徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

METの「ハムレット」鑑賞後、N響大阪公演とハシゴする

METライブビューイングのために再度国際会館へ

 翌日は6時半に起床。昨夜は何度か軽い中途覚醒はあったが、概ね爆睡というところか。空調は集中だが、カプセルよりも容積があるので部屋が蒸し暑くならなかったのがポイント。とりあえず起床すると朝風呂に繰り出す。うん、体に染みいる湯の感触。実に快適。

 体を温めたところで朝食に繰り出す。品数はそう多いとは言えないがまあまあというところ。とにかく朝から燃料補給。

朝食バイキング

 さて今日の予定だが、まずは10時からのMETライブビューイングの「ハムレット」を鑑賞、その後は大阪に移動してN響の公演の予定。METのライブビューイングが直前まで上映スケジュール不明だったことから、当初はこの日の予定はこれだけにしていたのだが、10時からということが判明したので、それならその後にコンサートのハシゴが可能と判断して、急遽N響大阪公演のチケットを確保した次第。

 とりあえず9時過ぎまで部屋でグダグダしてからチェックアウト。連日の国際会館と言うことになるが、昨夜は地下鉄で今朝は車である。ハーバーランドからは10分弱程度で到着、確保していた駐車場に車を入れると劇場へ。劇場に到着したのは上映開始30分前ぐらいだったので、今は待合でpomeraでこの原稿を執筆中(笑)。

連日の国際会館

 

 

METライブビューイング ブレット・ディーン《ハムレット》

国際会館のキノシネマ

指揮:ニコラス・カーター
演出:ニール・アームフィールド
出演:アラン・クレイトン、ブレンダ・レイ、サラ・コノリー、ジョン・レリエ

 現代音楽的な不協和音が鳴り響く音楽は正直かなり耳に刺さる。音楽は万事その調子なので、主人公ハムレットの持つドロドロした怨念などの感情は描けているものの、美しいアリアなどがあるわけでなく、聞いていて非常にしんどい部分がある。オペラというよりは映画の効果音楽という印象。

 このような特徴的な音楽であるので、かなりの実力者を揃えたであろう歌手陣の実力を感じるというのはかなり難しい。歌手にすると非常に歌うのが困難な曲のように思えるのだが、その割には映えないという感はある。その分、演劇としての動きがかなり激しかったので、オペラというよりはやはり芝居のイメージ。実際にオフィーリアのブレンダ・レイなどはかなりの熱演であった。

 芝居として見ると、そもそもの原作のハムレットが名作であるだけに、確かに見応えはある話になる。そういうわけでそれなりに楽しめたのではあるが、これが果たしてオペラを見たと印象かといえばやや質の違うものであるのは事実。

 

 

遅めの昼食はラーメン

 METの鑑賞を終えると車を回収して大阪に向かう。N響の大阪公演は今まではNHK大阪ホールが多かったが、今回はザ・シンフォニーホールである。車はホールの駐車場に・・・と言いたいところだが、1000円以上高いのでもう少し離れた駐車場に車を置くことに。荷物を背負って往復するは正直しんどいし面倒くさいが、例えばそれで1000円もらえる仕事があるかと考えたら、ケチらざるを得ないところだ。ここの駐車場はホール利用者割引がないというのがかなりキツい。

 さて神戸から直行したので遅めの昼食を摂りたいところだが、この近辺の飲食店は3時から昼休みに入るところが多いので選択が限られる。そんな中で立ち寄ったのは「みつ星製麺所」。ラーメン激戦区のこの地域のラーメン店の一つである。注文したのは「特製つけ麺(1070円)」

みつ星製麺所

 自家製麺の太い麺が特徴。それをつけだれに浸して食べると、あまりに浅くて味が薄いから驚いたが、それはつけだれを良くかき混ぜていなかったら、上澄みだけに浸かった性だったようだ。下までよく混ぜるとかなり濃厚な風味になる。

特製つけ麺

自家製麺の太麺が特徴

 ただ基本的に焼豚系+海鮮系のダシのようであるが、これか完全に溶け合っているかと言えばそれが疑問。どうも個別に主張している感が強くて、スープとしての一体感にやや欠け、それがどことなくイマイチ感につながってしまう。

 

 

今回のザ・シンフォニーホールは見切れ席

 昼食を終えたところでホールに向かう。どうもN響の地方公演は情報を察知しにくく、いつも出遅れてクソ席ばかり割り振られることになるが、今回も3階の後列というこのホールではトップクラスのクソ席である。そもそも今回は公演を知ったのは7月に入ってからで、その時点で今日のスケジュールはMETのハムレットが入っていたが、ハムレットが3時間ちょっとの作品なので、もしかしたらハシゴできるかもという気があったのだが、上映スケジュールが直前まで不明なので、もし昼から上映となったら困るのでスケジュール発表まで様子を見たところ、チケット購入が水曜日でチケットぴあ取り扱いの最終日になってしまったという始末。当然ながらまともな席など当に売り切れている(そもそもチケットぴあで売り出す席自体がクソ席が多いが)ということに。S席7000円で1階の前方席の一番端か、A席5000円で3階席かとなったら、こちらを選ばざるを得なかった。

ザ・シンフォニーホールへ

 このホールの3階席に来るのは数年ぶりだが、3階席の2列目となったら完全に見切れ席である。ステージを真横から見下ろす感覚でピアノがようよう見えるかどうかと言うところ。そもそも補助席扱いで固定席でさえない。それにしても場内を見渡してみると、チケットは完売からはほど遠いようだ。また1階席中央付近の良い席でも空いているところがある。コロナの影響で見送った客もいるんだろうか。また3階席は一杯なのに、2階席はガラガラとチケットの売り方にも疑問がある。

3階のいわゆる見切れ席

椅子も固定ではない

 

 

N響「夏」2022 大阪公演

[指揮]尾高忠明
[ピアノ]小曽根 真
[管弦楽]NHK交響楽団

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
チャイコフスキー:交響曲 第4番 ヘ短調 op.36

 一曲目はラフマニノフによる超有名曲。とにかく甘いことで知られるこの曲であるが、小曽根のピアノは激甘のメロメロである。音色がそもそも甘いが、タッチがなかなかに多彩。さらに尾高もそれに合わせてかなかなかに甘い演奏をしており、N響が柄にもないほどの甘い音色を出している。第一楽章などはそのまま激甘のスケールの大きなメロドラマが繰り広げられる。

 小曽根のピアノは第二楽章でも当然のように謳いまくる。今まで聞いた中でもトップクラスのロマンチックな演奏である。そして劇的盛り上がりも含む第三楽章となると、これも小曽根の真骨頂。ドラマチックかつアクロバチックな演奏で大いに盛り上げる。そして大盛り上がりで曲は終了。非常に聴き応えのある演奏であった。

 満場の拍手に応えての小曽根のアンコールは、恐らくジャズ曲であると思うのだが、さすがに見事の一言。なかなかに自在の演奏である。

 さて休憩を経ての後半はチャイコフスキー。ここで繰り出される尾高の音楽はかなりキレのある濃厚なものである。前半のラフマニノフでかなりロマンチックな演奏をしているなという印象があったが、それをそのままチャイコフスキーにも持ってきている。

 またN響の演奏も流石。この曲の場合、冒頭のホルン斉奏がズッコケたら後はドンガラガッシャンで悲惨なことになるのだが、そういう不安は一切ない極めて安定した演奏。各楽器の技倆についてはやはりN響は日本のオケの中でも傑出しているというのは感じさせられる。
 このN響のサウンドを遺憾なく引き出していた印象があるのが尾高の指揮。ロマンチックで煌びやかでメリハリの強い演奏であり、淡泊なN響から色気のようなものまで引き出していたのには驚いた。終始一貫冴え渡っていた演奏であった。

 場内はかなりの盛り上がりになっていたが、ここでアンコールが。まさかアンコールがあるとは予想していなかったのでこれは驚いた。曲はシベリウスのカレリア組曲より。これがまた流麗で美麗で冴えまくりの演奏。慌てて会場を飛び出したお客は実に勿体ないことをしたものである。

 久々に「良いN響」を聞いたという印象。正直なところ最近の尾高は精彩を欠くような印象を受けていただけにこれには驚いた。これはオケとのコラボの妙であろうか。


 なかなかに圧倒される演奏であった。私は尾高もN響も少々見くびっていたようである。

 

 

茨木のホテルで宿泊

 コンサートを終えると今日の宿泊ホテルに移動することにする。今日宿泊するのは茨木のホテルクレストいばらき。JR茨木駅前のビジネスホテルである。このホテルを選んだ理由は明日は京都に出向くので、大阪と京都の間のホテルが良いだろうという判断。それなら京都のホテルに泊まればよいのだが、京都は祇園祭とかで軒並みホテルが価格高騰でまともな料金で泊まれないのでこうなった次第。祇園祭なんかには興味のない私にはとんだ迷惑である。なお事前に京阪間で駐車場のあるホテルを調べていきついたホテルだが、気になったのはやけに口コミ評価が低いこと。かなり感情的に叩いている意見まであった。

 このホテル、駅前なのが災いして周辺が一通地獄の上に道が細いので、駐車場のアクセスが大変。東からアクセスしようとすると茨木駅前の細い道をウネウネと走らされるし、西側からアクセスしようとすると「これから100メートル先進入禁止」の標識で脅される。これがあるためにこのホテルに西からアクセスは不可だと思い込んでいる人が少なくないようだが(私のカーナビまでそう思い込んでいるようだが)、実はこれは予告標識であって、進入禁止はホテルの先のJRの線路をくぐる狭い道。ただここまで来てしまうと転回できる場所がないから予告標識があるということ。ホテルの駐車場に入るつもりならまっすぐ進めばよい。これが分かりにくいことが「駐車場アクセスのために路地を長距離走る必要がある」と評判が悪かった一因だろう。

この標識でビビるが、実は予告標識

本当の進入禁止はここからで左に行けばホテル入口

 しかもここの駐車場は駅前のコインパーキングに裏口から入るような形なので、そこでまた戸惑うということになる。しかもコインパーキングの使用が多ければホテル利用者の車が止められない可能性がある。まあそういう意味では駐車場に難点とまでは言わないがクセのあるホテルである。

 

 

部屋に入ると大浴場でくつろぐ

 ホテルにチェックインする。このホテルの部屋の難点は私には照明が暗すぎること。シーリングライト照明の今どきのホテルに比べると薄暗いのは間違いない。またWi-Fiはあるが、速度はかなり遅い。リモートワーク環境の構築は容易だが、必ずしも作業性は良いとは言い難い。恐らく部屋でワークすることは考えておらず、部屋は安眠する場所という考えなんだろう。また「設備が古い」という指摘もあったが、確かにラジオ付きのベッドや集中空調などを見ると基本的な設備の古さは感じるが、古びた薄汚さのようなものはない。ベッドなどから見る設備の年代から推測すると、水回りに薄汚さが出てしかりの年代に思われるが、恐らく水回りは改修していると思われる。

やや照明の暗い部屋

なぜか玄関脇にある冷蔵庫とポット

仕事環境構築に問題はないが、Wi-Fiはやや遅め

 部屋に荷物を置いて一息つくと、大浴場へ入浴に行く。このホテルの良いところは男性専用大浴場があること。露天風呂と内風呂という構成。温泉ではないが手足を伸ばして温まることは可能。ただ特に露天風呂はいささかカルキ臭が強い気がする。

 

 

夕食は近くのイオンモールで

 入浴を済ませて一息つくと夕食を摂りに外出。このホテルのもう一つのメリットは徒歩5分ほどでイオンモールがあること。線路沿いの歩道を歩いていくと、すぐに巨大モールが目に飛び込んでくる。旅情のようなものは一瞬で吹き飛ぶが、便利なのは間違いない。まあそもそも大阪で旅情もくそもないが。

すぐそこにイオンモールがある

 4階のレストラン街をウロウロするが、テナントはイオンモール標準仕様でどこかで見たことのある店ばかり。面倒くさくなったので「和幸」に入店してロースかつ御飯を注文する。

和幸に入店する

 まあチェーン店であるから可もなく不可もなく特徴もなくである。無難を絵に描いたような選択。

ロースかつ御飯

 デザートに「わらび餅」があったのでそれを追加注文。やはりこういう和デザートはホッとする。

デザートは和のスイーツを

 夕食てからイオンを一回りしたころにはなんだかんだで9時近くになり、もう既に店仕舞いの準備が始まっていた。イオンを後にしてホテルに戻ると、しばし原稿執筆をしてから就寝する。

 

 

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