徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

関西フィルで藤岡によるヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番

GWは無関係だが、とりあえず関西フィルのために大阪へ

 GW突入であるが未だにコロナは健在だし、何より今の私は極度に金欠だしということで、今年のGWは「何、それ美味しいの?」状態である。ただ今日の関西フィルの定期演奏会はチケットを事前に購入していたので大阪まで出向くことにする。

 大阪までJRを使えば安上がりなんだが、流石に未だにコロナ健在下で混雑する鉄道を利用するほど無謀になれないので、無難に車で移動することにする。ただ何分GWとのことで交通状況がどうなるか分からない。いつもよりは早めに出発したんだが・・・どうやらGWということが普段と逆に働いたようで、阪神高速はいつになくスムーズ。いつも大渋滞のせいで通過に何十分もかかる若宮IC-生田川IC間が実は数分で走れるんだということを初めて知った次第。予定よりは早めにザ・シンフォニーホールに到着する。

 

 

昼食は久しぶりにイレブンへ

 とりあえず車は事前に目星をつけていた駐車場に放り込むと、まずはコンサートの前に昼食を摂ることにする。まだ開場まで時間があるので昼食はゆったりと摂りたい。というわけで久しぶりに訪れのが「レストランイレブン」。この時間はランチがあるのだが、あえてそれでなくて「珍豚美人(チントンシャン)」を注文する。

久しぶりのレストランイレブン

 ふざけた名前のメニューだが、要は豚肉の天ぷらに豆板醤ベースのソースをかけたものである。これが絶妙に美味い。流石にこの店の看板メニューの1つとは伊達に言われていない。肉もなかなかに良いし、私は決して好きとは言えない豆板醤がこの場合にはシックリと馴染んでアクセントになっている。

これが「珍豚美人(チントンシャン)」

 久しぶりに昼食を堪能したのである。ところでこの店、将棋会館の移転に伴って移転するという話を聞いていたのだが、目下のところは通常営業中。調べてみたところ、どうやら移転しないということに決定したらしい。これは私にとっては幸い。

www.sponichi.co.jp

 

 

再開された喫茶でマッタリする

 昼食を終えた頃には開場時刻となったのでホールに向かう。生憎と小雨がぱらつき始めているのでホールに急ぐ。ホールは完全に「コロナは終わったモード」に突入していて、ゲート前の消毒もなくなっている。

生憎小雨がぱらつく天候

 また喫茶の営業も復活した模様である。とりあえず開演までまだまだ時間があるので、かなり久しぶりのコーヒーを頂きながら時間つぶし。

久しぶりにコーヒーでマッタリ

 久しぶりにマッタリゆったりと時間をつぶしたところで入場する。今日はやはりマイナー選曲とあってか入場者は少なめで、ザッと見たところ6~7割程度の入りといったところ。

 

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 第336回定期演奏会

[指揮]藤岡幸夫
[チェロ]長谷川陽子
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

田中カレン:ローズ・アブソリュート
田中カレン:アーバン・プレイヤー(都会の祈り)
~チェロとオーケストラのための
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第5番 ニ長調

 コンサートの前半は現代音楽作曲家・田中カレンによる2曲。ただし現代音楽といっても、彼女の曲は無調性の奇っ怪な雑音をドンシャンやるタイプの曲ではなく、普通に美しい曲であって非常に馴染みやすい。

 一曲目は同名の香水にインスパイアされたという曲。冒頭からピアノとハープによるキラキラとした音楽が繰り広げられるが、それがまさに香水瓶を開けたときのイメージか。それがオケ全体に広がっていって、美しいハーモニーを奏でることになる。

 二曲目は現代社会における「祈り」の姿のようであるが、第一楽章は都会の喧噪に紛れたかなり喧しい音楽であり、第二楽章以降がその中で静かな祈りへと移行し、最後は盛上がりつつ、最終的な静寂へと至るという風景のようである。特別な難解さはなく、普通に美しい音楽に身を任せれば良いタイプ。

 ここでの関西フィルの音色は、アンサンブルもしっかりとしており、音色もなかなかに瑞々しい。下手な虚飾のない素直な音楽で好感が持てる。

 後半はヴォーン・ウィリアムズが戦争中に書いたとされる交響曲。しかし曲の中には戦争の影は微塵もなく、終始一貫として美しい田園的な音楽が展開される。

 こういう曲になると関西フィルの柔らかい弦楽陣のアンサンブルが見事に決まっている。また管楽陣も下手にバリバリと出張ることがなく抑制的にバランスを良く取っており、非常に心地よい音楽が繰り広げられた。正直なところ私はヴォーン・ウィリアムズはあまり良く知らないんだが、非常に美しい曲であると感心した。ちなみに藤岡はこの曲が好きだと言っており、調べてみると2017年の第283回定期演奏会でもこの曲を演奏している。そしてこうして今回聞いてみると、やっぱり「なかなか良い曲じゃん」というのが私の正直な感想。