徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

翌日はMETライブビューイングでワーグナーの「ローエングリン」

翌日は朝風呂を浴びてから映画館へ

 翌朝は7時半に目覚ましが鳴るが、身体がグッタリで8時頃にようやく動き出す。本当はまずひとっ風呂浴びて身体を温めたいのだが、朝食時間が9時までなので朝食を先に取りに行く。レストランは満席に近い状態で、こんなに大勢宿泊していたのかと驚く。

朝食は美味くはないが不味くもない

 朝食はバイキングで品数はそう多くない。特別に美味くはないが、不味いわけでもない。今日は比較的朝から食が進むことを考えると、体調は悪くはないようだ。

爽やかな朝である

 さて今日の予定だが、キノシネマ神戸国際でMETライブビューイングのワーグナー「ローエングリン」を見に行く予定。上映開始は11時15分からなのでまだまだ余裕がある。とりあえず入浴して身体を温めることに。年齢のせいか変温動物化しつつある私は、朝一から行動しようとするとこれが不可欠である。

 

 

 とりあえず身体が温まると、チェックアウトまでは原稿入力作業。昨日の原稿をアップしようとしたが、ネット回線が遅すぎるせいで写真一枚アップするのにもアップアップという状態なので作業効率が悪すぎる。そこでページのアップは諦めて原稿作成だけを行うことに。

 10時を回ったぐらいで着替えて荷物をまとめるとチェックアウトする。キノシネマのある国際会館近くにakippaで予約した駐車場までは20分もかからずに到着する。

神戸国際会館に到着

 今まで大体観客は10人いるかどうか程度だったんだが、今回はいつもよりも観客が多く20人程度はいる模様。やはりワーグナーの名作だけに人気は高いのか。

 

 

METライブビューイング ワーグナー「ローエングリン」

キノシネマ神戸国際

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:フランソワ・ジラール
出演:ピョートル・ベチャワ、タマラ・ウィルソン、クリスティーン・ガーキー、エフゲニー・ニキティン、ギュンター・グロイスベック

 ワーグナーの5時間近くかかる大作である。大作の割には合唱団の人数は非常に多いが、中心人物の人数は少ない。それが故にその特に中心となる3人の歌唱力と演技力とに左右される要素が大きい。

 そういう点ではエルザを演じたウィルソンもオルトルートを演じたガーキーも歌唱力及び存在感では圧倒的である。まさに悪魔的な迫力のあるオルトルートに、彼女に翻弄されて猜疑心に苛まれるエルザの内面的葛藤など、見事にこの両者は表現しきっていた。

 もっとも可憐な乙女と言うには特にウィルソンはあまりにガタイがゴツすぎて、正直なところビジュアル的にはしんどいところがあるが。まあこれはオペラの常であるとは言えよう。

 颯爽としたローエングリンを演じたベチャワは流石というところ。若々しさを感じさせる美しい声が聖杯を守護する聖騎士たるローエングリンの、高潔であるが優男な雰囲気に見事に合致していた。秘密を抱える苦悩と、心乱れて彼に秘密の暴露を迫るエルザに対する戸惑いなど表現力にも過不足がない。

 また地味な存在だが、堂々とした威風を感じさせたハインリヒのグロイスベックも見事の一言である。また権力への妄執に取り憑かれエルザを陥れようとした悪党・テルラムントを演じたニキティンの悪党っぷりもなかなか。巨大な野心を持ちながら、そこをオルトルートにつけ込まれてまんまと乗せられたマヌケさが表現されていた。

 まるで巨大なSFの舞台のようなセットもなかなかにスケールの大きさを感じさせて魅力的だったし、基本的には時代に合わせた衣装の出演者が揃う中で、突然に現れたタイムスリップしたサラリーマンのような異彩を放つローエングリンの衣装演出も、彼の異分子ぶりを表現していて興味深かった。総じてなかなかに見応えのある舞台であった。

 

 

この遠征の前日の記事

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