徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

大フィル定期で1年ぶりのデュトワマジック炸裂、大盛り上がりの大熱狂に

昼食は牛肉のオムライス

 翌朝は疲労もあるので目覚ましは9時半にセットして寝たところ、目が覚めたのは9時過。その頃になると周囲の部屋がドタバタし始めるので必然的に目が覚める。眠気はないのだが体はダルい。

 とりあえず昨日調達しておいた朝食を腹に入れると、しばし原稿入力などもしながらゴロゴロ。10時から11月のベルリンフィルのチケットの発売があるが、最安席(それでも2万円)は瞬殺でチケット争奪戦は早々に敗北決定。まあ元々入手できるとは思ってなかったが。もう少し高い席なら入手可能だが、今の私は2万円でもかなり無茶という状況なので仕方ない。とりあえずゴロゴロしながら横目で朝ドラをチラチラ見たり。昨日の原稿をアップしたり、教ドキュ用の原稿を1本書いたりなどをしながら午前中を過ごす。

 

 

 昼になったのでそろそろ出かけることにする。昼食を摂るのに立ち寄ったのは新今宮の「南自由軒」。前回にも訪問した町の洋食店である。「オムライスと海老フライのセット(1030円)」を注文する。

オムライスの看板が目立つ「南自由軒」

 牛肉のオムライスは例によってコクがあってなかなか。最近は段々とこっちの方が正しいオムライスに思えてきた。エビフライについてはやや細いが、まあ価格を考えると仕方ないか。一応は有頭エビである。頭までムシャムシャと頂く。

オムライスとエビフライのセット

 

 

博物館を見学する

 昼食を終えると移動。とは言うものの、今日の大フィル公演は15時開演なので今からだとまだ早すぎる。そこで天神橋筋六丁目にあるという「大阪くらしの今昔館」で何やら企画展をやっているとのことなので、この博物館は今まで行ったことがないということもあるので立ち寄っていくことにする。

 天神橋筋六丁目までは地下鉄堺筋線で直通。博物館は3番出口直結のビルの8階にある。

 どうやらこの博物館は江戸時代の大阪の町を再現しているようである。それを最上階から全体を鳥瞰してから降りてくるというコースが順路となっている模様。

再現された江戸大阪の街並みを上から見学

通りがある

 はて、このような展示をつい最近に見たことがあるような・・・と思ったら、それはこの前訪問した大阪歴史博物館だった。あちらは近世大阪の復元に力を入れていたが、こちらはそのひとつ前の時代ということか。確かに復元建物などには力を入れているが、正直なところ規模はそんなに大きくもなく、やや中途半端な印象がある。

先ほどの通りを下から

再現された住宅

裏路地なども雰囲気はあるが・・・

 

 

 しかも一階下には近世大阪を再現した模型なども展示してあり、これはもろに大阪歴史博物館と被る。正直なところわざわざ2つの施設に分けている意味が今一つ不明。というか、あっちは一応近くにある難波の宮から現代に至るまでの大阪の歴史を紹介するというストーリーがあるが、こっちは唐突に江戸時代であり、その辺りの趣旨がピンとこない。

下のフロアの展示

通天閣近辺の様子だとか

 常設展示を抜けると企画展示になる。こちらを見学することにする。

 

 

「五井金水とゆかりの画家たちー船場で愛された絵師の画房からー」大阪くらしの今昔館で6/18まで

企画展

 五井金水とは大阪に生まれて明治から昭和初期まで活躍した四条派の流れを汲む画家とのことである。花鳥や山水画などを描いて瀟洒な画風から船場の商家の床の間に飾る作品として重宝されたとある。本展では金水の家族が所蔵していた美術品に看板、箪笥、画材に下絵なども展示している。

金水の絵画道具

看板と箪笥

 数々の下絵を見ると、かなり熱心に勉強した画家だということは伺える。とは言うものの、正直なところ作品自体にこちらにビビッと来るものはほとんどない。技術は手堅いが定型的で芸術品というよりは装飾品として制作しているのではないかと感じられる。

絵手本を描き写して画法を学ぶ

写生も多数したようである

 

 

 だから床の間の飾りとして最適だったのではという気がする。飾り絵として考えると、変に芸術性が高くてメッセージをアピールしてくる作品よりも、美しくまとまっている絵の方が最適である。どうも最初からそういう方向を志向していたように感じられる。

日の出の図

瀧の絵

釈迦なんだが、なぜか私にはイエスに見える

 ザっと見て回った中で、私が唯一面白いと感じたのは巨大な北廻船を描いた作品。確かに巨大な船ではあるが、いささかデフォルメが入っているのではと感じられた。この作品だけはそのデフォルメがなかなかに面白く感じられた。

この絵はデフォルメが面白い

 結局は今一つ趣旨の分からない博物館だった。ただ最後に売店があって組み立て式ドールハウスや手ぬぐいなどが売ってあり、ああ、もしかしてインバウンド向けだったのかとようやく理解できたような気が・・・。

売店に並ぶドールハウス

 博物館を一周したところでホールに向かうことにする。当初予定ではこの後に中之島香雪美術館に立ち寄ることも考えていたが、思ったよりも博物館で時間を取ったし、地下鉄で間違えて反対方向行きに乗ってしまうし、東梅田から西梅田からの徒歩接続はとにかく遠いしで、肥後橋に着いた時にはもう時間的余裕がなくなっていたのでホールに直行することにする。今回はデュトワが指揮ということでホール内は見渡したところほぼ満席である。

 

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 第569回定期演奏会

大阪フィルは14型

指揮/シャルル・デュトワ
チェロ/上野通明

曲目/フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」作品80
   ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 作品107
   ストラヴィンスキー:交響詩「ナイチンゲールの歌」
   ラヴェル:ラ・ヴァルス

 一曲目はフォーレの美しい曲。デュトワが振ると大阪フィルの音色が艶っぽくて色彩豊かになるのが驚きである。3曲目が有名なシシリエンヌだが、ここなどフルートとハープのあまりに美しい絡みにウットリとしてしまう。全体的に管楽器を中心とした個人技も冴え渡っており、大阪フィルってこんなに上手だったっけ? と驚くこと多々。なんかデュトワの棒にかかるだけで大阪フィルが一段以上グレードアップするデュトワマジック炸裂。

 ショスタコのチェロ協奏曲に関しては、これは上野の演奏に尽きる。この複雑怪奇な曲を悠々と弾きこなす技巧的なものは当然として、とにかく音色が深い、その音色だけで引きずり込んで聞き込ませるものがある。その真髄はアンコールのカザルスの曲でも遺憾なく発揮されていた。デュトワマジックに続いて上野マジックで場内は爆発的な盛り上がりとなった。

 休憩後の後半も当然のようにデュトワマジックが炸裂しまくりである。音色からアンサンブルまで一段階グレードアップした大フィルによるナイチンゲールは「春の祭典」を思わせるような音楽の炸裂があるかと思えば、一転して美しさを感じさせたりなどかなり目まぐるしい曲調。しかしそれが完璧に統率されて一切乱れないのがデュトワのデュトワたる所以。

 最後のラ・ヴァルスに至っては、ところどころで現れるワルツ的な旋律に見られるデュトワらしい色っぽさ。それと一転して各楽器が炸裂する激しさ。しかしそこで荒くならない。しかも大フィルソリストたちがことごとくとんでもない音色を出してくる。今までずっと大フィルを聴いてきた者としては「これが本当に大フィル?」と言いたくなる音色である。

 かなりの名演にほぼ満席のフェスティバルホールは爆発的な拍手に覆われた。何度往復しても止みそうにない拍手に最後はデュトワがコンマスの崔を引っ張って強引に退場することに。とにかく毎度のように今回もデュトワマジックに心底感心することになったのである。

 

 

ホテルに戻る前に喫茶に立ち寄る

 コンサートを終えて地下鉄でホテル近くまで戻ってくるが、暑さもあってどうも一服したい気分。ちょうど目の前にある昭和感のある「喫茶香豆里」に立ち寄ることにする。

昭和レトロ感ある喫茶「香豆里」

 何を注文しようかと考えていたら「支払いはクレジットかキャッシュレスだけですが大丈夫ですか」と聞かれる。店に女性が2人だけなので防犯上のためかなとも思ったが、よくよく考えるとこれはクレジットを作れない層の客を排除できるという意味でもあると気付いた。クレジットを作る際には一応は支払い能力の審査があるので、ある一定以上の収入のある層に客層を限定することができる。まさか店頭に「底辺客お断り」と書いたら差別で問題になる上に、そもそも何をもって底辺と定義するかという問題があるが、この形だったらやんわりと客層を限定できる。これからはこういう形を取った排除も増えていくのかもという気もしたりする。

 とりあえず私は「プリンアラモード」「水出しアイスコーヒー」を頼む。コーヒーが当たり前のようにブラックで登場したのは予想外(テーブルに砂糖等はなし)だったが、苦味が弱いコーヒーなので私でも辛うじてブラックで飲める代物。

あっさりした水出しアイスコーヒー

 プリンアラモードは昔懐かしいという雰囲気。プリンの味自体もまさに昔懐かしいカスタードプリン。プリンとアイスの下に敷いてあるクッキーが歯触りも良くて意外に美味。

懐かしさのあるプリンアラモード

 

 

夕食は結局はいつもの通り

 取りあえず喫茶でマッタリしたところで、ついでに夕食も済ませるかという気になる(ここまで暑さにやられて食欲が今一つ湧かなかった)。寿司でも食うかとじゃんじゃん横町を訪れたが人であふれかえっている。その上に「大興寿司」の前には東南アジアからの観光客らしい連中が待っている。アホらしくなったので引き返して、結局は何の工夫もなしに「らいらいけん」を訪れることに。

いつもの「らいらいけん」

 日替わりはいまいちピンと来なかったので、「とんかつ定食(800円)」を注文する。

一品はポテトサラダを頂く

そしてとんかつ定食

 普通に可もなく不可もなくのCPの良い定食である。とりあえずこれで夕食は終了、ホテルに戻ることにする。

 ホテルに戻るとまずは大浴場で汗を流してゆったりする。後は原稿執筆。ただ体に疲労があるのでイマイチ捗らず、正直このまま寝てしまいたい気分だが、流石にそれはまだ時間が早すぎて夜中に目が覚めてドツボるのがオチ。とりあえず眠気でボケてきている頭を叱咤激励して原稿作成。うーん、やっぱり私の休日ってどこか根本的に間違っている気がする。

 この後は明日の朝食購入に一旦外出したり、体をもう一度温めるのシャワーを浴びたり、気が向いたら原稿書いたりでマッタリと過ごす。こうしてこの夜は更けていく。

 

 

この遠征の翌日の記事

www.ksagi.work

この遠征の前日の記事

www.ksagi.work