激しいいささか大仕掛けの感のある復活であった。濃厚な表情付けは好き嫌いもあるところだろう。緊張感てんこ盛りの第一楽章とそこから最後の救済に至るまでの楽章とのギャップが激しく、この辺りが非常に印象に残る。