徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

尾高/大フィルのメンチクの第1回目

病気明けに大フィルのメンチクに出向く

 先週は完全に風邪で寝込んでしまった。コロナやインフルを疑ったが、熱は大して出なかったことから、どうやらマイナーな風邪にかかってしまった模様。流行の最先端には飛びつかず、常にマイナーな世界にばかり入り込むのは私の性のようなものである。週末に咳などがなくなってからも、しばし倦怠感と目眩につきまとわれて今週の体調は散々な状態。何とか復活したのがようやく昨日である。と言うわけでその間ブログの更新は完全停止。私が死んだかもしくはブログを放棄したかと心配した方、もしくは喜んだ方などいたかもしれませんが、更新は今後ボチボチやっていく予定。

 まあこういう時は本来は家でゆっくりしておくべきなんだが、この木曜日は大フィルのメンチクの第一弾がある。なおメンチクとはラーメンの具ではなくて、メンデルスゾーンチクルスのこと。ブラームスチクルスとかは良くあるが、意外にメンデルスゾーンチクルスは珍しい。なお私は元々メンデルスゾーンの曲は非常に好きであるので、チクルスのチケットは事前に確保してある。

 今日の第一弾のプログラムはメンコンこと超有名なヴァイオリン協奏曲に、一番マイナーな交響曲第1番を組み合わせるというプログラム。なかなか知名度のバランスに配慮している模様。

 木曜日の仕事を早めに終えると車で大阪へ。どうも周辺で「なくなったことに無理矢理されているコロナ」が蔓延し始めている気配を感じており、未だにすし詰めの新快速で移動する勇気がない。当面はこの無駄な出費もやむを得んところ。生憎の雨で路面はややスリッピーだが、タイヤを最近新調したところなので運転に不安はない。前回まで阪神高速の工事通行止めで散々苦労されられたが、それは昨日終わった模様。今日はかなり珍しいぐらい阪神高速がスムーズで、渋滞には2回しか出くわさなかった(笑)。ただし渋滞の本番は高速を降りてから。下道の大渋滞に巻き込まれて、駐車場に車を入れたのは6時頃。

 

 

 とりあえず大急ぎで夕食である。時間もないし胃の具合も良くないし、ゴルゴに待ち伏せ狙撃される危険を冒して毎度の「福島やまがそば」で「そばセット」を腹に入れる。

毎度毎度のそばセット

 手早く夕食を腹に入れると雨の中をホールへ。ホールは完全に厳戒態勢が解かれていて、マスクをしているのも半分ぐらい。ただあちこちでゲホゲホと聞こえてくるのが気になるところ(またそういうのに限ってノーマスク)。こりゃ以前よりもコロナの状況は確実に悪くなっていそう。

ザ・シンフォニーホールは雨

 

 

メンデルスゾーン・チクルスⅠ~メンデルスゾーンへの旅~ 

オケは14型(メンコンは12型で)

[指揮]尾高忠明
[ヴァイオリン]アラベラ・美歩・シュタインバッハー
[管弦楽]大阪フィルハーモニー交響楽団

メンデルスゾーン:
序曲「静かな海と楽しい航海」op.27
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
交響曲 第1番 ハ短調 op.11

ソリストアンコール
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番より第1楽章

 一曲目はメンデルスゾーンの個人的には比較的馴染みのある曲だが、始まった途端に「こんな曲だったっけ?」といささか戸惑う。と言うのも、尾高がかなりゴリゴリと大フィルを全開でぶっ飛ばすから。音量もいささか振り切っているし、テンポもややアップテンポ気味である。とにかく力強い。金管なんて力強すぎてやや耳当たりが厳しいぐらい。それでブイブイと行く感覚。まあ中盤以降のまさに海が晴れ渡っているかの風景に響くファンファーレは確かに気持ちよくはあるが。

 二曲目は超有名なメンコン。ソリストのシュタインバッハーは単に美しい音色を出すだけの女性ヴァイオリニストではなく、その音色はかなり力強い。そのおかげで、今日はかなりブイブイと行っている尾高/大フィルと組んでも押し負けるところがない。

 私の記憶ではシュタインバッハーはこんな力強い演奏をするイメージはなかったのであるが。これは彼女の進化なのか、それとも単に私の認識不足なのかは定かではない。ただ殊更にアクセントなどをつけないオーソドックスな演奏であることは、昔と変わりないようである。演奏自体はかなり正攻法。

 その彼女が若干異なる一面を見せたのが、アンコールでのイザイ。これはかなり技術をアピールする類いの曲目であり、それを悠々と弾きこなす技倆を見せつけた。もっとも技倆で圧倒はするが、イマイチ茶目っ気がないくそ真面目な印象の演奏は、メンコンでの彼女の演奏とも被る。

 

 

 ラストはメンデルスゾーン10代の作品であるが、それまでに多数の習作を手がけており、若き日の作品の集大成と言えるという。とにかく早熟でかなり生き急ぐ人生を送ってしまった彼であるが、それだけに本作にはいわゆる未熟さの類いは感じられない。またこの時点で既に後の交響曲に垣間見えるメンデルスゾーン節のようなものが現れているのも興味深い点。曲想としては根明なベートーヴェン(初期)か、ややロマンティックなモーツァルトと言ったところ。

 この曲についても尾高は最初と同様にかなりガンガンと行く。第1楽章などは元々ロマンティックな楽章だけにかなりの盛り上げで来る。美しく謳わせる第2楽章を経由して、スケルツォである第3楽章はやや快速に。最終楽章はかなり壮大にまとめてきた。メンデルスゾーンの作品はその性質と年代から、いわゆる古典的色彩を前に出す演奏と逆にロマンティック要素を前に出す演奏の2タイプが存在するが、このような初期の作品は特に古典的な色彩が強いところがある。しかし尾高の演奏はその曲から若きメンデルスゾーンから溢れる情熱を引き出したロマンティックな演奏であったようである。

 演奏終了後、尾高が楽しいとか面白いという類いの事を言っていたようだが(やや席が遠かったので全ては聞き取れず)、確かにやっていて面白かったろうという印象はある。実際に聞いていてもかなり面白かったのである。