徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

ハルカスで「絵金」展を堪能してから大フィルのヴェルレク、そしてハーバーランド温泉で宿泊

今週も大阪に出向く

 この週末も大阪方面に出向くことにした。目的は大阪フィルの定期演奏会。今回は尾高の指揮によるヴェルディのレクイエムとのこと。例によって車を出すと、今回は午前中から出発する。大阪まで行く以上、立ち寄り先がある。阪神高速は例によって毎度の渋滞だが、今日はいつもよりはマシ。まあ想定内の時間にホール近くにアキッパで確保した駐車場に到着する。

 駐車場に車を入れるとここからは地下鉄で移動。天王寺のあべのハルカスまで。目的はハルカス美術館で開催中の「絵金展」。絵金については以前に高知でその力強い絵画に魅了されて以来、注目をしている。今回大阪で大規模な展覧会をするとのことなので、これは外すわけにはいかない。

看板からして強烈

 ちなみに私は全国美術館回りをしている過程で知って強烈にプッシュした画家は数人いるが、曽我蕭白などはある程度既に知られていたが、伊藤若冲などは世間がいわゆる若冲ブームになる以前から強烈プッシュしていた(自慢です、ハイ)。これ以外では私が注目したのは河鍋暁斎と絵金である。ちなみに絵金は昔に必殺シリーズのOPで使用されたので、知る人ぞ知るという存在だったようだが、今日でも高知以外ではあまり取り上げられないのは寂しいところである。なお河鍋暁斎の方は唐突に「地獄少女」のOPで使用されていたのにはぶっ飛んだ(笑)。

 

 

「恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金」あべのハルカス美術館で6/18まで

ハルカス美術館は久しぶり

 絵金こと金蔵は、町民出身でありながら幼少期より天才的な画力を発揮し、江戸で狩野派の絵師に師事して帰郷後に土佐藩の御用絵師にまでなる。しかしこれがいわゆる既得権益層の反発を買い、狩野探幽の贋作を描いたとの嫌疑をかけられて追放処分となる。この時に彼の手掛けた作品の多くが焼却処分されたという(昔から無能な世襲は実力のあるたたき上げを恐れるものである)。その後、しばらく消息不明の後に赤岡に定住した彼は、町絵師として地元の人たちのために芝居絵や提灯絵、絵馬などに多くの作品を残した。力溢れるそれらの作品は人気が高く、またいわゆる「血みどろ絵」と言われるような作品が有名で、今日まで伝えられている。それらの作品を展示している。

このような絵が多いので「血みどろ絵」と言われる

 第1章は絵金による芝居屏風絵である。これらの二曲一双の屏風は赤岡町で祭りの際に、ローソクで浮かび上がらせるような形で展示されるものである。いわゆるおどろおどろしい血みどろ絵なども多く、それらがローソクの明かりでぼんやりと浮かび上がると臨場感抜群という仕掛けである。とにかく特徴は非常に力強い絵画であることで、力強すぎていささが雑な感を受ける作品もあるが、それでも作品が崩壊しないのは、絵金の天才的な技術と正規の教育を受けて正規の手法を習得しているゆえであろう。彼ほどの技術を有すると、作品が決して「型なし」になることはなく、真に「型破り」になるのである。

 

 

 第2章は夏祭りを再現しており、仮名手本忠臣蔵を描いた屏風や石川五右衛門の物語である釜淵双級巴を描いた提灯などが展示されている。とにかく絵に勢いがある。そして抜群の構成力。この構図の力強さは歌川国芳などと同様に今日の劇画に通じるものを感じさせるところである。

祭りの様子を再現(右は仮名手本忠臣蔵の塩治判官切腹シーン)

高師直が塩治判官の妻に横恋慕するシーン

こういう風に展示されるらしい

実に動きのある絵

 

 

釜淵双級巴を描いた絵馬提灯

石川五右衛門捕り物シーン

そして最後は釜ゆで

 第3章が絵金と周辺の絵師たちとのことで、彼と関わりのあった絵師や後継者と言えるような面々の作品である。

 久しぶりに絵金の力強い絵を腹いっぱい堪能したというところである。町絵師ということで高尚な作品ではなくて、非常に俗な絵であるわけだが、「粗にして野だが卑ならず」というところである。

ちなみに次回展はこれ

 

 

 絵金を堪能した後は昼食を摂ることにする。MIOのレストラン街をプラプラして立ち寄ったのは、久しぶりに「プチグリルマルヨシ」トンカツとエビフライのセットのランチを頂く。

久しぶりにMIOのプチグリルマルヨシ

 エビフライとトンカツはなかなか美味いし、トンカツもとんかつ屋のトンカツでなくて洋食屋のトンカツである。まずまずランチで満足。不満点を挙げるとすると、付属のコンソメスープが、まるでカップヌードルの出汁のようで私の好みに合わず。

トンカツとエビフライはまずまず

 昼食を終えたところで会場時刻が近づいてきている。地下鉄で肥後橋まで移動するとホールへ飛び込むことになる。今回は休憩なしの公演なので、遅刻したら席に着けなくなる。

 

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 第567回定期演奏会

合唱団用のひな壇が後にある

指揮/尾高忠明
ソプラノ/田崎尚美 メゾ・ソプラノ/池田香織
テノール/宮里直樹 バス・バリトン/平野和
合唱/大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指揮:福島章恭)

曲目/ヴェルディ:レクイエム

 「ヴェルレク」こと大曲、ヴェルディのレクイエムである。大編成の大曲だけに、そうそう演奏機会が多いという曲でもない。大フィルの2022年シーズンを締めくくる公演ということなんだろう。

 曲はかなり厳かに始まり、そういう点ではこの曲はレクイエムなんだということを感じる。しかし突然にあの「死者が棺桶を蹴飛ばして甦る」と言われている強烈な「怒りの日」が始まる。これはまさに音響大スペクタクルである。もっとも尾高/大フィルはドンガンやりながらでも余裕を持って演奏をしている様子がある。

 ソリスト4人が絡み合っての合唱はなかなかに美しい。曲調は変化に富み。ソリストたちの美しい歌唱が続いていると思ったら、突然に「怒りの日」が怒涛のように荒れ狂ったりという劇的な構成。確かにレクイエムというよりは劇音楽という指摘も良く分かる。

 そのような曲調を尾高は一貫してメリハリの効いた指揮でこなしていき、大フィルもそれに応えてのキビキビした演奏を行っていた。なかなかの好演である。

 演奏終了後は曲調もあってしばしの沈黙が続いたのちに爆発的な拍手が起こった。大フィルの好演に場内も盛り上がることかなり。先の4オケと言い、尾高と大フィルの組み合わせもなかなかに円熟してきた感がある。

 

 

ハーバーランド温泉でゆっくり一泊

 これで今日の予定は終了、明日は神戸でMETライブビューイングの予定なので、今日は神戸で宿泊することにしている。確保したのは万葉倶楽部神戸ハーバーランド。ここのところ何かと疲れ気味なので温泉でゆっくりしたいというのが一番。じゃらんポイントが結構溜まっていたのでそれを使用しての宿泊である。

 阪神高速は途中で混みかけていたが、今日は一曲プログラムで終了がやや早かったことも幸いして、とりあえず予定時刻にホテル(正確に言うと温泉施設だが)に到着、車を駐車場に入れるとチェックインする。ハーバーランドはどことなく寂れ感があり、万葉倶楽部が入るビルも今ひとつ活気がない。また駐車場連絡通路の屋根が骨格だけで雨ざらしになっているところなんかが強烈な寂れムードを掻き立てる。

骨組みだけで屋根がない駐車場連絡通路

 今回確保しているのは以前にも使用したことのあるグランドキャビン。客室は非常に効果である上に週末は一名様ではほぼ使用不可なのでの選択。個室形式になってはいるが、入口がアコーディオンカーテンになっている簡易寝室なのが最大の特徴である。問題は一応セキュリティーゲートはあるものの、個室には鍵がないこと。貴重品はロッカーに入れて施錠する必要がある。

グランドキャピンにはセキュリティゲートをくぐる必要が

グランドキャビン内部

テレビと簡便なデスクぐらいはある

 

 

 とりあえず荷物を置くとまずは入浴。大浴場でゆったりと汗を流す。浴場はアルカリ単純泉である大浴場と高濃度人工炭酸泉の浴場がある。炭酸泉は少し舐めてみると辛酸っぱい。大浴場で体を温めてから、やや低温の炭酸泉にじっくりと浸かる。風呂で温めてみると思いのほか左肩が凝っているのを感じる。

入口はアコーディオンカーテン

中からかける鍵はこれ

だから貴重品は鍵付きロッカーへ

 

 

 この後は夕食のために外に出るつもりだったが、風呂に浸かって作務衣に着替えたらもう一度着替えて外に出るのが面倒になってきたので、このままここのレストランで済ませることにする。頼んだのは親子丼(1080円)。こういう場所の常でCPは明らかに悪いが、まあまずくはないので良しというところ。さらに宇治金時ドーピングも行っておく。

結局夕食はここで摂った

そして宇治金時ドーピング

 後は部屋に戻って仕事環境を構築するとしばし原稿入力を行う。

仕事環境構築

仕事のお供は龍泉洞地サイダー

 

 

 そうこうしている内に10時ごろになってくるので、とりあえずPC類をまとめてロッカーに放り込んでから再び入浴に行く。今度は低温の炭酸泉を中心にゆったりとくつろぐ。

外はすっかり夜景

 体がくつろぐと小腹がすいてきた。深夜メニューに切り替わっているレストランに行くと、醤油ラーメンを頂く。なんで夜に食うラーメンってこんなに美味いんだろう。こうしてこの夜は更けていく。

風呂上がりの醤油ラーメン

 

 

この遠征の翌日の記事

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