徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

広響大阪公演は、ウィーンフィルコンマスのシュトイデがコンマスを務めて熱演

広響大阪公演に出向く

 今日は広島交響楽団のコンサートで大阪まで出向く。広島交響楽団のコンサートは永らく行っていない。ザッと調べると前回は2019年なのでコロナ以前である。最初に聞いた時はかなり荒削りなオケという印象を受けたが、下野が音楽監督に就任してから実力をつけてきたと聞く。今回ウィーンフィルコンマスのシュトイデを迎えてのコンサートが大阪で開催とのことで、チケットを入手した次第。

 正直身体に疲れはある。当初予定では朝の早いうちに出て、途中で美術館に立ち寄ろうという考えもあったのだが、疲れからスッキリと起きれずにグダグダしているうちに時間が経ってしまい、結局は途中予定をすっ飛ばしてホールに直行することにする。

 驚いたことに阪神高速ではほぼ渋滞がなく、大阪に到着してakippaで確保した駐車場に車を置いた時には予定よりもかなり早めの12時前。

順調すぎて予想よりかなり早めにホール到着

 

 

お昼は寿司ランチにする

 とりあえず開演時刻の14時までに昼食を摂っておくことにする。店を探してプラプラ。「やまがそば」は日曜は休みだし、「イレブン」も考えたが、昨晩にフライを食べたところであまりイレブンのランチという気分でもない。あてもないままプラプラとJR環状線の高架まで到着したところで、目の前に「元祖ぶっちぎり寿司 魚心」の看板が目に入る。ランチメニューもあるようである。ここに入店することにする。

高架下の魚心

 注文したのはランチメニューの「ぶっちぎりセット(1000円)」。巻き寿司を含む寿司8点に赤出汁がついてこの価格というのはまあ妥当か。寿司はネタも十分に大きい上に鮮度も悪くなくてまずまず。まあ驚くような内容ではないが、失敗したと思うようなものではない。これは今後の選択肢に加えておいて良さそうである。もっとも1点ものの寿司はそれなりの価格がするので、使えるのは土日の昼ということになりそうだが。

ぶっちぎりセットはまずますの内容

 

 

 寿司を食い終わったところで福島方面をプラプラしながら喫茶でもないか探すが、やはり今時喫茶店は見かけなくなっている。TULLY'Sに入る気もしないし・・・。結局は阪神福島の辺りまでプラリと一回りしただけでホールまで戻ってきて、ホールの前でしばし開場待ちすることに。ホールが開くと中の喫茶でアイスコーヒーで時間をつぶすことにする。

結局は館内の喫茶で時間をつぶす

 入場したのは開演10分前ぐらい。ホール内はオルガン席と3階には客を入れていない模様だが、他の席はほぼ埋まっている印象。まずまずの入りである。なお今回の私の席は会場の前半の中央付近。通常は後方を陣取ることが多いが、広島交響楽団は編成が小さいはずなので前でも良かろうとここを取った。

 

 

広島交響楽団 創立60周年記念 第432回定期演奏会 大阪公演

広響は10-10-8-8-6型の2管編成

[ヴァイオリン独奏・コンサートマスター]フォルクハルト・シュトイデ
[管弦楽]広島交響楽団

ブラームス(生誕190周年):ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92

 ウィーンフィルコンマスのシュトイデをコンマスとして迎えての公演。なおシュトイデは弾き振りではなくてあくまでコンマスで、指揮者なしでの演奏ということになる。

 シュトイデは堂々たる偉丈夫。その巨漢ぶりにも驚かされるが、さらに演奏には終始圧倒されることになる。テクニックが万全なのは言うまでもないが、とにかく存在感が強い。とにかくかなりテクニックが必要なはずの箇所もあまりにサラッと弾いてしまうので、この難曲が難易度の低い曲に聞こえてくるぐらい。一曲目のブラームスは、その存在感でオケをリードする印象。特に奇を衒った表現はしないが、深くて幅のある音色で魅了する。

 ただ指揮者なしでの演奏というのは、それなりにオケにも困難さはあると思われる。テンポについてはコンマスやソリストに合わせるということになるだろうが、それをリアルタイムでというのはそれなりの困難さが予想される。まあ下手なオケだったらこの時点でバラバラになることは確実だが、そのような崩壊をしないのは流石に広響もレベルを上げてきているように感じられる。とは言うものの、それでも微妙な躊躇いのようなものが現れることはあり、時折シュトイデが演奏の合間に腕を振って合図を送ることもあったのだが、その瞬間に微妙に音色が変わったのも事実。

 また強弱については事前にリハで徹底的に指導されているものだとは思うが、それでもシュトイデが自らの演奏に入ってしまうと細かい指示を飛ばすことは不可能なので、どうしても演奏がフォルテッシモとピアニッシモの両極端に触れやすい感があり、それはそれで「ダイナミックな演奏」と言えなくもないが、もう少し繊細さがあってもというのが特に管楽器類に感じられないでもなかった。

 後半はシュトイデがまさにコンマス位置に座ってのベートーヴェンの7番。やはりメリハリの強い演奏である。アンサンブルも完璧とまでは言えなくても、なかなか鉄壁の演奏であり、シュトイデがややオーバーアクション気味に煽っていたので、それなりの熱量を持った熱い演奏となった。第4楽章などは聞いているこっちがハラハラするぐらいのアップテンポで煽りまくったが、それでも崩壊することなく一丸となって突っ走ったのはお見事。なかなかに圧巻であり、「広響やるな」というのが正直な感想。

帰りはホールの前に広響トラックが停車中